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平成26年7月16日付 事務総長定例会見記録

平成26年7月16日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成26年7月16日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

数字で見る公正取引委員会の歴史について

 皆様,御承知のとおり,独占禁止法は昭和22年,1947年の4月に公布されまして,7月20日に施行されております。したがいまして,今週末の7月20日の日曜日ですけれども,公正取引委員会の創立記念日になります。公正取引委員会は今年で満67歳ということになるわけでございます。そこで,本日は,私からは,公正取引委員会のこの67年の歴史について,幾つかの統計数字に触れながらごく簡単に振り返ってお話をさせていただきたいと思います。お手元の資料,グラフと数字がありますが,一番最初に独占禁止法違反事件の法的措置件数の推移でございます。法的措置につきましては,年度によっては50件を超すなど公正取引委員会が発足してしばらくの間は,相当数に上る法的措置が行われておりました。その後,昭和30年代に入りまして,不況の影響や昭和28年の法改正の影響がありまして,また,このころは,経済的自立という目的の下で,国内産業の保護,育成というものが重視された時期でもありまして,法的措置件数は御覧のとおり減少したところであります。
 しかしながら,この時期におきましても,資料にはありませんけれども,朝鮮特需後の不況下において,下請事業者に対する支払遅延の問題が顕在化したことから,昭和31年には下請法が制定されております。
 また,ニセ牛缶事件,缶詰の表示は牛であったにもかかわらず,中身はクジラの肉という不当表示の事件やチューインガムを買えば1000万円が当たるとか,ウイスキーでハワイ旅行とか,そういった過大な景品付販売に関する議論の中で,昭和37年には景品表示法が制定されたわけでありまして,このように中小企業保護,消費者保護に関わる立法的,政策的な取組がなされた時期でもあります。
 その後,昭和40年代に入りまして消費者物価の高騰,あるいはオイルショック,昭和40年代後半の狂乱物価といったような時期におきましては,価格カルテル等が横行したことから、これらの対処のために措置件数が増えていったわけであります。代表的な事件といたしましては,昭和49年2月に刑事告発した石油元売業者による価格カルテル事件と石油連盟による生産調整事件がありました。こうした中,当時,行政事件ではカルテルを摘発しても,カルテルの申し合わせの破棄を命ずるだけでしたので,いわゆるカルテルの「やり得」があったと指摘されたところでありました。このようなことから違反行為の抑止力を高め,カルテルの禁止規定の実効性を確保するために,昭和52年の法改正で課徴金制度が導入されたわけであります。導入当時の課徴金の算定率は原則売上の1.5%ということでありました。
 その後,昭和50年代に入りまして,第二次オイルショック後の不況下におきまして,措置件数はやや減少いたしましたが,平成に入ってからは,また法的措置件数は増えてきております。この時期は,平成元年,日米構造問題協議が開始され,日本市場の閉鎖性が指摘されたところでありまして,その解決策として,独占禁止法の制度面と運用面の両面についての強化が求められた時期でもありました。平成2年6月には刑事告発に関する公正取引委員会の方針を公表いたしまして,刑事告発を積極的に行うことを明らかにしております。実際,この告発方針の公表までの告発件数はそれまでの約40年間で6件でありましたのに対しまして,この方針の公表後の24年間の告発件数は15件となっております。その後,規制緩和の推進とともに,独占禁止法の執行が一層強化されるようになりまして,平成8年には体制的にもそれまでの事務局制から事務総局制に変わっております。さらに,平成17年の法改正では,課徴金減免制度,犯則調査権限の導入等がなされまして,公正取引委員会の執行能力が更に向上したところであります。
 次に,次のグラフで,課徴金額の推移についてお話を申し上げたいと思います。
 課徴金は今申し上げましたように昭和52年に導入されました。最初の課徴金納付命令は,昭和53年度の生コンクリート製造業者4名に対するものでありまして,総額507万円でありました。平成3年には課徴金算定率を原則1.5%から6%,さらに,平成17年には6%から10%に引き上げる法改正を行い,また,平成21年には課徴金を適用する範囲が拡大されまして,優越的地位の濫用行為もその対象となったところであります。平成22年度の課徴金額は,約720億円と過去最高となりました。この年度の課徴金額の中には,平成17年独占禁止法改正法による改正前,我々旧法と呼んでおりますけれども,旧法に基づく課徴金納付命令,課徴金納付を命ずる審決による課徴金の金額を含んでおりますので,これが平成22年度におきましては,約720億円の半分を占めていたわけであります。それを除きますと,すなわちその年度に終了した事件審査の結果,納付を命じた課徴金ということでは,平成23年度の約442億円が過去最高の課徴金額となっております。また,平成25年度は課徴金の総額は,その年度に審査が終了したものに限りましても301億円という高水準となっております。
 次に,企業結合の届出,報告件数について簡単に触れておきたいと思います。
