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平成29年10月18日付 事務総長定例会見記録

平成29年10月18日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(平成29年10月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止法教室について

 本日,私からは「独占禁止法教室」の取組についてお話しいたします。
 公正取引委員会では,平成14年度から,中学校,高校,大学といった各種学校の授業・講義に公正取引委員会の職員を講師として派遣しまして,将来を担う生徒・学生に,競争の重要性や独占禁止法の内容,公正取引委員会の役割について分かりやすく説明して,競争のメリットについて理解を深めてもらうため,全国各地で「独占禁止法教室」を開催してきております。
 こうした「独占禁止法教室」につきましては,公正取引委員会が各地区で開催しております有識者との懇談会への出席者の方々から,「社会に出る前の子供に競争政策を教育するのは非常によい取組であり,開催数を増やしていってほしい」といったような意見をいただいているところでございます。
 「独占禁止法教室」の内容でございますけれども,例えば中学生向けの授業では,始めに市場経済の仕組みについて簡単に説明した後,市場における競争の必要性や競争による消費者のメリットを理解してもらいやすいように,生徒全員が参加するシミュレーションゲームを行っています。
 お手元の資料の1枚目にございますように,シミュレーションゲームでは,生徒に,販売店のグループと消費者グループにそれぞれ分かれていただいて,幾つかの班をつくってもらいます。販売店のグループには,どのような価格付け・サービスをすれば商品を買ってもらえるかを考えてもらい,消費者のグループには,その販売の仕方を見て,どの販売店から購入したいかを考えてもらう。そういったことによって,競争の仕組み,あるいは競争によって消費者が受けるメリットが体験できるようなプログラムにしております。
 右下のほうにございますように,このほか,先生にカルテルを行っている疑いがある事業者の社長役,生徒に公正取引委員会の審査官の役に扮してもらって,寸劇による立入検査や事情聴取の場面を実演して,公正取引委員会の業務を理解してもらうようにしております。
 次に,2枚目でございます。「独占禁止法教室」の開催状況の推移の資料でございます。先ほど申しましたように,平成14年度から,まず中学生向けに教室を開催し始めました。平成18年度からは高校,大学向けにも拡大して実施してきております。平成28年度の開催状況につきましては,中学校が54回,高校が33回,大学・大学院が109回となっておりまして,合計で14,433名の方に受講していただきました。
 また,3枚目でございますけど,これは都道府県別の開催状況をグラフにしたものでございます。これまでの期間の累計でございますけれども,延べで1,129校,94,070名の生徒・学生の方々に受講していただいてきております。
 公正取引委員会としましては,「独占禁止法教室」などの取組を通じて,公正取引委員会の活動や独占禁止法に対する学生・生徒の皆さんの理解を一層促進していきたいと考えております。
 また,こうした取組は,学生・生徒の側にとりましても,消費者として競争メリットを実感して,それを生活に生かしていただくとともに,やがて社会に出ていろいろな経済活動に携わっていくことになるわけでございますので,独占禁止法違反がもたらす問題点にはどういうことがあるのか,また,独占禁止法違反の被害に遭った場合にはこうした対応方法があるんだということをあらかじめ知っておいてもらうということも有意義なのではないかと考えております。
 最後に,報道機関の皆様にお願いでございますけれども,「独占禁止法教室」は,事前に御登録いただければ,原則,授業中に撮影や,あるいは傍聴取材が可能となっております。4枚目の資料でございますけれども,関東地区のものでございますが,直近,予定されております「独占禁止法教室」が11月の初旬までに4件ございます。また,関東以外の各地区におきましても開催しておりまして,それぞれ一定程度,前もってですね,プレスに資料配布をしておりますので,報道機関の皆様におかれましては,是非,取材,報道等をお願いしたいと思います。

質疑応答

(問) これまでの取組でですね,成果の部分は伝わってきたんですけども,課題というか,こういった点がまだ難しいというようなところとですね,この右肩上がりで開催数が増えていると思うんですけども,今後の取組の方向性というかですね,どういったふうに今後やっていくのかという点について,お伺いさせてください。
(事務総長) まず,後者の方でございますけれども,先ほど申し上げましたようなメリット,私どものことを知っていただくというメリット,それから授業を受けていただいた方々にとってもやはりメリットがあると思ってますので,この数は今後増やしていきたいと思っております。
 その上での課題でございますが,グラフを御覧いただきましたら分かるかと思いますけれども,大学はかなりの数を今,確保できているんですけれども,中高生,特に高校のですね,開催数がどうしても少ない。要因は必ずしも分かりませんけど,私どももいろいろと社会科の先生方に御案内したりとかですね,あるいは一度,独占禁止法教室を開催していただいた方から口コミのような形で広めていただいたり,あるいは地方のいろんな都市に伺う際にですね,機会を設けて学校の方もいろいろ訪問したりということをやっておるんですけれども,授業の時間の中でやるものですから,他にも各省あるいは民間の企業もですね,こうした学校向けのいろいろな取組をされておられる中で,私どもの魅力や,学校側のメリットといったものを理解していただく取組を強化していかなければならないと考えております。特に高校は授業時間数の制約というのが大きいようですので,公立,私立を問わずですね,ちょっと言い方は悪いですけど,売り込みをかけていかなければと思っておりますし,その上でも,こういった取組をやっているんだということを,先ほどお願いしましたけれども,いろんな形で地域で報道していただけるとありがたいなと思っております。

(問) 中学校,高校,大学というのは,授業内容は一緒なんでしょうかということと,あと,職員の方が取調べの仕方を教えるといった場面というのはあるんでしょうか。
(事務総長) まず,授業の内容は,それぞれの年齢に合わせて行っておりますので,中学校,高校は今,申し上げたようなシミュレーションを入れたような形を中心にやっておりますけど,大学生向けについては,そうしたものもありますが,講義形式のものが多くなっていると思います。
(事務方) 取調べの仕方を教えるというものではないですけれども,生徒さんが審査官役に扮するというところがありますので,あらかじめ証拠なんかを準備して,段階的に社長役の先生に違反を認めさせていくという形でシナリオを作っております。

(問) 中学校,高校でなかなか伸び悩んでしまっているものとしては,端的に言うと,やはり独占禁止法というものが難しいというか,なかなか理解するのが大変なものがあるということでしょうか。
(事務総長) それもあるかもしれませんけれども,むしろ消費者保護の系統ですとか,最近ですと,高校になりますと有権者としての教育ですとか,そういった学校での,しかも社会科の授業の中で取り上げられるものがかなり増えてきているので,その中で,学校側が優先順位を上げてくれる魅力的なものを出していけるかだというふうに思います。
 とりわけ,高校の社会科は選択制になっておりますので,その中の,政治経済ですとか,現代社会ですとか,そういった授業の一部になりますので,余計,そういう意味では枠が狭いというのもあるのかなと思っております。

以上

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