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平成26年5月28日付 事務総長定例会見記録

平成26年5月28日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

(平成26年5月28日)平成25年度における独占禁止法違反事件の処理状況について

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成26年5月28日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成25年度における独占禁止法違反事件の処理状況について

 本日,私からは,独占禁止法違反事件の処理状況について説明いたしたいと思います。
 資料はお手元にあると思いますけれども,この横長のA4のスライドの概要版で説明をさせていただきたいと思います。
 まず,2ページ目ですけれども,平成25年度におきましては,18件の排除措置命令を行ったところであります。具体的には,それぞれの事件についてその都度公表しておりますけれども,東京電力及び関西電力が発注いたします送電工事の受注調整事件,千葉県発注の土木一式・舗装工事における入札談合事件,船舶運航事業者による海外向け自動車運送業務に関する事件,異性化糖,水あめ・ブドウ糖に関する事件,それからインフルエンザの任意の予防接種などのいずれも価格カルテルの事件,それから北海道を拠点といたしますスーパーマーケットを運営する小売事業者と納入業者との取引における優越的地位の濫用事件について,表にありますように法的措置を採ったところであります。
 これらの事件では,違反事業者に対しまして,合計で約302億円の課徴金の納付を命じたところでありまして,表にありますように,平成20年度以降,課徴金は毎年度250億円を超えております。高水準を維持していると言えると思います。
 
 次に3ページ目でございますが,平成25年度におきましては,3条後段の違反事件,すなわち価格カルテル,官公需に係る入札談合及び民需に係る受注調整につきまして17件,先ほど申し上げました全体18件のうち17件の法的措置を採りました。それぞれの商品・サービスの市場規模をみますと,年間で合計約4200億円に達しております。
 また,国民生活に密接な関連を有する分野における違反行為について法的措置を採っておりまして,平成25年度の場合は,下の表にありますとおり,電力会社発注の送電工事の事件などについて,独占禁止法違反行為を排除したところでありまして,この点でも消費者の利益の保護に寄与できたのではないかと考えております。
 

 続きまして4ページ目でございます。平成25年度では,鉄道・運輸機構発注の北陸新幹線に係る入札談合事件につきまして,本年3月4日に,事業者8社とその従業員8名を検事総長に告発いたしました。
 公正取引委員会は平成2年6月にいわゆる刑事告発方針というものを公表いたしまして,適当な事案について積極的に刑事告発を行っていたところでございますけれども,この方針の公表以降15件目,本件の前のベアリングカルテルの告発から約1年9か月ぶりの告発を行ったわけであります。本件は,上場企業を含む全国的な事業活動を行っている事業者によって行われたことと,2つ目に,公共的な社会的インフラ整備に係るものであること,3つ目に,関係人の一部の従業員が平成18年の防衛施設庁に係る入札談合事件で有罪となっておりまして,関係人は入札談合が独占禁止法に違反する行為であることを認識した上で行っていると考えられるものであることから,刑事告発方針上の国民生活に広範な影響を与える悪質で重大な事案等に該当するものと考え,告発したところであります。
 公正取引委員会といたしましては,今後とも,このような国民生活に影響の大きいカルテルや入札談合等の独占禁止法違反行為につきまして,刑事告発を積極的に行っていきたいと考えております。
 

 続いて5ページ目でございますが,公正取引委員会は,入札談合の中でも,いわゆる官製談合に対しまして,厳正に対処をしてきているところでございます。今申し上げた鉄道・運輸機構発注の北陸新幹線の入札談合事件におきましては,発注者であります鉄道・運輸機構の職員が特定の入札参加業者に,入札前の未公表情報であります予定価格を教示しておりまして,発注者が入札談合に関与するいわゆる官製談合が行われていたところであります。
 このような官製談合をなくすためには,入札参加業者だけでなく発注者に対しても再発防止策を講じさせる必要があります。
 このため,本件では,本年3月19日に,発注者である鉄道・運輸機構の理事長に対しまして,入札談合等関与行為防止法に基づき改善措置要求を行ったところです。
 公正取引委員会といたしましては,今後とも,このような官製談合を始めとする独占禁止法違反行為に対して,厳正・積極的に対処するとともに,再発防止を図っていきたいと考えております。
 

 次に6ページ目でございます。中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用行為に対しましても,公正取引委員会は従来から厳正かつ効果的に対処することとしているところでございますが,具体的には,平成25年度におきましては,北海道を拠点とするスーパーマーケットによる納入業者に対する優越的地位の濫用事件につきまして,排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。加えまして,平成21年11月に審査局内に設けました「優越的地位濫用事件タスクフォース」が優越的地位の濫用行為の抑止・早期是正の観点から効果的かつ効率的に調査を行いまして,平成25年度は,問題のみられたホテル,旅館,大規模小売業者等に対して,昨年の57件を超える58件の注意を行ったところであります。
 

 次に7ページ目でございます。不当廉売行為に対しましても,公正取引委員会は迅速かつ的確に対処をしてきているところですが,不当廉売は対抗廉売による廉売の激化や拡大を引き起こしやすいということがありますので,廉売行為の影響が大きくなる前に未然に防止することが重要であるというふうに考えています。この観点から,酒類,石油製品,家電製品等の小売業につきましては,申告を受けてから原則2か月以内に処理することを目標とし,問題のみられた事業者に対し注意を行ってきているところであります。
 平成25年度におきましては,不当廉売に関して合計で1,366件の注意を行ったところです。
 

 最後の8ページ目でございますが,私どもの独占禁止法違反行為についての調査の過程で,競争政策上必要な措置を講じるべきであると判断した事項につきまして,発注者や関係官庁等に申入れや要請を行っております。
 平成25年度におきましては,8ページの表にありますとおり,事業者団体の会合がカルテルの場に使われたことに関する事業者団体への要請,それから東京電力など発注者が民間事業者であるということから省庁発注の場合とは別に申入れを行ったもの,更には,船舶による自動車運送業務の価格カルテル事件における関係官庁に対する要請など,以上5件を行っているところであります。
 

 公表資料の本文の10ページから11ページに,審判・審決のことが書かれております。この10ページから11ページにありますように,平成25年度中に係属した審判事件数は182件であります。また,平成25年度中に15件の審決を行いました。平成25年度末,すなわち平成26年3月末現在の審判係属事件数は165件となっているところであります。
 

 最後になりますが,公正取引委員会といたしましては,独占禁止法の執行において,今後とも,国民生活に影響の大きい価格カルテル・入札談合,中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売などの行為を排除することを通じまして,公正かつ自由な競争を促進し,一般消費者の利益が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上です。

以上

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