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平成28年4月13日付 事務総長定例会見記録

平成28年4月13日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成27年度下半期)について(平成28年4月13日公表資料)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成28年4月13日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成27年度下半期)について

 本日,私からは,平成27年10月から平成28年3月にかけて行いました平成27年度下半期の独占禁止政策協力委員からの意見聴取について,協力委員の方から頂いた主な御意見,御要望につきまして,本日,公表いたしましたお手元の資料に沿って,その概要を紹介させていただきたいと思います。
 独占禁止政策協力委員制度は,全国各地域の有識者の方々に公正取引委員会の活動について理解を深めていただくとともに,地域の経済社会の実情を伺い,実態に即した経済政策の運営を行うため,平成11年度から設置している制度でありまして,全国各地域の経済界,報道機関,学識経験者,消費者団体といった有識者150名の方々に協力委員を務めていただいております。各年度,上半期と下半期の年2回,競争政策や公正取引委員会の活動等につきまして御意見や御要望を伺っているほか,消費者セミナー,独占禁止法教室等の公正取引委員会が行っております広報活動にも積極的に御協力いただいているところであります。
 平成27年度下半期における協力委員の方々からの御意見,御要望のうち主なものを紹介させていただきますと,お配りしました資料の1ページ目にあります「公正取引委員会に対する期待」に関する御意見といたしましては,例えば一番上でございますが,「東京オリンピック・パラリンピックを見据えた動きや震災復興の影響が続き,建設関連の工事費用が高止まりしている。先般,東北自動車道の復興工事に関して公正取引委員会による捜索が行われたが,同様の不正に対して今後もしっかりと監視してほしい」という御意見を頂いたところであります。
 この点に関しましては,皆様御承知のとおり,今年の2月29日に,東日本高速道路株式会社東北支社が発注しました東日本大震災に係る舗装災害復旧工事につきまして,入札談合行為があったとして刑事告発を行ったところであります。
 このほかにも,公正取引委員会は,国民生活に影響の大きいカルテル・入札談合をはじめといたしまして,社会的ニーズに的確に対応した多様な事件に厳正かつ積極的に対処しているところでありまして,今後ともこの姿勢を続けていきたいと考えております。
 次に,2ページ目の「広報・広聴活動」に関する御意見といたしましては,例えば2つ目の「ホームページで下請法についての動画を閲覧したところ,文章だと難解な印象を受けてしまう法制度の仕組みや意味が分かりやすく解説されていた。ただし,親事業者と下請事業者の区分について分かりにくいので,具体例を挙げて説明した方がよい」との御意見を頂いたところであります。
 この点に関しましては,当委員会では,ホームページに掲載している動画に加えまして,昨年の10月から,政府の動きや重要施策を動画で紹介いたします「政府インターネットテレビ」におきまして,下請法の重要性などを紹介する番組「下請事業者の強い味方!知っておきたい『下請法』」を公開しているほか,本年1月23日,24日には,国民に身近な政策や行政の取組などについて分かりやすく解説する政府広報ラジオ番組「なるほど!!ニッポン情報局」におきまして,下請法についてクイズ形式などを用いて紹介する番組を「下請事業者を助ける!『下請法』って何だ!?」というタイトルで放送したところであります。これらの番組は,現在も公正取引委員会のホームページで視聴することができます。
 公正取引委員会といたしましては,今,紹介いたしました御指摘を踏まえまして,今後とも,広報・広聴活動のより一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 また,その次の「実態調査等」に関する御意見といたしましては,例えば3つ目の御意見として,「小さな店でも物流さえ追い付けば,eコマースは可能であるので,今後もeコマースによる販売は伸びていくと思う。ヨーロッパの競争当局はeコマースにおける競争法の適用に関心を持っていると聞いたことがあるが,公正取引委員会からもeコマースに関する独占禁止法上の考え方等について情報を提供してほしい」といった御意見を頂きました。
 この点に関しまして,公正取引委員会は,eコマースの進展などを踏まえまして,流通・取引慣行の変化に関する競争政策の観点からの評価と,これを踏まえた流取・取引慣行ガイドラインの見直しの方向性を検討するために,各界の有識者からなります「流通・取引慣行と競争政策の在り方に関する研究会」を立ち上げて検討を進めているところであります。
 また,公正取引委員会は現在,オンライン関連事業の競争環境を把握し,競争政策の適切な運営を図るという観点から,オンライン関連事業に関する調査を経済産業省と共同で実施しているところであります。
 公正取引委員会といたしましては,引き続き,このような活動を含め,取引実態の把握や事業者に対する情報の提供を図ってまいりたいと考えています。
 最後に,「消費税転嫁対策特別措置法に係る公正取引委員会の取組」に関する御意見といたしましては,1つ目にあります,「取引先を失ってしまうくらいなら消費税の転嫁を我慢すると考える中小企業もいると思う。このようなことが続くと中小企業が倒産し,地域が衰退していく原因にもなるので,公正取引委員会には引き続き消費税の転嫁拒否等の行為の未然防止に努めてほしい」との御意見を頂いたところであります。
 公正取引委員会は,消費税の転嫁拒否等の行為に対しまして,消費税転嫁対策特別措置法に基づき迅速かつ厳正に対処をしているところでありますが,これに加えまして,当委員会は,全国で説明会を開催しているほか,主な違反事例について説明したパンフレットを作成,配布いたしました。また,消費税転嫁対策に係る広告を新聞やインターネットに掲載するなどいたしまして,事業者等に対して消費税の転嫁拒否行為が禁止されていること,転嫁拒否行為に対して厳しく監視していることなどを周知し,違反行為の未然防止に努めているところであります。
 今後とも,違反行為に対する厳正,迅速な対処と,違反行為に関する周知による違反行為の未然防止に引き続き努めてまいりたいと考えております。
 以上,平成27年度下半期の意見聴取におきましては,只今御紹介しました御意見や御要望のほかにも多数の御意見,御要望を頂いておりまして,公正取引委員会といたしましては,この寄せられました御意見,御要望を踏まえまして,今後とも独占禁止法の厳正,適正な執行,競争政策の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。

