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平成26年6月4日付 事務総長定例会見記録

平成26年6月4日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

(平成26年6月4日)平成25年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成26年6月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成25年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組について

 先週の定例会見で,平成25年度における独占禁止法の違反事件の処理状況について御報告をいたしましたけれども,本日は,お手元にお配りしております「平成25年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」についてお話をさせていただきたいと思います。

 まず,概要の1ページ,それから,概要の次に本文がありますが,本文で言いますと2ページに下請法違反事件の処理状況を記載しております。平成25年度におきましては,10件の勧告を行い,そのほか,4,949件の指導を行ったところです。この指導件数は,昭和31年の下請法施行以降,過去最多となるものであります。
 10件の勧告の中身は,6件が製造委託に係るもの,2件が役務委託に係るもの,1件が製造委託及び修理委託に係るもの,1件が製造委託及び情報成果物作成委託に係るものでありました。また,違反行為類型でみますと,下請代金の減額が9件,不当な経済上の利益の提供要請が1件でありました。
 勧告を行った事件の中には,中小企業庁長官から措置請求があったものや,改正下請法が施行されました平成16年4月以降,初めての旅行業者に対する事件もございます。

 また,概要の2ページ,本文ですと9ページに,親事業者が行った下請代金の減額分の返還など,下請事業者が被った不利益の原状回復の状況について記載しております。平成25年度におきましては,原状回復を行った親事業者は244名であり,下請事業者5,604名に対しまして,総額6億7087万円分の原状回復が行われたことになります。
 この原状回復額は,前年度,平成24年度の57億円と比べますと減少しておりますが,これは,勧告件数が少なかったこと,それから,平成24年度には,平成24年9月に勧告いたしました日本生活協同組合連合会,これは39億円弱の返還があった件でございますが,その件のように原状回復が高額な案件が少なかったことが影響しているものと考えております。
 なお,先ほど申し上げましたように,平成25年度は,指導件数は過去最高となったこともありまして,本文の9ページに記載のとおり,原状回復を行った親事業者数は増えているところであります。

 それから,概要の2ページ目,それから,本文で言いますと11ページ目に,下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案について記載してあります。これまでの発表では,下請事業者に与える不利益が大きいなど自発的な申出がなければ勧告に相当すると考えられる事案のみの件数を御報告していたところでございますけれども,平成25年度におきましては,そのような事案のみならず,自発的な申出が行われた件数全体を記載することとしております。こうすることによりまして,今後,より一層,この下請法における自発的な申出の制度が利用されることを期待するという観点から,全体の数字を公表することとした次第であります。
 平成25年度におきましては,このような親事業者からの自発的な申出は12件ありました。このうち1件については,違反行為の内容が下請事業者に与える不利益が大きいなど自発的な申出がなければ勧告に相当すると考えられる事案でございました。

 今申し上げてきましたとおり,平成25年度におきましても,公正取引委員会は,下請法違反行為に対して迅速かつ効果的に対処してきたところでございますけれども,下請法の運用に当たっては,言うまでもなく,違反行為の未然防止を図ることも重要であります。この観点から,企業間取引の公正化へ向けた各種の施策を実施してきているところでございます。

 平成25年度におきましては,概要ですと3ページ以降,本文ですと12ページ以降に書いてありますけれども,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」としまして,中小企業庁と合同で,この期間に全国各地で講習会を集中的に実施するなど普及・啓発を行っているところであります。これ以外にも,下請法や優越的地位の濫用規制のより効果的な普及・啓発活動を図る観点から,例えば,下請法の基礎講習会,小売業者向けや荷主向けといった業種別講習会など,参加者の習熟度や業種に応じた各種の講習会を開催するなど,きめ細やかな対応に努めているところであります。

 さらに,概要で言いますと,この3ページの下のほうからですが,本文ですと14ページ以降にありますように,各種の実態調査を公正取引委員会として実施いたしまして,その内容の普及・啓発を図ることにより,違反行為の未然防止に役立てているところであります。

 先ほど申し上げましたように,平成25年度は指導件数が過去最高となっております。公正取引委員会としては,引き続き,違反行為の未然防止に努めるとともに,違反行為に対しましては,下請事業者が受ける不利益が重大であると認められる場合には勧告を行うなど迅速かつ効果的に対処することにより,下請取引等の一層の適正化に努めてまいりたいと考えております。
 あわせて,下請法の運用状況や違反行為の未然防止に向けた取組について,広報・周知を徹底することによりまして,多くの事業者に講習会へ参加していただき,違反行為が未然に防止されることを強く期待しているところであります。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 平成25年度の下請法の指導件数が過去最高になった背景というか,指導の状況をどのように分析しておられるのか,なぜこんなに多くの指導が必要になったのかという分析をお聞かせいただけますでしょうか。
(事務総長) なぜ指導件数が多くなったかということに焦点を当てた具体的な分析はしておりませんので,正確なところは申し上げかねますけれども,例えば,この概要の1ページ目のグラフにも書いてありますように,平成22年度以降,4,000件を超える高水準で指導件数は推移しております。したがって,これは親事業者と下請事業者の取引をめぐる経済環境というものには,依然として厳しいものがあるということが背景にあるのだろうと考えております。
 ただ,1点留意していただきたいのは,今日発表いたしましたのは,平成25年度における調査の結果でございます。勧告ですとかなり時間が掛かりますし,指導はなるべく迅速にということにしておりますけれども,ある程度調査に時間は掛かるわけでありまして,平成25年4月から平成26年3月に調査が終了した事案というものは,かなりのものがその前の年度にあったものでございまして,そういう調査のタイムラグということを頭に入れた上で,先ほどの私の背景についてのコメントを御理解いただければありがたいと思います。

以上

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