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平成24年7月11日付 事務総長定例会見記録

平成24年7月11日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年7月11日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

「大規模小売業者等と納入業者との取引に関する実態調査報告書」について

 (事務総長)
 本日,私からは「大規模小売業者等と納入業者との取引に関する実態調査報告書」の公表と,「下請取引適正化推進月間」のキャンペーン標語の一般公募の2点についてお話ししたいと思います。
 まず1点目の「大規模小売業者等と納入業者との取引に関する実態調査報告書」についてですけれども,公正取引委員会は,優越的地位の濫用行為に関しまして,各種の実態調査を行い,その調査結果を公表し,また,調査結果を踏まえ,関係業界に対して取引の公正化に向けた自主的な取組を要請することを通じて,取引慣行の適正化と違反行為の未然防止に努めているところです。
 最近では,昨年に「食料品製造業者と卸売業者との取引に関する実態調査」を,また,今年5月に公表いたしました「ホテル・旅館と納入業者との取引に関する実態調査」を行っているところですが,本日,「大規模小売業者等と納入業者との取引に関する実態調査」の結果を公表することとしております。
 今回の実態調査は,平成22年11月に「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」,いわゆる優越ガイドラインを公正取引委員会が公表して以降,初めての実態調査となります。調査対象としては,大規模小売業者等約800社強と納入業者1万社を対象に調査を実施したものであります。
 調査結果のポイントは,3点あります。
 1つ目は,大規模小売業者等による納入業者に対する優越的地位の濫用につながり得る行為又は要請を受けたことがあるといった回答割合が高かったものを行為類型で見ると,「協賛金等の負担の要請」,「返品」,「購入・利用の要請」といった3つが多かった点です。
 2つ目として,大規模小売業者等から受けた優越的地位の濫用につながり得る行為なり,要請を納入業者が自ら負担しきれずに,納入業者が自らの取引先である製造業者等に負担を転嫁しているという回答が一定程度見られた点です。この点は,昨年10月に卸売業者と食料品製造業者との取引に関する実態調査を公表した際にも指摘しました,「不利益や負担の転嫁が複層的に行われ,大規模小売業者等が問題行為のいわば発生源になっている構造」の存在をうかがわせるものと言えると思います。
 3つ目は,優越ガイドラインの認知度についてですが,大規模小売業者等を規模別に見ますと,売上高100億円未満の大規模小売業者等は,100億円以上の大規模小売業者等よりも,その認知度が低い結果となりました。なお,ヒアリング調査の際に接した情報としても,全国規模の事業者はある程度コンプライアンスがしっかりしているが,地域の一番店等の特定地域の有力な事業者は,問題となり得る要請が比較的多いというものがありました。また,優越ガイドラインの認知度を役職階層別で見ますと,代表者や役員,管理職という方よりも,購買部門の一般社員の方が認知度が低いという結果となっております。
 こうしたことから,今回の調査結果を踏まえまして,違反行為の未然防止の観点から,大規模小売業者等の関係事業者団体に対しては,調査結果を伝えるとともに,改めて優越ガイドラインの内容を会員に周知徹底するようにということを要請する予定にしております。
 また,今後,優越ガイドラインの認知度が低かった購買部門の一般社員の方を重点対象とした業種別の講習会を全国各地で開催し,また,ガイドラインの認知度が低かった売上高100億円未満の大規模小売業者等に対しては,講習会への積極的な参加を促していきたいと考えております。
 報告書の詳細につきましては,本日午後4時から,担当課長が別途ご説明いたしますので,そこでご確認いただければと思います。

