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平成25年9月18日付 事務総長定例会見記録

平成25年9月18日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

平成25年度政策評価結果(企業結合審査)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成25年9月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成25年度の政策評価結果(企業結合審査)について

(事務総長)
 本日,私からは,企業結合審査に関する政策評価についてお話ししたいと思います。
 公正取引委員会では,「行政機関が行う政策評価に関する法律」に基づきまして,公正取引委員会の行う業務について,毎年度,政策評価を実施しています。
 平成25年度は8件の政策評価を実施いたしまして,8月末に公表いたしました。今回実施した政策評価書の資料の全体はホームページに掲載しているところですけれども,本日は,このうち,企業結合審査について御紹介したいと思います。
 この企業結合審査についての政策目標は,「迅速かつ的確な審査」としているところであります。

 まず初めに,企業結合審査の流れについて御説明したいと思います。
 独占禁止法では,一定の条件,例えば合併ですと,国内の売上高の合計額が200億円超の会社と50億円超の会社が合併する場合,あらかじめ公正取引委員会に届出をすることが義務付けられております。
 企業結合審査は,第1次審査と第2次審査に分かれておりまして,企業結合の届出の受理から始まります第1次審査の期間は30日間ということになっております。そして,第1次審査の期間中に問題がないと判断した場合には審査をそこで終了し,その旨を届出をした当事会社に通知いたします。
 他方,より詳細な審査が必要だと判断した場合,当事会社に対して,審査に必要な報告等の要請を行いまして,第2次審査が始まります。第2次審査を開始した場合には,これを公表いたしまして,当事会社から必要な報告等が全て提出された日から90日以内に行うことになっております。
 以上が企業結合審査の流れですけれども,届出をしてから30日間は企業結合を行うことが禁止されています。これは法律で禁止されておりまして,禁止期間と呼んでおりますが,届出会社からこの禁止期間の短縮の申出があった場合で,その企業結合事案が独占禁止法上の問題がないというときには,30日間の禁止期間を短縮することとしております。

 実績評価の資料の表1ですけれども,平成24年度,公正取引委員会は,349件の企業結合の届出を受理しておりまして,その全てを,今申し上げた法律で規定された期間内に処理しております。
 また,先ほど第1次審査,第2次審査があると申し上げましたけれども,この349件のうち報告等の要請を行った案件,すなわち第2次審査に進んだ案件が6件と,届出会社の事情により企業結合計画に係る届出を取り下げた案件の3件を除く340件につきましては,いずれも届出受理の日から30日間内に独占禁止法上の問題がないと判断し,第1次審査で終了したという状況になっております。
 次に,平成23年7月から施行した企業結合審査の見直しでは,30日の禁止期間,先ほど,禁止期間は届出をしてから30日間だということを申し上げましたけれども,この禁止期間の短縮を認める場合の要件を大幅に緩和いたしまして,平成22年度に短縮を認めた件数は6件でありましたけれども,平成23年度は36件,平成24年度は127件となっております。こういうことで,非常に禁止期間の短縮を認めた件数が増えているという状況であります。

 次に,的確な企業結合審査の実施の観点ということで,今申し上げた6件については詳細な企業結合審査を行ったわけですけれども,この詳細な審査を行いました6件については,第2次審査に入った段階で公表いたしまして,広く一般の第三者からの意見を受け付け,この意見も踏まえながら審査を行いました。それで,「ヤマダ電機によるベスト電器の株式取得」など3件につきましては,当事会社が問題解消措置を講じることを前提に,独占禁止法上の問題はないと判断いたしましたけれども,これによって競争を実質的に制限することとなる企業結合を防止したものと評価しております。

 次に,企業結合審査の結果の公表に対するアクセスの状況ですけれども,平成24年度におきまして第二次審査を行った個別の案件の審査結果を公表しておりますが,この公表資料に係る公正取引委員会のウェブサイトへのアクセス件数は約21,000件ということで,非常に高い水準にあると考えております。公表内容についても,企業結合審査の経緯及びその審査結果について詳細に公表することによって,企業結合審査における独占禁止法の考え方及び企業結合審査の流れが明らかとなり,企業結合を計画している事業者の参考となったものと評価しております。特に企業結合審査の経緯の公表については,届出会社と公正取引委員会とのコミュニケーションの充実に関する具体的な取組が明らかとなり,企業結合を計画している事業者の参考となったと評価しているところであります。

 これらの状況を踏まえまして総合的に評価しておりますけれども,今後の方向性としては,海外の競争当局との間で情報交換を行いながら企業結合審査を進める必要がある国際的な企業結合案件が増加する傾向にあることなどを踏まえまして,公正取引委員会は法曹資格者及びエコノミストを企業結合審査部門に配置し,専門的な観点からの意見も踏まえながら企業結合審査を行っているところですが,今後とも,法律及び経済に関する専門的知識を活用する必要がある重要・大型な企業結合案件に適切に対応していく必要があるとして,企業結合審査部門の体制の更なる強化を図ることなどが課題として挙げられております。

 以上が企業結合審査に関する評価ですけれども,公正取引委員会としては,今後とも,他の分野も含め政策評価を適切に実施して,これらの政策評価を踏まえて,効率的で有効な政策展開ということに心掛けてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 今回の件と違う話になってしまうのですが,消費増税の特措法が10月から施行されますけれども,前回の3%からの引上げのときには,なかなか転嫁が難しかったというような中小企業の声があり,今回,特措法施行ということで,今後の課題についてどのように捉えておられるか,お考えをお聞かせください。
(事務総長) 消費税についての転嫁対策の特別の立法が行われまして,6月に法律が通って10月から施行するということになっているわけです。それで,その具体的な考え方なりをガイドラインの形でまとめて,9月10日に公表したところであります。
 それで,今おっしゃった転嫁ができないということについては,一つには,例えば,大手の小売業者が納入業者に対して買いたたきをしないようにというようなことがその法律で定められておりますし,また,転嫁カルテルや表示カルテルといったことが認められておりまして,そういったいろいろなことを通じて,事業者の円滑で適正な転嫁が図られるように今後努めていきたいと考えています。
 また,特に,今の買いたたきの点で申し上げれば,なかなか中小の事業者の方が自分から進んで情報を提供するということが期待しづらいところなものですから,現在でも下請法という法律の運用に当たって同じ問題を抱えているわけですけれども,情報を待つのではなくて,積極的に,幅広く事業者の方に調査票を送っての書面調査を通じて問題となるような事案がないか発掘に努めたいと思っています。また,何よりも大事だと思っていますのは,どういったことをしては問題になるかということを説明会等を通じて,買い手側,売り手側の事業者の双方に,周知,広報を進めていきたいと考えています。

以上

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