[配布資料]
「平成29年度一橋大学政策フォーラム」(PDF:512KB)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成29年11月22日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
CPRC第45回公開セミナー(一橋大学政策フォーラム)の開催について
本日は,公開セミナーについてお話しいたします。
競争政策研究センターでは,一橋大学との共催によりまして,12月5日の午後に,神田一ツ橋の一橋講堂におきまして公開セミナーを開催いたします。
今回のセミナーのテーマは「デジタルエコノミーと競争政策-事業戦略と競争ルールの望ましいあり方を考える-」というものでございます。
独占禁止法制定70周年に合わせまして,独占禁止法・競争政策の歴史的変遷を振り返るとともに,デジタルエコノミーの発展による経営戦略の革新を踏まえて,イノベーションの促進と調和した望ましい競争政策の在り方について考えるという内容でございます。
デジタルエコノミーは,新しい技術やサービスの登場を促し,より効率的な生産・流通システムをもたらし,さらに業種を超えた競争を促進することにもつながるものと期待されています。その一方で,巨大プラットフォーマーへの膨大なデータの集積が進むなど,プラットフォームにアクセスできない競争相手を関連市場から排除して,ユーザーの選択肢を制限する危険もあるという指摘もございます。
そこで,本セミナーでは,第1部で,まず,杉本公正取引委員会委員長から,「競争政策の歴史的回顧と現代的意義,将来的展望」について基調講演を行った後,ビッグデータと競争政策について,デジタルエコノミーの動向に詳しい識者である,東京大学大学院経済学研究科教授の大橋弘氏から,経済学的視点からの御講演をいただき,また,大阪大学大学院法学研究科教授である武田邦宣氏から法的論点からのコメントをいただきます。
そして,第2部では,巨大プラットフォーマーなどによる行為に対して,競争政策がどのように対応していくべきか,現在のデジタルエコノミーを取り巻く競争環境において事業活動を行っていく上で,企業は何に留意すべきかといった点について,パネルディスカッションを行います。まず,株式会社小松製作所取締役・専務執行役員である黒本和憲氏から,同社におけるデータのビジネスへの利活用の取組などを踏まえ,導入講演をしていただいた後,黒本氏,第1部の講演者であります大橋教授,武田教授,そして当委員会の経済取引局長である菅久を交えて議論を行っていただきます。
現在,競争政策研究センターのホームページにおきまして,このセミナーへの参加者を募集しております。どなたでも無料で参加いただけますので,奮って御参加をお願いしたいと思います。
質疑応答
(問) 独占禁止法改正案についてお伺いします。今月20日に,自民党の競争政策調査会で,独占禁止法改正案についての審議があったと思うんですけれども,そこの場でですね,主に法曹界の資格をお持ちの先生を中心に,新しい独占禁止法改正案に防御措置をきちっと書き込めというような指摘が大分出ていたと伺っておりますが,この声について公正取引委員会はどのように対応するんでしょうか。
(事務総長) 御指摘の自民党の競争政策調査会におきまして,私どもも出席しまして,それから経済界,法曹界の方も御出席した中で,私どもが考えている法律改正の案について御説明をし,また,御議論をいただいたところでございます。今,御指摘の防御権,とりわけ,いわゆる弁護士秘匿特権といわれているものについて,特に法曹界の方からですね,その整備が必要なのではないかという御意見が出されて,そこに多くの御議論がなされたというふうに私も承知しております。
弁護士秘匿特権につきましては,これまで独占禁止法研究会におきましても,かなり時間を割いて御議論いただきましたし,それから報告書の中でもそれを取り上げて,きちんと整理をしていただいたところでございます。
いわゆる弁護士秘匿特権というのは,各国それぞれ,いろいろな形で行われておりまして,その中身というのは必ずしも一様ではありませんし,また,日本の法律制度の中で,それを明文の形で規定したものはございません。そうした中で,今回,課徴金の仕組みを見直していこうという範囲で,そうした防御権にどのような配慮をしていくのかという観点から,私どもは議論させていただいたところでございます。
私どもは,現在,国内にそうした制度が明文の形ではないという中で,独占禁止法でそうした法律制度を導入するというのはどうなんだろうかというのは引き続き持っております。その一方で,新たな課徴金制度を導入するということになれば,事件に関係するかもしれない企業の方と,弁護士の方々との間でのコミュニケーションというのが非常に大事になってくるという点は認識しておりますので,これも研究会報告書の中にもございますけれども,それをある程度配慮するというやり方はあるのではないかという提言もいただいておりますので,そうした方向でなら,検討の余地があるのではないかと考えております。現在のところ,私どもの基本的な考え方というのは変わってはおりませんので,引き続きそういう視点から,私どもとしては検討を進めていきたいと思っています。
(問) 従来どおり,運用の中で担保していきたいという方向性にお変わりはないということですか。
(事務総長) 私どもとしては,今のところ,それを変えなければいけないというふうに考えているわけではありません。
以上