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平成25年7月17日付 事務総長定例会見記録

平成25年7月17日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成25年7月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

数字で見る公正取引委員会の歴史について

(事務総長) 
 本日,私からは,「数字で見る公正取引委員会の歴史」についてお話ししたいと思います。
 独占禁止法は1947年,昭和22年の4月14日に公布され,7月20日に施行されました。したがいまして,今週末の7月20日は,公正取引委員会にとっての創立記念日ということで,昭和22年から数えまして,今年で満66歳ということになります。
 
 まず,独占禁止法違反事件の法的措置件数の推移についてお話しします。
法的措置につきましては,公正取引委員会が発足してからしばらくの間は,年度によっては50件を超すなど活発な法運用が行われておりました。しかしながら,昭和30年代に入り,不況の影響や昭和28年の法改正の影響,また,この頃は経済の自立化という目的の下で,産業の保護育成が重視された時期でもあり,やや停滞する時期が来ました。そして,この時期においても,昭和31年には朝鮮特需後の不況下において,下請事業者に対する支払い遅延の問題が顕在化して,下請法が制定されております。また,昭和37年には,ニセ牛缶事件,缶詰の表示は牛肉であったにもかかわらず,中身はクジラの肉という不当表示の事件があったり,また,チューイングガムを買えば1000万円が当たるといった過大な景品付販売の議論の中で,景品表示法が制定されております。このように,中小企業保護,消費者保護に係る取組が行われていた時期でもあります。
 その後,昭和40年代に入りまして,消費者物価の高騰やオイルショック,40年代後半の狂乱物価といったような時期に,価格カルテルなどが横行したことから,これらの対処のために措置件数が増えました。代表的な事件としては,昭和49年2月に刑事告発いたしました石油元売業者による価格カルテル事件などがありました。こうした中,当時,行政事件では,カルテルを摘発しても,カルテルの申合せの破棄を命じるだけでしたので,いわゆるカルテルの「やり得」ということがあったと言われております。こうしたことから,違反行為の抑止力を高め,カルテルの禁止規定の実効性を確保するために,昭和52年の法改正で課徴金制度が導入されました。導入当時の課徴金の算定率は,原則,売上額の1.5%という金額となっております。
 その後,昭和50年代に入りまして,第二次オイルショック後の不況下において,やや停滞する時期が続きましたが,平成に入りましてから,法的措置件数が増えております。この時期は,平成元年に日米構造問題協議が開始され,日本市場の閉鎖性を指摘され,独占禁止法の制度面と運用面の両面について強化を求められた時期でした。そして,平成2年6月には刑事告発に関する公正取引委員会の方針を公表し刑事告発を積極的に行うことを明らかにしております。実際,平成2年の方針の公表までの約40年間で告発件数は6件であるのに対しまして,平成2年の方針の公表後の23年間の,これまでの告発件数は14件ということで,増加しているところであります。
 その後,規制緩和の推進とともに,独占禁止法の執行が強化されるようになりまして,平成8年には,体制的にも事務局制から事務総局制に変わっております。また,措置件数の増加は,平成17年の法改正で導入されました課徴金減免制度や犯則調査権限の導入といったことにより,摘発能力が向上したことも影響しているのではないかと思います。

 次に,課徴金額の推移についてお話しします。
 課徴金は,今申し上げたとおり,昭和52年に導入されまして,最初の課徴金額は昭和53年度の507万円ということでしたが,平成3年に課徴金の算定率を,原則,売上額の1.5%から6%に,更に平成17年には課徴金の算定率を原則6%から10%に引き上げる法改正を行い,また,平成21年には課徴金を適用する範囲が拡大され,例えば,優越的地位の濫用行為も課徴金の対象となりました。平成22年度の課徴金額は約720億円と過去最高となっております。ただ,この平成22年度の課徴金額は,平成17年の独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法に基づく課徴金納付を命ずる審決,すなわち,審判手続を経た審決によるものを含んでおりまして,これが約720億円の半分を占めていたのですが,それを除きますと,その年度に行いました事件審査の結果,納付を命じた課徴金ということでは翌年,平成23年度の約442億円が過去最高の課徴金額となります。
 また,平成24年度に命じた課徴金の総額は約251億円ということで,平成20年度以降を見ていただくと,毎年度250億円以上という高い水準の課徴金額が命じられているということになります。