 この企業結合関係の届出,報告件数につきましては,関連の制度改正が何回か行われておりまして,それに伴って件数も大きく変わる年があります。平成10年の法改正によりまして,それまで一定規模以上の総資産の会社が株式を所有する場合には,全て株式所有報告書の提出を毎年度義務付けていたところを,平成10年度の法改正によりまして,一定規模以上の総資産の会社が一定割合,10%,25%,50%を超えて,株式を取得する場合にだけ届出を義務付けるということにいたしましたので,この法改正におきまして,平成11年度以降は,届出,報告件数が,資料にありますように,激減したところであります。
 また,平成21年には,国際的整合性を踏まえまして,届出基準として,それまでの総資産基準を改めまして,国内売上高というものを基準として採用し,また,届出が必要となる株式取得を10%,25%,50%の3段階から2段階,20%,50%に簡素化するなどの法改正を行った結果,平成22年度には,更に届出の件数が減少しているところであります。
 最後に,定員と予算額についてですが,資料の4と5です。定員でございますけれども,公正取引委員会は昭和22年度に284人でスタートをいたしました。昭和20年台後半に機構の縮小がありました。昭和28年度から34年度まで237名で,最小の人数となっております。その後,徐々に増加いたしまして,昭和41年度には300名,昭和52年度には400名,平成6年度には500名,平成14年度には600名,平成17年度には700名,そして平成25年度に800名を超える定員となってきており,現在の平成26年度末の定員は830名となっております。
 予算につきましても,公正取引委員会の場合は予算の8割強が人件費でありますので,今申し上げました定員増に伴いまして,予算額も徐々に増加してきております。先ほど300人を超えたという昭和41年度の予算は3億600万,昭和52年度は19億6000万,平成6年度は52億4000万,平成14年度は76億8600万,平成25年度には約88億円となっております。
 本年,平成26年度の予算につきましては,消費税の円滑かつ適正な転嫁対策経費の20億円,20億3500万円が加わっておりますので,総額113億2100万円となっておるところであります。
 最後のページ,お手元の資料の最後のページに,参考といたしまして,アメリカ,EUの競争当局の職員数と予算についてのデータを付けております。これいずれも,アメリカの場合は,DOJ(司法省)の反トラスト局,それからFTCは消費者保護部門も持っているわけですが,職員の数については,この部門別の統計が出ておりませんので一緒にしたもの,それから予算額については,FTCについて,消費者保護部門との切り出した数字がありますので,それも併せて書いております。
 2013年度を見ますと,今申し上げました日本は823名,予算は約88億円ですが,アメリカの司法省の反トラスト局は,そこにありますように,676人と。それからFTC,これは消費者保護部門も含めますけれども,1145人となっております。予算はそれぞれ日本円に換算しまして,DOJの反トラスト局は1億5834万ドルですから,約161億円。FTCの方は,3億1156万ドルで,約316億円。そのうち,消費者保護部門を除くところは約138億円となっているところでございます。
 EUの競争総局の定員,職員数は,2013年度で728人。予算は9450万ユーロ,日本円で換算いたしまして,約131億円ということになっております。
 ただこの数字を比較するときには,アメリカやEUにおきましては,アメリカでは各州,EUでは各加盟各国にそれぞれ競争当局があるということに留意する必要があります。
 以上,申し上げましたように,昭和22年に公正取引委員会が発足して今年で67年が経過したわけですが,この間の,今申し上げました公正取引委員会の活動を通じまして,独占禁止法や競争政策の意義,重要性が日本の社会に着実に認識されるようになってきたというふうに考えております。同時に,世の中から公正取引委員会に対してより大きな期待が寄せられている点も感じております。今後ともこうした期待にできる限り応えるべく,厳正な法執行,的確な法の運用,さらには競争政策の推進のためのもろもろの活動に取り組んでまいりたいと考えております。
 これが,公正取引委員会の創立記念日のお話でありまして,もう一つ,消費税の話について一言触れておきたいと思います。本日3時と聞いておりますが,平成26年6月までの消費税転嫁対策の取組について公表することとしております。詳細につきましては,3時に配布いたします資料をお読みいただければと思いますけれども,これまでの公表資料と同様,本年6月末現在における勧告件数,指導件数,主な指導事例,未然防止のための取組状況について御紹介をさせていただいているところであります。
 また,これまで繰り返し申し上げてきたところですが,公正取引委員会では,転嫁拒否行為に関する監視を引き続き厳正に行うために,本年4月から中小企業庁と合同で書面調査を実施しているところでございまして,これらの書面調査などによりまして把握した情報を踏まえて,現在,順次調査に着手しているところでございます。そして,この調査の結果,違反行為,転嫁違反行為が認められた場合には,迅速かつ厳正に対処し,重大な転嫁拒否行為が認められた場合には,勧告,公表を積極的に行うこととしたいと考えております。このような取組を引き続き行うことによりまして,転嫁拒否行為が水面下に隠れてしまうことがないよう,これらの行為に対してしっかりと公正取引委員会として対処していきたいと考えております。
 私からは以上2点でございます。ありがとうございました。

以上

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