[配布資料]
[発言事項]
事務総長会見記録(平成24年12月12日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)
独占禁止懇話会第193回会合議事概要
(事務総長)
本日,私からは,先週の6日に独占禁止懇話会が開催されましたので,その議事の概要についてお話しさせていただきます。
独占禁止懇話会は,公正取引委員会が各界の有識者と意見交換をすることを目的として開催しているものでして,会員は現在24名の方で構成されております。
今回の独占禁止懇話会では,議題として3つ,1つ目は,平成24年の10月に政府の「消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策推進本部」において決定されました,消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策の基本的な方針について,2つ目は,本年9月に公正取引委員会が公表いたしました,電力市場における競争の在り方についての報告書,3つ目といたしましては,11月に報告書を公表しておりますけれども,企業における独占禁止法コンプライアンスに関する取組状況について,それぞれ,会員から御意見等をいただいたところです。
今回の独占禁止懇話会において会員からいただいた御意見や御質問等について,幾つか主なものを紹介させていただきます。
まず,最初の議題であります,消費税の円滑かつ適正な転嫁に関しましては,「転嫁拒否された事業者は取引の継続性の観点から,自発的には公正取引委員会等に相談できないと考えられるが,転嫁拒否に係る情報収集を適切に行えるのか。」といった御意見をいただきました。これに対しましては,現在公正取引委員会が行っている下請法の調査においても,事業者の取引先に対して一斉にアンケート調査を行うことにより,どの事業者が違反事実を申告したか分からないようにしており,今回の転嫁拒否事案に対する処理スキームにおいても下請法と同様に,申告者の匿名性を確保しながら,転嫁拒否に係る情報を入手できる調査を考えている旨,説明しております。
また,「消費者にとっては,消費税率引上げに伴う便乗値上げが気になるところだが,便乗値上げへの対策としては具体的にどのようなことを行うのか。」といった御意見をいただきました。これに対しましては,消費税率の引上げに伴い,価格カルテルが行われた場合には,独占禁止法違反として通常のカルテルと同様に厳正に対処するといったことを説明しております。
続きまして,2つ目の議題であります,電力市場における競争の在り方に関しましては,「発電・卸売部門と小売部門を分離しただけでは,供給側である電力会社の電源の圧倒的なシェアは変わらないのではないか。」といった御意見をいただきました。これに対しましては,確かに,発電・卸売部門と小売部門の分離は,それ自体では発電部門における電力会社の地位を変えるものではないが,これにより発電電力量の7割超を占めている一般電気事業者が発電した電力について,新電力を供給先とし得るようなインセンティブの構造となるということで,卸取引における競争の活性化を図ろうとするものであるといったことを説明しております。
次に,3つ目の議題であります,企業における独占禁止法コンプライアンスに関する取組状況に関しましては,「本報告書を企業に周知する際は,法務部門だけではなく,直接経営陣にアピールして,トップダウンで伝えてもらう方法が効果的である。」といった御指摘をいただきましたし,また,「国際的な潮流からすると,欧米ではカルテルに対する制裁は重罰化しており,日本企業が欧米で厳しい制裁を受けるケースも少なくないので,カルテルに係る独占禁止法コンプライアンスに特化した調査も検討してもらいたい。」といった御指摘もいただいたところです。
公正取引委員会としましては,こうした御指摘,御意見を踏まえまして,今後とも独占禁止法の適切な法運用に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
以上