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平成26年12月10日付 事務総長定例会見記録

平成26年12月10日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

独占禁止懇話会第199回会合議事概要(平成26年12月10日公表資料)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成26年12月10日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止懇話会第199回会合議事概要について

 本日は,12月2日に開催されました第199回の独占禁止懇話会の概要についてお話をさせていただきたいと思います。
 この独占禁止懇話会は,我が国経済の変化に対応して競争政策を有効かつ適切に推進するために,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見交換をし,併せて競争政策について一層の理解を深めていただくということを目的として,昭和43年11月以降開催しているものであります。会員になっておられる方々は,学識経験者,産業界,法曹界,消費者団体,中小企業団体などの各分野における有識者25名です。現在,会長には東京大学大学院経済学研究科の伊藤元重教授になっていただいております。
 今回,第199回の独占禁止懇話会では,3つのテーマ,「保育分野に関する調査報告書」,「食品分野におけるプライベート・ブランド商品の取引に関する実態調査報告書」,そして「優越的地位濫用事件タスクフォースにおける活動状況」について報告し,それぞれ会員から御意見をいただいたところであります。
 今回の会合におきまして会員からいただいた御意見の内容につきましては,本日公表いたしましたお手元の議事概要を御覧いただければと思いますが,この場でも,そのうちの幾つかを紹介させていただきたいと思います。
 まず,最初の議題であります「保育分野に関する調査報告書」につきましては,例えば,お手元の資料の2ページ目の最初のマルのところでございますけれども,「大都市圏以外においては,保育分野に市場原理を導入することは適さないという意見を持った人も少なからず存在すると考えられるため,本報告書の趣旨・提言内容について広く国民の理解を得ていくためには,例えば,新規参入障壁のない地域では保育のサービスが質的にも量的にも高いレベルにあることや,競争が活発な地域では利用者に対する情報開示が積極的であるといったような具体的な事実を通して,競争の価値を説明していくことが重要ではないか」との御意見をいただいたところであります。
 この御指摘に関しましては,今回の調査は初めての調査でもあり,そのような詳細な分析までは至っておりませんが,御指摘のあったように,競争のメリットを具体的な例を通じて訴えていくということに関しては,今後の私どもの執務,調査の参考とさせていただきたいと考えております。
 それから,2つ目の「食品分野におけるプライベート・ブランド商品の取引に関する実態調査報告書」につきましては,例えば,同じお手元の資料,2ページ目,一番最後のマルでございますが,「本件は食品業界に関する調査であるけれども,業界によって,その取引実態には違いもあるものと思われる。例えば,部品の組立て製造の業界では,協力企業,つまり納入業者と発注元企業が製造工程等におけるコスト削減を一緒に検討し,それによって生み出された利益を発注元企業と協力企業で分け合うということが一般的に行われている。優越的地位の濫用か否かの判断に当たっては,何を目的とした行為か等の実態を踏まえることも重要ではないか。その観点が抜けてしまうと,かえって健全な事業活動まで萎縮してしまうおそれがある」との御意見をいただいたところであります。
 これにつきましては,我々の方からは,優越的地位の濫用については,当該行為によって,取引先に不当な不利益を与えるということも要件の1つでありますので,御指摘のあったような事例のように,両者で検討し,合意の上,コスト削減の取組により得られた利益を分け合うということであれば,相手方に不当に不利益を与えていないと評価できることが多いと思いますので,そのような場合には優越的地位の濫用に該当しないと考えられますと説明したところであります。
 それから,3つ目の議題の「優越的地位濫用事件タスクフォースにおける活動状況」につきましては,例えば,このお手元の資料の4ページ目の最後から2つ目のマルでございますが,「注意案件であっても具体的な行為の内容を公表していることは,事業者の予見可能性を高めることに資するため,非常に有益である。他方,公表された事例にあるように,従来,優越的地位の濫用の規制は,協賛金の負担要請等のような取引開始後の行為を中心に運用されてきたが,今後は,取引開始時における取引条件の設定時の行為に係るものを含め,多様な行為類型を掘り起こしてもらいたい」との御要望があったほか,一番最後のマルでございますけれども,「公正取引委員会が業界ごとの取引実態調査を行うことによって,特定の業界における商慣習が明らかになり,その後,優越的地位濫用事件タスクフォースが個別事件を調査することを通じて,当該業界にもどのような行為が優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるか理解されてくるということがあると考えられる。公正取引委員会による取引実態調査やタスクフォースによる取組に今後とも期待したい」との御意見をいただいたところであります。
 以上,第199回独占禁止懇話会におきまして委員の皆様方からいただいた御意見の一部を紹介させていただきました。
 公正取引委員会といたしましては,今後,今回いただいた御意見を踏まえまして,今後とも適切な法運用に努めてまいりたいと考えております。

以上

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