[配布資料]
(平成25年6月12日)「独占禁止法に関する相談事例集(平成24年度)」について
[発言事項]
事務総長会見記録(平成25年6月12日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
「下請取引適正化推進月間」についてのキャンペーン標語の一般公募について
(事務総長)
本日,私からは,「下請取引適正化推進月間」についてのキャンペーン標語の一般公募についてと,平成24年度の独占禁止法に関する相談事例集についてお話ししたいと思います。
まず1点目の,「下請取引適正化推進月間」についてのキャンペーン標語の一般公募についてお話しします。
公正取引委員会は中小企業庁と共同しまして,毎年11月に「下請取引適正化推進月間」を実施しているところですが,今年度もこの月間を実施いたします。
つきましては,この月間において使用するキャンペーン標語について,広く一般の方から公募するということで,昨年度は,「下請法 知って守って 企業のモラル」を標語として選定しました。今年度につきましては,「下請代金の減額の禁止」を標語のテーマとして募集したいと思っております。もちろん,「減額」という言葉がなくても構わないとい う,キャンペーン標語の募集です。
公募した結果は,選定した特選の作品を1点選びまして,ポスターや講習会のテキストの表紙,また,PR用のバナーに使用するなど幅広く活用させていただきます。
標語の公募期間は今月末までとなります。応募方法の詳細につきましては,公正取引委員会のホームページを御確認いただければと思います。たくさんの応募が寄せられることを期待しているところです。
平成24年度の独占禁止法に関する相談事例集について
続きまして,相談事例集についてお話ししたいと思います。
公正取引委員会は,毎年,独占禁止法に関する相談事例集を取りまとめて公表しておりますが,本日,平成24年度の相談事例集を公表いたします。
公正取引委員会では,事業者や事業者団体がこれから行おうとする行為が独占禁止法上問題とならないかどうかについての相談を受け付けておりまして,平成24年度については,1,883件の相談が寄せられました。相談の内容としては,流通・取引慣行に関する事業者からの相談が1,320件ということで,全体の約7割を占めておりまして,そのうちの約半分,680件が優越的地位の濫用に関する相談となっております。
この相談事例集は,事業者や事業者団体から寄せられた個別の相談の中から,相談者以外の一般の企業の方々にも,また,事業者団体の方々にも参考になると思われる主要な事例を選びまして,独占禁止法上の考え方を説明したものです。
今回の相談事例集では,事業者からの相談事例を5つ,事業者団体からの相談事例を7つ,合計12事例を掲載しているところです。
相談事例集に掲載した12の事例のうち,特徴的な内容のものを3事例ほど紹介させていただきたいと思います。
事例の10と事例の11を御覧ください。近年,事業者団体が,一般消費者の保護を目的として,自主基準を策定し運用したいという相談がしばしば寄せられていますので,事業者団体による自主基準についての事例を2件掲載しているところです。
このうち,事例の10は,食料品メーカーの団体が,広告に関する自主基準の実効性を確保するために,新たに団体内に設置する広告審査機関におきまして,会員及び非会員の広告を審査し,自主基準に反する広告を行う事業者に対しては改善要請等を行うといったことについて,問題ないと回答した事例であります。こうした改善要請等が問題ないと回答した理由は,このような取組が虚偽・誇大な広告を防ぐためのものであり,消費者の正しい商品選択を容易にするという需要者の利益にかなうものであること,会員も非会員も同じ基準で審査されることなどが挙げられます。
続きまして,事例の11は,有料老人ホームなどの団体が,施設の入居者が前もって支払う入居一時金に関して,内容が不明確なサービスの対価を徴収せず,原則として家賃とすることなどを内容とする自主基準を設定することについて,問題ないと回答した事例です。問題ないと回答した理由は,このような取組が,会員が設定する家賃を制限するものではなく,入居一時金の内容を入居者に分かりやすくするためのものであることなどが挙げられます。
次に,事例12の東日本大震災に関連する対応についての相談事例を御紹介いたします。
平成24年度において,事業者などから,東日本大震災での経験を踏まえて,将来的な災害に備える取組などに関する相談が寄せられたことから,事例12として掲載いたしました。この事例は,運送事業者の団体が,自治体から要請された期間におきまして,大規模災害発生時に支援側の自治体から救援物資の運送業務を一括受注して会員等に割り当てることは,独占禁止法上問題となるものではないと回答したものであります。
なお,震災関係につきましては,昨年の平成24年3月にも,「震災等緊急時における取組に係る想定事例集」というものを公正取引委員会のホームページに掲載しているところであります。
以上が相談事例集の概要の御紹介ですが,この相談事例集は,公正取引委員会のホームページに掲載しておりまして,前回の平成23年度の相談事例集については,1年間に約1万2000件を超えるアクセスがありました。ホームページでは,事業者等の方々の利便のために,年度別だけではなく,行為類型別でも掲載をして,アクセスしやすくなっているところであります。
公正取引委員会としては,事業者や事業者団体の方々が,この相談事例集を活用することによって,独占禁止法の考え方の理解が深まり,違反行為の未然防止が一層図られることを期待しているところです。
この相談事例集の個別の内容につきまして御質問等があれば,相談指導室が担当課ですので,お問い合わせいただければと思います。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 今,御説明いただいた事例集の関係ですが,12番の事例の場合は,震災にかかわるので独禁法で問題がないという解釈でしょうか。要は,通常業務だと問題あるのでしょうか。
(事務総長) 相談事例集の29ページを見ていただければと思います。
まず,どうしてこのようなことを行うのかということなのですが,震災時ですと,なかなか支援側の自治体が配送するものと,被災地の方の望むものがかみ合わず,東日本の大震災時においても,被災地へ救援物資を運送した際に,被災地からの物資の注文と支援側の自治体から配送された物資の内容がかみ合わず,ニーズに応じた救援物資が行き届かないといった問題が起きたということが,この今回の相談の背景になっております。
そして独占禁止法上の考え方ですけれども,東日本大震災のような緊急の状況に対処し,被災地に円滑に物資を供給するために,こうした関係事業者が共同して調整することというのは,[1]救援物資の円滑な輸送が目的であること,[2]物資の不足が深刻な期間において実施されるものであること,また,[3]特定の事業者に対して差別的に割当てが行われるといったものではないということから,問題となるものではないということを,一昨年の東日本大震災のときにも考え方を明らかにしているところであります。
本件も,今申し上げたような考え方で問題ないと回答したものでありまして,今の御質問は,東日本大震災のようなときに限るのかどうかということですが,それは,個別の相談の内容によって検討する必要があるわけですので,今回のこの相談は,大規模災害時の場合に,こういうものであれば独禁法上の問題とはならないということを相談に対して回答したものであります。
以上