 次に,企業結合関係の届出・報告件数の推移についてお話しします。
 企業結合関係の届出・報告件数については,いろいろな制度改正が行われており,それに伴って件数も変わってきております。平成8年度までは増加傾向にありましたけれども,平成10年の法改正により,それまで一定規模以上の総資産の会社が株式を所有する場合には全て株式所有報告書の提出を毎年度義務付けていたものを,一定規模以上の総資産の会社が,一定割合,これは10%,25%,50%ですけれども,これを超えて株式を取得する場合にだけ届出を義務付けることにしました。これによって,届出・報告件数が大幅に減ったところであります。また,平成22年度には,平成21年の法改正で,国際的整合性を踏まえて,届出基準として国内売上高を採用し,また,届出が必要となる株式取得を3段階から2段階に簡素化するなどの法改正を行いました結果,更に届出の件数が減少しております。平成24年度は株式取得から事業譲受けまで合わせまして349件の届出があったところです。

 次に,定員の推移についてお話ししたいと思います。公正取引委員会の定員については,昭和22年度に284名でスタートし,昭和20年代後半に機構の縮小がありまして,昭和28年度から昭和34年度までは237名の最小の人数となりますが,その後,徐々に増加し,昭和41年度には300名を超え,昭和52年度に400名,平成6年度に500名,平成14年度に600名を超え,平成25年度末の定員は800名を超えた823名となっております。
 また,予算については,公正取引委員会の場合,予算の8割が人件費となっておりまして,予算額も定員増に伴い徐々に増加してきておりまして,昭和41年度に3億600万円だった予算が,昭和52年度には19億6000万円,平成6年度には52億4000万円,本年,平成25年度の予算は約88億円となっております。

 最後に,参考として,米国とEUの職員数と予算についてのデータも御紹介させていただきます。
 まず,予算についてですけれども,平成24年度,2012年度は,日本の公正取引委員会の定員は799名,予算が約87億円でしたけれども,アメリカのDOJ,司法省は851人で1億5959万ドル,日本円で換算して約160億円の予算。また,もう一つの米国の競争当局でありますFTCは1132人,予算は3億1200万ドル,日本円で換算して約312億円となっているところです。続いて,EUは,2012年の数字ですけれども,724人ということで,また,予算は9150万ユーロ,日本円で換算して約119億円という数字になっております。

 以上,「数字で見る公正取引委員会の歴史」というものを振り返ってまいりましたけれども,昭和22年に公正取引委員会が発足してから66年が経過しましたが,公正取引委員会の活動,また,独占禁止法や競争政策の意義,重要性については,次第に国民の皆様に認知されてきていると感じております。また,同時に世の中から大きな期待が寄せられていると感じております。こうした期待に応えられるように,今後とも厳正な法執行,的確な法運用に努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 定員と事件件数の関係で教えていただきたいのですが,毎年,定員は増えていますけれども,特に,審査局の人数を増やしているかと思うのですが,その割に,5年,10年前と比べても事件件数が増えていないというか,伸びていないというか,減っているというか。これは,例えば,事件化が難しくなっているとか,そういうことなのでしょうか。総長の認識を教えてください。
(事務総長) 今,御質問いただいたとおり,数字では,例えば,平成に入ってからも,平成元年度が461人で,平成25年度が823人ですから,倍近い数字になってきているわけです。これに対して,事件数を見ますと,平成元年度は7件ですけど,平成2年度が22件で,平成23年度,24年度は22件,20件ということで,途中,30件を超えるような年もありますけれども,件数的にはそれほど変わっていないということがあろうかと思います。
 他方で,課徴金が昭和52年に導入されたわけですけれども,平成に入ってから,平成2年度は別にして,10億から数十億円ぐらいだった課徴金の額が,平成20年度に入ってからは,毎年250億円を超えています。これは,もちろん課徴金の率が6%から10%に上がったということがありましたけれども,それを上回るような金額になっているということが言えると思います。
 ですから,以前と比べて,件数としては変わっていないかもしれませんけれど,事件の中身としては,かなり大型の,広域の事件を扱っているのではないかと。もちろん地域的な談合事件もありますけれども,全国的な事件というだけではなくて,国民生活に影響が大きい,市場規模としても大きな分野を取り上げていくことができているからかと思いますので,事件数も大事だと思いますが,同時に,どういった分野を取り上げていくかということが大事だと思っています。

以上

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