[配布資料]
「独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成29年度上半期)について」(平成29年10月25日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成29年10月25日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成29年度上半期)について
本日,平成29年度上半期に行いました独占禁止政策協力委員からの意見聴取におきましていただいた主な御意見・御要望を公表いたしましたので,その概要を御説明いたします。
独占禁止政策協力委員制度は,競争政策への理解の促進と,地域の経済社会の実情に即した政策運営に資するため,平成11年度から設置したもので,公正取引委員会は,独占禁止法等の運用や競争政策の運営に係る御意見・御要望の聴取などを行い,施策の実施の参考としております。
現在,全国各地域の経済界,報道機関,学識経験者,消費者団体などの中から有識者150名の方々に委員をお願いして,上半期,下半期の年2回,御意見・御要望を伺っております。
平成29年度上半期におきましては,お配りした資料の1頁目から3頁目にございますように,「公正取引委員会に対する期待」,「調査などが望まれる分野・業種」,「公正取引委員会との連携強化」の3項目を中心に御意見をいただいたところでございます。
一つ目の項目であります「公正取引委員会に対する期待」に関しましては,「限られた人員であるが,社会的ニーズに応じてきめ細かく対応してもらいたい」との御意見をいただいております。そして,様々な分野において当委員会の活動に期待する声もいただいております。例えば,「高度経済成長期に建造された建造物の補修などの公共調達で談合が起きないよう監視してほしい」,「大手企業が労働時間を短縮するのに伴って,中小下請事業者にしわ寄せが行かないようにしてほしい」,「企業結合の審査で積極的に経済分析を取り入れてほしい」,「人材と競争政策に関する分野も注視していただきたい」といった御意見がありました。
二つ目の「実態調査や規制改革などが望まれる分野・業種」に関しましては,「時代のニーズに合った調査を望みたい」ということでございまして,こちらにつきましても,様々な分野や業種に関する御意見をいただいております。
例えば,「ビッグデータやプラットフォームに関する契約の実態把握や実態調査を行うこと」,「デジタル広告やポータルサイトのビジネスモデルの仕組みも調査して,独占禁止法上問題となる行為があれば提言を行ってほしい」という御意見もいただいております。
このほか,高齢者の生活や消費に密接に関連する商品などの取引や,高齢者向けのフィットネス事業などの健康関連分野など様々な分野で当委員会による実態調査が望まれるという御意見をいただいております。
三つ目の「公正取引委員会と各団体との連携強化」に関しましては,例えば,「商工会議所の女性会や青年部と意見交換を行ってほしい」といった御意見,また,「商工会議所に加入していない事業者も想定して相談体制の充実に取り組むべきである」といった御意見など,当委員会と各団体とのより良い連携の在り方について様々な御意見がありました。
以上,平成29年度上半期に行われました独占禁止政策協力委員からの意見聴取における主な御意見・御要望を御紹介しました。
公正取引委員会としましては,引き続き,独占禁止政策協力委員からの御意見,御要望を今後の競争政策の適切な運営に役立ててまいりたいと考えております。
質疑応答
(問) 先週,東京で行われました,公正取引委員会とEUの独占禁止協力協定の改定に向けての第1回目の協議に関していくつか質問があるんですけども,1回目の会議を始めての,今回の意義,そして1回目の感触がどうだったのか,また,その基本合意をいつ頃までにするかという目標あるいは見通しがあったら教えていただきたいということと,最後に,手続上の問題なんですけども,これは公正取引委員会と欧州委員会が合意すればそのまま実施されるものなのか,それとも,国会の承認なりEU加盟国の国内での何か手続が必要なのか,その点を教えてください。
(事務総長) まず,今回,先週ですけれども,19日,20日と東京におきまして,今御指摘のございました日ECの,欧州委員会との間での独占禁止協力協定の改定の交渉が行われたところでございます。交渉事でございますので,その内容につきましては今のところまだ御説明申し上げるようなことは難しいかと思いますけれども,この協定自身は両当局の間での協力関係を一層強化して,特に審査中に入手した情報の交換が可能になるように,現在ある協定を改めようという方向で交渉することで一致しております。ですから,今申し上げた方向を着地点として,今後,交渉を進めていくことになります。
具体的にいつ頃までという目標設定をしているわけではございませんけれども,両当局にとっても,いわゆる第2世代協定でございますので,公正取引委員会はほかの国の当局とも既に同種の協定を結んできておりますので,できるだけ早い時期に欧州委員会との間でも合意ができればと考えております。
この協定の性格でございますけれども,行政協定でございますので,日本側につきましては国内手続としては国会承認などを要するものではございません。
(事務方) 担当課の国際課の方からお答えさせていただきますと,EU側の方では,我々が基本合意に達した後,加盟国の承認の手続が別途必要になってくるとEU側の方から聞いているところでございます。
(問) 双方の出席者というのは発表していないんですか。
(事務総長) 発表はしておりませんけれども,出席者は実務者レベルでございます。
(問) 企業結合の関係なんですけれども,昨日,新潟の長岡市で公正取引委員会と有識者との懇談会があったんですけれども,そこでも出ていたんですけれども,今のところ,第四銀行,北越銀行からの報告書が上がっていない段階だというようなお答えが確かあったと思うんで。そうすると,今月中のクリアランスというのは事実上厳しいのかなという印象も受けるんですけれども。その辺の現段階での見通しをお聞かせください。
(事務総長) 今御指摘がありましたように,新潟の地銀の案件につきましては,現在,第2次審査を行っているところでございます。確か7月だったと思いますけれども,第2次審査の資料提出要請を行っておりますので,その資料が出揃ったところから90日間のカウントダウンが始まるということでございます。現在のところ,まだ全部が出揃ったというふうには聞いておりませんので,そういう意味では,今の段階ではまだ時計は動いていないということでございます。
今後の見通しを申し上げるのは,まだ審査中の段階でございますので,時期も含めて差し控えさせていただきたいと思います。私どもとしては,資料が出揃ったところで,その内容を慎重に精査し,また私ども自身でも調べていることがございますので,それらを合わせて適切な審査を行ってまいりたいと考えています。
(問) 10月中に両行が契約締結を目指しているという段階なんですけれども,それにはクリアランス,当然間に合わないということになるんでしょうか。
(事務総長) 今日が10月25日で,あと1週間ぐらいというところではありますけれども,その点も含めて時期等を私から今申し上げるのは,あまり適切ではないかなと思います。
以上