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平成30年4月25日付 事務総長定例会見記録

平成30年4月25日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

「独占禁止懇話会第209回会合議事概要について」(平成30年4月25日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年4月25日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止懇話会第209回会合議事概要について

 本日,私の方からは,4月10日に開催しました独占禁止懇話会の概要についてお話しいたします。
 独占禁止懇話会は,我が国経済の変化に即応して,競争政策を有効かつ適切に推進するため,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見を交換し,併せて競争政策への御理解を一層深めていただくことを目的として,昭和43年11月以降開催してきているものでございます。
 今回の独占禁止懇話会第209回会合では,「人材と競争政策に関する検討会」,「大規模小売業者との取引に関する納入業者に対する実態調査」,「公立中学校における制服の取引実態に関する調査」の三つのテーマについて御報告し,それぞれ会員の方から御意見等を頂きました。
 今回の独占禁止懇話会において会員から頂いた御意見等の概要につきましては,お手元の議事概要を御参照いただければと思います。
 その中から,いくつか御紹介いたします。
 まず,最初の議題でございます「人材と競争政策に関する検討会」につきまして,例えば別紙の1頁目の二つ目の「○」にありますように,「フリーランスについては,専門的な高い技術を有する者であれば,発注者との交渉も可能であろうが,そのような技術を有していない場合には,低い対価で受注せざるを得なかったり,長時間労働を強いられることがあってはならない。公正取引委員会においては,この点を踏まえ,しっかり監視をしてもらいたい。」といった御意見を頂きました。
 二つ目の議題であります「大規模小売業者との取引に関する納入業者に対する実態調査」につきまして,例えば3頁目の一つ目の「○」にありますように,「特に,ドラッグストアにおいて非常に返品が多いことを憂慮している。返品等の問題行為が生じる理由は業界ごとに異なるので,その部分をしっかり調べてもらいたい。また,業界に対する指導は良いことであるが,コンプライアンスを高める取組を行っている企業は少ないと思われるので,公正取引委員会から働きかけてもらいたい。」といった御意見を頂きました。
 三つ目の議題であります「公立中学校における制服の取引実態に関する調査」につきまして,例えば3頁目の一番下の「○」にありますように,「公立中学校における制服は規模の小さい市場であるが,報告書で指摘している内容は重要だと思う。ただし,報告書は法律用語が多いので,独占禁止法を知らない人が理解するのは難しいのではないか。報告書の内容を周知するに当たっては,分かりやすい説明を心がけてもらいたい。」といった御意見を頂きました。
 公正取引委員会といたしましては,今回,頂きました御意見等も踏まえまして,今後とも,適切な独占禁止法・競争政策の運用及び制度設計に努めてまいりたいと考えております。

質疑応答

(問) 地銀統合の関連なんですけど,長崎で,ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行が,債権譲渡の上積みを目指してですね,地場の中小1万7000社に対して意向を尋ねるということみたいなんですけれども,これについて,問題解消措置を採るという点において,どういう受け止めをされているのか教えてください。
(事務総長) 今の御質問は,FFGらによる統合案件の個別の審査の状況に関わる御質問でございますので,具体的にお答えするのは適当ではないと思います。
 以前から申し上げておりますように,企業結合の審査といいますのは,競争を阻害することになるかどうかということを判断する過程でございますし,また,競争上の懸念があるというような案件につきましても,その懸念を解消する問題解消措置が採られるのであれば,また,それが実効性のあるものとして採られるのであれば,統合自身を認めるということは,これまでも行ってきたところでございます。今,私どもは審査の過程であり,また当事会社の方で何らかの問題解消措置を考えておられるというのであれば,その中身がどういうものか分かりませんけれども,何か具体的な御提案があれば,私どもとしてもどういうものなのかということをお聞きして,また,そういうものが出てきたとして,その内容が適当なのかどうかということは判断していくことになると思います。

