[配布資料]
入札談合等関与行為の防止に関する取組について(PDF:84KB)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成25年11月6日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
入札談合等関与行為の防止に関する取組について
(事務総長)
本日,私からは,入札談合等関与行為の防止に関する取組についてと,それからもう一点,消費税の転嫁カルテル・表示カルテルの届出状況などについてお話ししたいと思います。
まず,入札談合は独占禁止法が禁止するカルテルの典型的な事例でありまして,最も悪質な独占禁止法違反行為の一つです。国や地方公共団体の発注機関側の職員がこうした入札談合に関与すること,いわゆる官製談合は,発注機関の利益,ひいては納税者である国民・住民の方々の利益を損なうものであり,あってはならない行為であります。
公正取引委員会は,従前から,入札談合の摘発に積極的に取り組み,官製談合が認められた場合には,いわゆる官製談合防止法に基づきまして厳正に対処しております。直近の事案としては,昨年の10月,国土交通省が四国の地方整備局において発注する一般土木工事の入札談合事件に関しまして,土佐国道事務所の副所長及び高知の河川国道事務所の副所長による入札談合等関与行為を認定し,国土交通省に対して3度目となる改善措置要求を行ったところです。
こうしたことから,公正取引委員会としては,国や地方公共団体など発注側の職員が入札談合に関与する行為を防止するための取組にも力を注いでおりまして,本日は,こうした公正取引委員会の取組について御紹介させていただきたいと思います。
1点目としては,国などの発注機関との間で行います連絡担当官会議です。
独占禁止法違反の可能性のある行為について,発注官庁などから公正取引委員会に対して情報が円滑に提供されるように,国などの発注機関の会計課長等が連絡担当官に指名されておりまして,その連絡担当官との連絡・協力体制を一層緊密なものとするために,公正取引委員会は,平成5年度以降,「公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官会議」を開催しております。その際,最近の官製談合事件を紹介するなどして,入札談合等関与行為の未然防止のための取組を進めていただくよう国等の機関に働きかけているところです。本年度につきましては,毎年,これを秋に行っておりまして,今月の25日に中央省庁の本省との連絡担当官会議の開催を予定しておりますほか,各省庁の地方のブロック機関との間においても,11月20日に北海道において開催を予定しているのを始めとして,各ブロックで連絡担当官会議を開催する予定であります。
もう一つの取組としては,研修会の開催です。入札談合や官製談合の未然防止を図るため,国の機関や地方公共団体,政府出資法人といった発注機関の職員を対象として,独占禁止法及び官製談合防止法に関する研修活動を平成20年度以降全国各地で主催しております。研修会は,発注機関又は公正取引委員会の主催で行っておりまして,昨年度,平成24年度は公正取引委員会主催のものは延べ21回,また発注機関が実施する職員向けの研修会に当委員会の職員を講師として派遣することが214回,合わせまして,合計して235回,開催しております。また,本年度は,10月末時点ですけれども,これまでに合計して175回の開催を行っているところであります。
公正取引委員会といたしましては,以上のような取組を通じまして,発注機関による入札談合等関与行為の防止のための取組を積極的に支援してまいりたいと考えております。
消費税の転嫁カルテル・表示カルテルの届出状況について
続きまして,2点目の消費税の転嫁カルテル・表示カルテルの届出状況などについてお話ししたいと思います。
先週の定例会見の場でも申し上げましたけれども,10月に受け付けました転嫁カルテル・表示カルテルは合わせて11件ありますけれども,届出状況につきましては,11月1日に公正取引委員会のホームページに掲載したところであります。
今後は,毎月初めに,前月分の届出状況をホームページに掲載するという形で届出状況を明らかにしていきたいと考えております。
また,これも先週の定例会見の場でも申し上げましたけれども,公正取引委員会は,消費税の転嫁拒否に関する情報を受身で待つのではなく積極的に情報を収集していくために書面調査を実施することとしておりまして,11月1日から公正取引委員会と中小企業庁で合わせて約15万件の調査票を郵送しているところです。この調査票につきましても公正取引委員会のホームページに掲載しているところであります。
今申し上げた転嫁カルテル・表示カルテル,また,公正取引委員会の行います消費税の転嫁拒否に関する情報を収集するための書面調査の両者につきましては,いろいろと質問なりが寄せられていることも踏まえまして,「よくある質問」というコーナーといいますか,そういった欄をホームページに設けて掲載しておりますので,一般の事業者の方々等が転嫁カルテル・表示カルテルの届出,また,消費税の転嫁拒否に関する書面調査に関して御質問等があれば,もちろん公正取引委員会のほうに相談していただいても結構ですし,この「よくある質問」コーナーというところを御覧いただければと思っております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 先週,東京高裁でありましたイーライセンスが原告になっている判決に関して,総長のこれについての受けとめと,今後の対応についてお聞かせください。
(事務総長) 今,御質問の点は,平成21年2月に公正取引委員会が,一般社団法人日本音楽著作権協会,JASRACと略称させていただきますけれども,JASRACに対して排除措置命令を行いました事件に関しまして審判請求が行われまして,昨年,平成24年6月に,その排除措置命令を取り消す審決を公正取引委員会が行ったところです。これに対して,審決取消請求訴訟が行われまして,先週,11月1日に東京高裁において公正取引委員会の審決を取り消すとの判決が行われたわけです。
受けとめという御質問ですけれども,今申し上げたように,公正取引委員会が行いました審決を取り消すとの判決でしたので,率直に申し上げて残念に思っております。今後の対応についての御質問について申し上げれば,判決文の内容を十分に吟味した上で,今後の対応を検討してまいりたいと思っておりまして,現在,検討しているところであります。
(問) 今のお話に関して1点だけですけれども,当初の排除措置命令の内容に今回の高裁の判決が沿ったような内容の判決になっておりまして,なかなか今後の対応などの判断が難しいのかなとも思うのですが,そういった点,もともと出された排除措置命令に沿った判決が出たということで,今後,どう対応されるかというところで判断が難しいようなところはあったりするのでしょうか。
(事務総長) そういった御指摘があるかもしれませんけれども,公正取引委員会としては,排除措置命令を行いまして,それに対して審判が行われ,審判においては審判官が,公正・中立な立場で被審人・審査官の双方に攻撃・防御を尽くさせた上で慎重な審理を行って,更に委員会において慎重な審議を尽くしたものです。したがって,今後の対応については検討してまいりたいと思っておりますけれども,排除措置命令にしろ,審決にしろ,公正取引委員会としては十分慎重に検討の上,行ってきておりますし,これからも慎重に検討の上,判断していきたいと考えています。
以上