「下請取引適正化推進月間」を効果的にPRするキャンペーン標語の一般公募について

 次に,2点目として,「下請取引適正化推進月間」を効果的にPRするキャンペーン標語の一般公募についてお話ししたいと思います。
 公正取引委員会と中小企業庁では,下請取引の適正化についての推進を図ってきているところです。特に,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定めまして,普及・啓発活動を集中的に実施しています。
 この「下請取引適正化推進月間」を分かりやすく周知するために,これまでも毎年度,キャンペーンの標語というものを選んでPRしてきたところですが,今年度は,これを更に広く一般に訴え,効果的にPRすることを目的としまして,キャンペーン標語についての一般公募を今月2日から月末31日までの間,行うこととしております。
 一般公募により選定した標語のうち,特選の作品は1点予定しておりますけれども,これを下請取引適正化推進月間の11月に,ポスターや下請取引適正化推進講習会で使用するテキストの表紙にこの標語を掲げて用いるほか,各地で実施される下請法の各種の普及・啓発活動などの場で幅広く活用していきたいと考えております。
 一般の方からの幅広い募集を期待しておりますので,応募要件につきましては,公正取引委員会のホームページでご確認いただければと思います。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 実態調査報告書の件ですが,調査結果のポイントで,一番多かったのは協賛金負担の要請で8.4%とあるんですけれども,一番多いので8.4%ということは,大体2000社の1割弱だと思いますが,これは多いのか少ないのか,妥当なのかという感想をお聞かせください。

 (事務総長) 行為類型で見ますと,集計対象回答が2228社で,協賛金の負担の要請が8.4%ですから,回答の社数でいいますと,百数十社ということになるわけです。
 報告書では,8つの行為類型を掲げていまして,何らかの8つの行為につながり得るような行為なり要請を受けたことがあるという回答があった会社は,延べにすると376社ということで,全体の16.9%がこういった要請なりを受けたことがあると回答をしています。
 ですから,全体としては376社で16.9%ですので,これが多いか少ないかということはなかなか評価が難しいところですが,一方では,報告書にも書いてありますように,優越ガイドラインもそれなりに認知度が高くなっておりまして,例えば,売上高100億円以上の大規模小売業者等についていうと,ガイドラインの内容についても知っていたという回答が78.2%,また,売上高100億円未満の小売業者でも59.5%が内容についても知っていたという回答ですので,こういった優越ガイドラインの認知度が高まっていると思いますので,それを背景に,以前に比べれば少なくなっているのではないかと考えています。
 それでも,全体としては16.9%が,個別の行為類型を見ても,「協賛金等の負担要請」や,「返品」,「購入・利用の要請」は5%から8%の納入業者が優越的地位の濫用につながる又はつながり得るような行為なり要請を受けたことがあるという回答をしていますので,まだまだこのような行為は残っており,なくなっていないということが言えると思います。

 (問) このデータについては,前回の調査と比較することはできないということですか。

 (事務総長) この調査は,平成21年の独占禁止法改正で,優越的地位の濫用が課徴金の対象になり,どういった場合に優越的地位の濫用になるかという要件が法律で定められまして,それを受けて,平成22年11月にガイドラインを出して,どういった行為が問題になるかということを公表してからは初めての調査です。
 以前は,大規模小売業者について,例えば,平成22年にも調査をしているのですが,そのときには,対象とした小売業者の売上高を100億円以上の事業者としていまして,対象の事業者数も,当時,平成22年の5月に公表をしていますけれども,その時の発送数を見ると,大規模小売業者を,100億円以上の売上げの小売業者350社として,また,納入業者も6000社ということでしたので,対象も規模も今回の方が大きいので,単純には評価できないと思います。
 ただ,評価はできませんし,同じ土俵での比較ということもできないのですが,前回の調査のときの回答割合を見ますと,例えば,返品について不当な行為又は要請を受けたことがあるという回答が,前回は8.1%でした。そして,今回は5.9%です。他方で,今回の調査では8.4%となっている協賛金等の不当な要請が,前回では不当な経済上の利益の提供要請ということで6.3%でしたから,そういった違いは少しありますが,このような数字になっています。
 このように,前回は売上高100億円以上の大規模小売業者等を対象にしたのですが,今回は売上高70億円以上の,業態別でいいますと,食品スーパーや専門量販店,百貨店,ホームセンター等に対して,無作為抽出で調査を行っております。

 以上

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