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平成24年11月14日付 事務総長定例会見記録

平成24年11月14日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年11月14日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

ダクタイル鋳鉄管シェア配分カルテル事件の課徴金納付命令に係る審決取消請求訴訟について

 (事務総長)
 本日,私からは,審決取消訴訟と,ベトナムの競争当局に対する技術研修の2点についてお話ししたいと思います。
 まず1点目ですけれども,いわゆるダクタイル鋳鉄管のシェア配分カルテルの事件の課徴金納付命令に係る審決取消訴訟について,去る10月25日に最高裁判所において決定がありましたので,このことについてお話ししたいと思います。
 本件は,日本鋳鉄管,栗本鐵工所,クボタの3社によるダクタイル鋳鉄管直管,このダクタイル鋳鉄管直管というのは,水道や下水道,都市ガスの導管として用いられるものですが,この鋳鉄管のシェア配分についてのカルテルを行っていたものです。この分野は,3社で100%のシェアを占めていたところ,3社は,平成8年度及び平成9年度において,各社の基本の配分シェアをそれぞれ,日本鋳鉄管については10%,栗本鐵工所については27%,クボタについては63%と設定しまして,これを基にして,各年度の総需要の見込数量や各社の前年度までの受注数量などを勘案して,年度ごとの各社の配分シェアを決定し,各社がそのシェアに合致するように受注数量を調整することを合意していた事案であります。
 本件について,公正取引委員会は,審判を開始しまして,平成21年6月30日,3社に対して,日本鋳鉄管には約10億5000万円を,栗本鐵工所には約29億3000万円を,そして,クボタには約70億7000万円をと,総額約110億円の課徴金の納付を命じる審決を行いました。これに対して3社は,本件シェア配分カルテルに関して,独占禁止法において課徴金の納付命令の対象となる行為は「実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響があるもの」となっているわけですが,この供給量の制限に,本件シェア配分カルテルは該当しないという主張等をしまして,審決取消訴訟を提起したものです。
 これに対しまして,平成23年10月,東京高裁におきましては,本件カルテルでは総需要の見込数量に各社ごとの年度シェアを乗じることによって算出された受注予定数量があるわけですが,この予定数量は,これを超えては生産・販売をしないという上限を画し,原告らの供給量を制限するものである,したがって,本件カルテルは自由競争の下における供給量よりも供給量を制限するものと言え,特段の事情のない限り,対価に影響するものと認められるとして,本件審決に対する原告ら3社の請求をいずれも棄却いたしました。
 原告ら3社は,この東京高裁の判決について,最高裁に対して上告と上告受理の申立てを行いましたが,本年10月25日,最高裁は,上告の棄却と上告の不受理決定を行いまして,このダクタイル鋳鉄管シェア配分カルテル事件に係る課徴金の納付を命ずる審決が確定したところです。
 公正取引委員会としましては,最高裁の今般の決定の結果も踏まえまして,今後とも独占禁止法の厳正かつ適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

ベトナム競争当局に対する独占禁止法と競争政策に関する技術研修の実施について

 続きまして,ベトナム競争当局の職員に対する研修の実施についてお話ししたいと思います。
 公正取引委員会は,JICAの協力の下で,ベトナムの競争当局でありますベトナム競争庁とベトナム競争評議会の職員に対して,今月の中下旬に我が国の独占禁止法や競争政策に関する研修を行っております。
 ベトナムでは,平成17年から競争法が施行されておりまして,競争法の執行の実績が積み重なってきておりますが,職員の審査能力の向上や競争法・競争政策の普及・啓発など,まだ取り組むべき課題は数多いと聞いております。
 公正取引委員会は,ベトナムにおける競争法の充実と執行の強化に資することを目的として,平成20年度から公正取引委員会の職員1名をJICAの長期専門家としてベトナム競争庁に派遣するなどの協力を行っているところです。日本での研修は平成20年度から開催しておりまして,今回が第8回目となります。
 今回のベトナム競争当局に対する研修は,ベトナム競争庁の職員7名とベトナム競争評議会の職員1名を日本に招いて,約3週間にわたって行われまして,大学教授などの方から,日本の独占禁止法の規制や競争政策といった理論面からの講義と,公正取引委員会の職員が講師となりまして,審査手続や違反事件に関する実務的な講義を行うことを予定しております。
 こうした取組を通じまして,ベトナムにおいて競争法がより適切に執行される環境整備に貢献するとともに,公正取引委員会とベトナム競争当局との協力関係を一層強化していきたいと考えております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) ベトナムは,立入検査に基づく審査を行ったことがあるのかどうか,立入検査の実績がどれだけあるのか教えてください。

 (事務総長) ベトナムではカルテルのような競争制限行為は,ベトナム競争庁に100名ぐらいの職員がいて,そこで調査を行い,そして,ベトナム競争評議会で措置を決定する仕組みになっていまして,これまで,事件数としてはカルテルなどの競争制限的な協定について,4件の審査が行われています。ただ,その着手のときに立入検査をしたかどうかは把握していません。

 (問) 任意の調査ですか。

 (事務総長) 調査権限はあると思いますから,検査をやれる体制だと思いますが,実際に立入検査が行われて事件が開始されたかどうかまでは把握していません。

 以上

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