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平成29年5月10日付 事務総長定例会見記録

平成29年5月10日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成29年5月10日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

ICN年次総会について

 本日は国際競争ネットワーク,ICNの年次総会について御紹介をさせていただきます。ICNの第16回年次総会は,本日5月10日から5月12日金曜日の日程で,ポルトガルのポルトで開催される予定であります。公正取引委員会からは,杉本委員長らが出席しています。同総会には,競争当局関係者のほか,民間の弁護士等も含めまして,90を超える国・地域から500名以上が参加するというふうに承知しております。
 ICNは,世界の競争法の執行の手続面及び実体面の収れんを促進することを目的とする競争当局のネットワークであります。2001年に日本を含む14か国・地域の16当局によって設立されましたが,現在では122の国・地域から135の当局が参加する,競争法の分野における最大の国際組織となっております。
 今回の年次総会では,カルテルや企業結合などの主要な作業部会における過去1年間の活動成果や今後の課題について議論が行われます。杉本委員長は,リニエンシー制度と今後の課題をテーマとしたカルテル作業部会の全体会合におきましてスピーカーを務め,リニエンシー制度の国際的な収れん,競争当局間の協力の重要性などについて紹介する予定となっております。
 また,この世界の競争当局関係者が一堂に会するICNの年次総会の機会を捉えまして,ポルトでは,ICN以外の組織が主催するいくつかの会議も開催が予定されております。公正取引委員会もUNCTADとの共催という形で,食品小売分野等における優越的地位の濫用の問題をテーマにした会議を開催することを予定しております。この会議におきましては,日本のほか,オーストラリア,インドネシア及びドイツのスピーカーが,スーパーなどの食品小売分野の問題を中心に,各国における優越的地位の濫用行為の規制の状況につきまして,意見交換を行うことを考えております。
 公正取引委員会としては,引き続きICN等の国際的な活動に積極的に貢献していきたいと考えております。

質疑応答

(問) 最後におっしゃられた食品の優越について伺いたいんですけれども,優越的地位の濫用というのは,日本と韓国ぐらいしかないという認識でいたんですけれども,英国などで食品分野でガイドラインを作ったりとか,そういう分野ごとのガイドラインができるという動きというのは結構増えてきているんでしょうか。
(事務総長) 各国別の詳細につきましては,数年前にCPRCの方で,各国の優越的地位の濫用規制のサーベイを行っております(注)ので,それを見ていただきたいと思います。今の御質問に直接お答えすることになるかどうか分かりませんが,優越的地位の濫用規制につきましては,2008年,京都でICN総会が開催されましたときに,特別プログラムのテーマとして,日本が優越的地位の濫用規制のテーマをとりまして,以降,国際的な議論をリードしてきたという自負のある分野の一つであります。
 実際,その問題につきましては,例えば,私が,このICNの京都総会の少し前に,国際審議官だったときに,インドネシアから国会議員の方が公正取引委員会に来るということで,何のお話かと思ったら,下請と優越的地位の濫用の話,特に食品分野において非常に興味があるということでした。確かに,各国の競争法の内容を見ますと,アメリカ,EU等には優越的地位の濫用規制そのものはございませんが,例えば,EUの加盟国であるそれぞれの国,それから,アメリカの各州等々におきましては,優越的地位の濫用規制の規定が,あるいは競争当局の所管として,あるいはそれ以外の当局の所管として規制されておりまして,この問題自体は,各国において共通の課題として取り上げられていると思います。
 そういう意味もありまして,京都総会で,当時の竹島委員長のリードのもとで,この課題を選び,かなり突っ込んだ議論がなされたと思います。それ以降,CPRCの共同研究の題目としても取り上げましたように,各国におきまして企業活動のグローバル化が続く中で,いよいよ優越的地位の濫用の規制というのは,それぞれの国の問題意識が高まってきたというふうに私は理解しております。今回,UNCTADとの共催でこのようなテーマが選ばれたのも,今申し上げたような背景の下で理解するべきものと私は考えております。
 それから,イギリスについては,正確にはCPRCの報告書を見ていただきたいと思いますけれども,私の記憶では,前身の競争当局のときに,確か実態調査を行い,それをガイドラインというのか,リコメンデーションというのか,ちょっと正確な言葉は忘れましたが,そういうものを出しているわけでありまして,引き続き,現在どういう規制体系になっているかは,先ほど申し上げたCPRCの報告書を見ていただきたいんですけれども,各競争当局が関心を持つのか,それ以外の当局が持つのかは,それは各国,区々でございますけれども,それぞれの国の関心事項であると思います。

(注)諸外国における優越的地位の濫用規制等の分析
  (競争政策研究センター共同研究〔平成26年12月11日〕)

以上

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