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平成24年7月18日付 事務総長定例会見記録

平成24年7月18日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年7月18日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

数字で見る公正取引委員会の歴史について

 (事務総長)
 本日,私からは,数字で見る公正取引委員会の歴史ということについてお話ししたいと思います。実は,明後日の7月20日は,公正取引委員会の創立記念日ですので,御紹介をしたいと思ったものであります。
 独占禁止法は,昭和22年の4月14日に公布されまして,7月20日に施行されました。公正取引委員会は,独占禁止法に基づいて設置されておりますので,独占禁止法の施行日であります7月20日が創立記念日ということで,昭和22年,つまり1947年から数えまして,今年で満65歳ということになります。
 まず,独占禁止法違反事件の法的措置件数の推移についてお話しします。法的措置につきましては,年度によっては50件を超すなど,公正取引委員会が発足してからしばらくの間は,活発な法運用が行われておりました。その後,昭和30年代に入りまして,不況の影響や昭和28年の法改正の影響,また,この頃は経済自立化という目的の下で,産業の保護・育成が重視された時期でありまして,やや停滞する時期がきました。ただ,昭和31年には,朝鮮特需後の不況下において,下請事業者に対する支払遅延の問題が顕在化いたしまして下請法が制定され,また,昭和37年には,ニセ牛缶事件,缶詰の表示は牛であったにもかかわらず,中身は鯨の肉であったという不当表示の事件ですとか,チューインガムを買えば1000万円が当たるといった過大な景品付販売に関する議論の中で,景品表示法が制定されております。このように,この時期は中小企業保護,消費者保護に係る取組が行われた時期でもあります。
 その後,昭和40年代に入りまして,消費者物価の高騰やオイルショック,昭和40年代後半の狂乱物価といった時期に価格カルテルが横行したことから,これらの対処をということで,措置件数が増えております。当時は,カルテルを摘発しても,カルテルの申合せの破棄を命じるだけでしたので,いわゆるカルテルの「やり得」というものがあったと言われております。こうしたことから,違反行為の抑止力を高め,カルテル禁止規定の実効性を確保するために,昭和52年の法改正で課徴金制度が導入されました。
 その後,昭和50年代に入りまして,第二次オイルショック後の不況の下,やや停滞する時期が続きましたが,平成に入りましてから,法的措置件数が増えてきております。この時期は,平成元年に日米構造問題協議が開始されまして,日本市場の閉鎖性が指摘され,独占禁止法の制度面と運用面の両面について強化を求められた時期でした。そして,平成2年6月には刑事告発に関する公正取引委員会の方針を公表し,刑事告発を積極的に行うことを明らかにしております。平成2年の方針の公表までの告発件数は約40年間で6件ということに対しまして,平成2年の公表後は約20年間で14件という告発件数になっております。その後,規制緩和の推進とともに,独占禁止法の執行の強化が求められるようになりまして,平成8年には,体制的にも事務局制から事務総局制に変わっております。また,平成17年の法改正で課徴金減免制度が導入されまして,摘発能力が向上したところであります。
 次に,課徴金額の推移についてお話しします。これは昭和52年に導入されまして,最初の課徴金額は昭和53年度に507万円でしたが,平成3年,平成17年に課徴金の算定率の引き上げが行われ,また,平成21年には課徴金を適用する範囲を拡大し,一昨年度の平成22年度は720億円と過去最高となり,また,昨年度も約442億円ということで,金額ベースでは過去2番目に多い金額となっております。
 これまでの35年間で延べ約3100億円の課徴金の納付を命じておりますが,平成21年から23年度までの3年間を足し合わせますと,約1520億円となりますので,これまでの半分強がこの3年間で金額的には命じられたということになります。
 次に,企業結合についてですが,企業結合関係の届出・報告件数については,いろいろな制度改正が行われ,それに伴って件数も変わってきております。平成8年度までは増加傾向にありました。ただ,平成10年の法改正によりまして,それまで一定規模以上の総資産の会社が株式を所有する場合には全て株式所有報告書の提出を毎年度義務付けていたのですが,それを一定規模以上の総資産の会社が一定割合,これは10%,25%,50%を超えて株式を取得する場合にだけ届出を義務付けるということにいたしまして,これによって届出・報告件数が激減したということが言えます。また,平成22年度になりまして,平成21年の法改正で,国際的整合性を踏まえて届出が必要となる株式取得を3段階から2段階に簡素化するなどの法改正を行い,更に届出の件数が減少しておりまして,平成22年度は株式所有報告書から事業譲受けまで合わせまして265件,平成23年度は275件という形で減少した件数となっております。
 なお,平成23年6月には,企業結合の規制の見直しを行いまして,審査手続については,事前相談制度を廃止する,また,当事会社とのコミュニケーションの充実を行うといった見直しを行っております。
 次に,定員につきましては,昭和22年度に284名でスタートしましたけれども,昭和20年代後半に機構の縮小があり,昭和28年度から34年度までは237名ということで最小の人数となりますけれども,その後徐々に増加いたしまして,昭和41年度には300名を超え,昭和52年度に400名,平成6年度に500名,平成10年度に600名を超え,平成24年度末で約800名,799名まで増員されております。
 予算につきましては,公正取引委員会の場合,予算の8割強が人件費ですので,予算額も定員増に伴いまして,徐々に増加してきておりまして,昭和41年度に3億600万円だったものが,平成6年度には52億4000万円,本年,平成24年度の予算は約87億円という金額となっております。
 最後に,諸外国との比較のための,アメリカとEUのデータについても御紹介させていただきます。
 国によって制度が違いますので,単純な比較はできませんが,例えば,2011年度は,日本の法的措置件数は22件でしたけれども,アメリカのDOJ(司法省)では,11の法人と25の個人に罰金刑を科しておりまして,アメリカのもう一つの競争当局であるFTCは,1件の同意命令を行っております。また,EUでは,制裁金決定件数のところにありますように,2011年には5件の制裁金の決定をしております。
 次に,日本の課徴金に相当する制裁金や罰金ですが,2011年度は,日本の課徴金は約442億円でしたが,アメリカのDOJでは,罰金の総額が3億8155万ドルと,日本円で1ドル80円で換算すると約305億円という数字になりますので,金額的には日本の2011年度の約442億円という課徴金のほうが大きな金額となっております。また,EUにつきましては,5件の事件に対して,合計で7億4161万ユーロの制裁金,これは日本円で1ユーロ100円で換算しますと,約742億円の制裁金が課されているという状況になっております。
 次に,企業結合関係につきましては,2011年度は,日本の届出・報告件数は275件ですけれども,これに対してアメリカ,EUで見ますと,米国では1450件ということで,米国は2年前の2009年に比べますと,約2倍の届出の件数になっております。また,EUにつきましては,2011年には309件となっております。
 また,こうした届出があった企業結合案件のうち,二次審査,詳細審査に入って処理した件数は,アメリカのDOJでは34件,FTCでは24件となっております。なお,アメリカでは,合併の届出は,DOJとFTCの両方に会社は届けることになっておりまして,その届けられたものについて,DOJとFTCが協議してどちらが担当して審査をするかということを決める仕組みになっております。次に,EUですけれども,309件の届出に対して,二次審査を経て決定を行った件数は6件ということになっておりまして,このうち1件が禁止の決定ということになっております。
 続きまして,職員数と予算の関係を申し上げますと,2011年度は,日本は,799名の定員,予算約87億円ということですけれども,アメリカのDOJは851人で1億6317万ドル,日本円で換算して約131億円,FTCは1176人で2億9170万ドル,日本円換算で約233億円,EUは,職員が749人,予算が9350万ユーロということで,日本円で換算しますと約94億円という形になります。
 なお,イギリスの競争政策の専門誌でありますグローバル・コンペティション・レビュー,GCRという雑誌がありまして,この専門誌が2000年以降,毎年各国の競争当局の格付けを5点満点で実施しておりますが,6月に,今年の各国の競争当局の格付けを公表しております。当委員会について御紹介させていただきますと,この格付けは5点満点で格付けされていまして,5点満点の評価を得ている競争当局としては米国とEUの競争当局,また,フランスとドイツの競争当局となっておりますが,このGCRの格付けでは,それに次ぐ4.5点に日本が今年は評価されております。昨年と比べると,昨年4点だったのが4.5点という評価となっておりまして,公正取引委員会の活動が国際的にも評価されているものと考えております。
 このように,昭和22年に公正取引委員会が発足してから65年経ちましたけれども,独占禁止法や競争政策の重要性などについて,社会的に次第に認知されてきたと感じております。また,公正取引委員会の活動にも世の中からの期待が非常に大きいものを感じておりまして,こうした期待に応えるべく,今度とも厳正な法執行と的確な法運用に努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 先ほど,予算額の8割が人件費とおっしゃったと思いますが例えば平成24年度ベースの予算の87億4203万円に0.8を掛けて,そこから人員で割ると1人当たり年収が875万円になります。公務員の平均年収が確か637万円だったと思いますが,公正取引委員会の方はこんなに給料がいいのですか。