質疑応答

(問)先日,発表されました公正取引委員会と中国の商務部との競争当局間の協力関係に関する覚書についてですが,これによってどのような効果を期待しているのか教えてください。
(事務総長)平成28年4月11日に,中国の商務部との協力に関する覚書を公正取引委員会は締結したところであります。
 その目的でありますが,これは4月11日の公表文にもありますように,競争法,競争政策及びその執行の分野における連絡及び協力のための適切な枠組みを規定することによって,両競争当局のパートナーシップを強化するということであります。これは,この種の独占禁止協力協定,あるいは覚書,あるいはEPAの競争章と一貫した目的であろうと思います。御案内のとおり,中国商務部は中国の独占禁止執行当局の三つのうちの一つでございまして,中国では事業者集中という言葉になりますが,企業結合の審査を担当しております。したがいまして,中国の商務部との覚書の締結によりまして,特に企業結合の審査等の分野で中国当局と公正取引委員会との更なる協力,連携関係が強化されることを期待しております。
(問)昨日,教科書会社の謝礼を巡って,調査が入ったと聞いております。文部科学省が調査結果を取りまとめてはおりますが,公正取引委員会として,どういった点に主眼を置いて調査をされるのか,お考えをお聞かせください。
(事務総長)昨日,教科書発行者22社に対しまして,独占禁止法に基づく調査を行う旨を説明し,調査への協力を求めたところであります。今後,調査を進めることでございますので,詳細についてはコメントを差し控えさせていただきますけれども,一般論として言えば,小中学校において使用する教科書の発行者が,教科書の採択に関与する者に対しまして,教科書の採択を勧誘する手段として金品等の経済上の利益を供与し,これにより教科書発行者間の公正な競争が阻害されるおそれがある場合には,独占禁止法に基づく一般指定で定められております「不当な利益による顧客誘引」に該当し,独占禁止法上問題となると考えております。

以上

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