[配布資料]
平成28年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等(平成28年11月9日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成28年11月9日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
平成28年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等
本日はお手元にお配りしております,「平成28年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等」につきまして,お話をさせていただきたいと思います。
概要のペーパーに基づいてお話をさせていただきます。まず,概要の1ページ目でありますが,下請法違反事件の処理状況が記載されております。平成28年度上半期におきましては,3件の勧告を行い,そのほか,3,796件の指導を行ったところであります。
また,概要の2ページ目に,親事業者が行った下請代金の減額分の返還など,下請事業者が被った不利益の原状回復について記載されております。平成28年度上半期におきましては,原状回復を行った親事業者は合計113名でありまして,下請事業者2,702名に対しまして,総額9億1220万円相当の原状回復が行われたところであります。
平成28年度上半期の下請法の事件処理の特徴といたしましては,平成27年度上半期に比べ,勧告と指導を合わせた措置件数が3,365件から3,799件と増加していることにあると思います。これを違反行為類型別にみますと,これは例年と同じ傾向でありますけれども,実体規定違反のうち,支払遅延,買いたたき,減額の3つの行為類型で全体の9割近くを占めているということが挙げられます。
今,申し上げましたとおり,平成28年度上半期におきましても,公正取引委員会は下請法違反行為に対しまして,迅速かつ効果的に対処してきたところでありますけれども,下請法の運用に当たりましては,違反行為の未然防止を図るということも重要でありますので,概要の2ページ目の「第2」以降,企業間取引の公正化へ向けた各種の取組について,私ども公正取引委員会の取組を記してあります。
まず,下請法や優越的地位の濫用規制のより効果的な普及・啓発を図る観点から,基礎講習会,業種別講習会など,参加者の習熟度や業種に応じた各種の講習会を行うとともに,親事業者と下請事業者それぞれが下請法を正しく理解することができるよう,下請法講習用動画を作成いたしまして,私どものホームページ等に公開したところであります。また,中小事業者からの求めに応じまして,公正取引委員会の職員が地方に出向く,「中小事業者のための移動相談会」を開催するなど,きめ細やかに対応してきたところであります。
さらに,公正取引委員会は,中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法・独占禁止法の一層の運用強化に向けた取組を進めることといたしまして,その取組の一環としまして,ここでも申し上げましたが,下請法の運用基準における違反行為事例の大幅な拡充等を行うべく,去る10月26日から運用基準の改正案をパブリックコメント手続に付したところであります。
平成28年度下半期におきましては,公正取引委員会は,中小企業庁と共同いたしまして,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」とし,この期間内に下請法の普及・啓発を集中的に行っております。内容といたしましては,例えば,全国47都道府県,63会場におきまして,下請法に関する講習会を開催することとしております。また,下請法等に関する基礎知識を有する者を対象といたしまして,より具体的な事例研究を中心とする「応用講習会」につきまして,本年12月以降,開催することとしております。
このほか,公正取引委員会は,各地域の下請取引等の実情に明るい中小事業者の方々などに下請取引等改善協力委員を委嘱しております。この本文の方の18,19ページに記載しておりますとおり,上半期には,各協力委員から下請取引等をめぐる最近の状況などについて意見聴取を行ったところであります。協力委員からは,例えば「円高や株価下落の影響等により,昨年と比較して受注量が減っている」でありますとか,「下請法の知識がなく,違反行為の認識がないまま違反行為を続けている事業者がまだ多いと考えられることから,下請法の更なる普及啓発が必要である」といった貴重な御意見を頂いたところであります。このような協力委員からの生の声を,今後の私どもの普及・啓発活動,さらには執行活動に生かしていきたいと考えております。
先ほど申し上げましたように,指導件数が昨年度上半期より増えております。依然として下請事業者が厳しい対応を迫られている状況の中,公正取引委員会としては,引き続き,下請法違反行為の未然防止に努めるとともに,違反行為により下請事業者が受ける不利益が重大であると認められる場合には勧告を行うことも含め,迅速かつ効果的に対処することにより,下請取引等の一層の適正化に努めてまいる所存であります。
以上