 (事務総長) 公正取引委員会の給与はもちろん一般の公務員と特別な扱いを受けているわけではありませんので,そういった意味では同じだと思います。
 現在,公正取引委員会の職員の平均の年齢は35歳ぐらいだったと思いますので,他省庁の組織と平均しても,どちらかというと平均年齢が若いほうの組織だったという記憶があります。したがって,単純に今おっしゃったように割るとそういう金額になるかもしれませんが,給与以外のいろいろな費用なども入った上での人件費だと思います。ですから,いわゆる給与以外の退職手当とかそういったものも入っていますので,単純に職員の給与がその数字になるというものではありません。給与としては公務員の給与一般と同じです。

 (問) 分かりました。

 (問) 参考までに,DOJの禁錮刑の平均が,ここ3年,24,30,17か月ですが,これは1人頭ということだと思いますが,DOJは厳罰化しているような気がしていたのですが,これを見ると,禁錮刑の期間が減っています。もう少し長いスパンで見ると,長く,重くなっているでしょうか。

 (事務総長) 確かに米国のDOJへの禁錮刑の平均期間を見ますと,2011年は17か月ということになっていますから,平均すると,確かに2009年の24か月なり,2010年の30か月に比べると下がってますが,長いスパンで見ると,この10か月を超える禁錮刑というのは,この10年ぐらいの傾向でして,以前に比べると,以前は1桁でしたので,それに比べると随分重い刑になっております。
 また,従来はアメリカの国内の個人がこういった重い刑を受けていましたが,最近では外国人に対しても禁錮刑が科されるようになってきたということが特徴です。例えば,日本企業につきましても,最近の個別の案件ですけれども,今年に入って,ある事件で,ある会社の日本人の役員なり役職員4名が15カ月から2年の禁錮刑に有罪答弁をして同意したという発表もありましたが,外国人も含め,かなり重たい禁錮刑の期間になっていると言えると思います。

 以上

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