[配布資料]
(平成26年5月14日)宇都宮市における一日公正取引委員会の開催について
[発言事項]
事務総長会見記録(平成26年5月14日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
平成26年4月までの消費税転嫁対策の取組について
本日は,私から2つの点についてお話をさせていただきたいと思います。
1点目は,昨日発表いたしました「平成26年4月までの消費税転嫁対策の取組について」と,もう1点は,公正取引委員会が全国各地で開催しております「一日公正取引委員会」の取組に関してお話をさせていただきたいと思います。
まず,昨日発表いたしました「平成26年4月までの消費税転嫁対策の取組について」ですが,それを踏まえまして,公正取引委員会における消費税転嫁対策の取組状況についてお話をさせていただきたいと思います。
公正取引委員会は,かねてより消費税の転嫁拒否等の行為につきまして迅速かつ厳正に対処してきているところですが,昨日も発表いたしましたように,本年4月末現在で,中小企業庁と私ども公正取引委員会と合わせまして1,219件の勧告及び指導を行いました。
このうち,公正取引委員会は,勧告を1件,指導を737件行ってきたところであります。
これも繰り返し申し上げていることですが,本年の4月1日以降,実際に消費税率が8%に引き上がりました。そして,その8%の税率が,4月以降に取引される商品に適用されているわけで,正に消費税率が引き上がった後の取引が実際行われてきております。
今後,これらの取引についての代金決済というものが実際に行われて,それは直ちに行われるのか,継続取引で月末にまとめて行われるのか,さらにはその翌月に行われるのか,いろいろあると思いますけれども,いずれにしても,その際に事後的に減額等の転嫁拒否等の行為が行われるおそれがあります。
こういうことから,私どもとしては転嫁拒否行為に対する監視というものを更に強化するという観点から,これも繰り返し申し上げましたように,4月から,中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等に対する悉皆的な書面調査,それから買手側であります大規模小売事業者及び大企業等に対する書面調査を開始してきているところですし,公正取引委員会は,大規模小売事業者に対する立入検査も4月に行ってきたところであります。
公正取引委員会では,このような書面調査等を活用いたしまして,4月1日の消費税率引上げ以降の取引につきまして,積極的に情報を収集し,転嫁拒否行為等の情報に接した場合には,迅速に調査し厳正に対処するということにしておりますし,その中で,重大な転嫁拒否行為が認められた場合には勧告・公表を積極的に行っていきたいと考えております。
これが消費税転嫁対策の取組についてのお話でございます。
一日公正取引委員会について
それからもう1点は,「一日公正取引委員会」ということでございまして,御案内のとおり,公正取引委員会の事務所は,本局は東京にありますが,地方事務所として札幌,仙台,名古屋,大阪,広島,高松,福岡に置かれております。ただ,この事務所の所在地以外の地域にお住まいの方にも公正取引委員会の活動について理解を深めていただけるよう,一日公正取引委員会と称する,バーチャルな1日限りの出張事務所を開設いたしまして,独占禁止法や下請法の普及・啓発活動や,事業者や消費者の方々からの相談の受付を行っております。また,今年は消費税率の引上げがありましたことから,消費税転嫁対策特別措置法に関する説明会と相談会につきましても,その中で開催していきたいと考えております。
本年度は,苫小牧市,青森市,宇都宮市,津市,大津市,山口市,松山市,佐賀市の全国8都市で一日公正取引委員会を開催することとしております。このうち,宇都宮市につきましては,来月,6月に開催する予定になっています。
お手元に6月26日に開催予定の宇都宮市における一日公正取引委員会の資料をお配りしていると思いますが,2枚目を御覧いただければと思います。
具体的にどんな活動をするのかということですが,この一日公正取引委員会では,まず,独占禁止法や下請法に関する「相談コーナー」を設けまして,終日相談を受け付けます。加えまして,今年は消費税の転嫁拒否についての相談会も開催する予定であります。
また,「独占禁止法講演会」,「消費税転嫁対策特別措置法の説明会」,「下請法の基礎講習会」,「入札談合等関与行為防止法研修会」,更には消費者の方々を対象として,対話型・参加型のイベントとして独占禁止法を分かりやすく説明する「消費者セミナー」を行う予定であります。この外,中学生を対象とした「独占禁止法教室」を宇都宮短期大学附属中学校の3年生を対象に実施する予定であります。
昨年度,平成25年度に今年と同じように全国8都市で開催した一日公正取引委員会は,延べ1,603名の方に御参加いただいたところであります。御参加いただいた方からの参加後のアンケートを御紹介いたしますと,例えば,「下請法基礎講習会に参加して,取引において注意すべき事項が明確になった。」でありますとか,「今まで理解できなかった独占禁止法についての知識を理解することができたので,これからの報道にも関心が持てるようになった。」,「このような消費者セミナーがあることを初めて知り,勉強になった。」という御感想を頂いているところです。
私ども公正取引委員会に対しましては,敷居が高いという御批判を受けることもあるわけでございますが,こういった一日公正取引委員会に参加していただいた方の御感想を踏まえますと,この取組が公正取引委員会についての理解を深め,身近なものと皆様に感じていただく非常に良い機会になっていると思いますので,今後とも我々としては,この一日公正取引委員会の取組に力を入れていきたいと思っております。
なお,この一日公正取引委員会のうち,独占禁止法講演会,消費税転嫁対策特別措置法説明会,下請法基礎講習会はどなたでも参加できるということでございまして,参加を希望される方は公正取引委員会のホームページからアクセスしていただくなり,公表資料の別添に付いているところでございますが,「講演会等申込書」に必要事項を記載の上ファクシミリでお申込みをいただければと思います。
また,一日公正取引委員会の当日に行う各種のプログラムは取材可能となっております。講演会や説明会,独占禁止法教室など,日頃個別に行っている公正取引委員会の様々な取組をパッケージとして1日で提供するというものでございますので,報道関係の皆様方にも,是非この機会に関心があるところを取材していただければと思っております。
私からは以上2点であります。
質疑応答
(問) 昨日の消費税転嫁対策の取組に関する報告を拝見して,例示として出ている「主な指導事例」の件で,個人事業者が被害者になっている例が若干多いのかなという気がしたのですが,個人事業者が被害者になるとか,何かなりやすい傾向ですとか,全体からみられるものがあるのかどうか,その辺についての御所見をお願いします。
(事務総長) 勧告については1件で,個人事業者ではありませんので,指導件数の中で,この主な指導事例にありますように特定供給事業者が個人の事業者であるという場合がどのくらいあるかというのは,今,数字的には把握しておりません。特定事業者たる大規模小売事業者に納入をする事業者には,個人事業者もいれば会社形態の中小企業者もおられると思います。その中で,例えば買いたたきとかそういうものが,個人事業者は,一般的にみて中小企業者(会社)よりも更に力関係が大きく離れているというようなことも言えるのかどうか,それは個別に見てみないと分かりません。確かに,ここに記載の主な指導事例では,私も初めて気が付きましたが,買いたたきのところで個人事業者が結構目立っています。
ただ今度,悉皆調査として400万事業者という話をしていますけれども,中小企業庁の統計では,中小企業者は個人と会社を合わせて380万事業者おられる中で,個人事業者が特に厳しい転嫁拒否行為に遭っている,あるいはその割合が高いという事実は,今の段階では私は承知しておりません。
以上