(問) 4月中にもですね,FFGと十八銀行の経営統合に関して,再調査した結果をですね,示すということをかねておっしゃられていたと思うんですけれども,いろいろ報道もありますけれども,こちらのプロセスについてはいかがでしょうか。
(事務総長) 今,御質問にありましたアンケートにつきましては,ほぼ分析は終えているところでございます。先ほどの御質問に対するお答えとも重なりますけれども,私どもとしては,FFGと十八銀行との統合については随分以前から競争上の懸念があるということはお伝えしてきております。ただ,このアンケートを行いましたのも,この統合自身が最終的に問題になるのかどうかということを検証といいますか,審査といいますか,それをするための材料として行っているものでございますので,その内容も含めてですね,あるいは,これまでのやりとりも含めて,当事会社との間では十分なコミュニケーションを取ってきているつもりでありますし,今後ともそういう中でいろいろ意見なり,情報なりの交換はしていくことになると思います。
(問) 先ほどの御回答の中でですね,中身が適当なのかどうか,それを判断した上で統合自体を認めるか,認めないか判断されるということだったと思うんですけれども,今回のアンケート結果を踏まえてですね,この状況ですと通りませんよとかですね,そういった何らかのメッセージを当事会社側に伝えることというのはあるんでしょうか。
(事務総長) これも繰り返しになって恐縮でございますけれども,個別案件の,具体的な,当事会社とどういうやりとりをするのかということをこういう場でお答えするのは適当ではないと思います。先ほども申しましたように,当事会社との間では,これまでも,また,これからもですね,必要に応じてコミュニケーションを取ってまいります。

(問) 一般論で結構です。法に仕えるという意味での皆さんの役割という言葉で,しゃべる内容も限界があるんだと思いますけども,少子化という時代の流れ,低金利というのは今後どうなるか分かりませんけども,地方の金融機関というものがですね,おっしゃるとおり競争上の懸念というのは,もう昭和以来,綿々と続いてきた原理原則をどう守るかというお立場はあるんでしょうけども,変えてほしいと,変わるべきだという意見もあるんだと思います。そういう声に対して,変えていかなくて,今までの原則をずっと守り続けるのか,これからひょっとしたら何らかの原則を変えていく努力というものを公正取引委員会としてもしていく,若しくはそういった考えは中であるのかどうか。競争上の懸念とおっしゃる,分かるんです,そのとおりなんですよ。だけど,ひょっとしたら,これを守り続けることが,我が国の国益につながらないんじゃないかという懸念が一方であるわけです。その問いかけに応える努力というものを公正取引委員会としてはどういうふうにお考えでしょうか,お聞かせください。
(事務総長) 今,御質問にありましたようなことというのは,経済情勢の変化とか,そういうことなんだろうというふうに思います。それは,例えばカルテルや談合のような,もちろん調査の対象になった当事者にはいろいろ言い分があり得ることではありますけれども,誰が見ても基本的には問題があるものだというものであれば,それは経済情勢がよほど大きく変化しない限りは,改めて何か考え直しをしなければいけないということではないのだろうと思います。
 他方,流通におけるいろいろな慣行でありますとか,あるいは,今,御質問のあった企業結合といったものというのは,経済の実態に合わせて判断していかなければならないものだと思います。競争が実際にどういうふうに行われているのか,それから,その競争の場がどういうふうに設定されていくのか,それは,経済情勢によって変わってくるということでありますので,そうした事実関係を十分踏まえた上で,そこにおける競争が,どういう類いの競争が維持され,それが消費者なり,利用者なりに,その競争の利益というものが還元されていくのかどうかということは,それぞれの事案や状況に応じて判断していくということなのだと思います。
 ですので,競争がしっかり行われて,その利益が消費者や利用者に還元されていくべきであるという基本的な考え方は変える必要はないと思っています。ただ,それを判断するに当たって,取り込まなければいけない要素というものは,その事案であったり,状況によって変わってくるということはあるというふうに考えます。
(問) おっしゃるところ,よく分かります。しかし,そのときに考えなければいけないのは,時代の流れ,経済の流れを考えたときにですね,県域,県域というのは都道府県,県域でエリアを区切って,その中でどうなっているかという競争,コップの中の水の競争とは申しませんが,水がこぼれて,ずっと広がって,グローバル化しているようなときに,県域を守り続けて,そこで判断するという考え方はどうなんでしょうか。
(事務総長) おそらく今回の統合案件に関連しての御質問だというふうに思います。これも繰り返し申し上げていることではございますけれども,地銀だから県しかないんだ,という考えを採っているわけではありません。本件の場合は金融機関同士の統合でありますけれども,その統合する当事会社が,どの地域で,あるいはどういう人を相手にして,どういう商品・サービスについて競合しているのかというのを具体的に判断して,その結果として,実際に競争している場が特定の地域であったり,あるいは特定の商品であったり,そういうことであれば,そこを競争の場として,そこの競争が維持されるかどうかということを判断することになります。例えば,以前に結果を公表しました第四銀行と北越銀行の統合においては,当事会社が競合している場というのは県域であったり,あるいは県の中の一定の区域であり,そこで当事会社,それから,そこに支店なり営業拠点を持っている県外に本社・本店があるような金融機関も含めて,そういうところの間の競争関係はどうなっているのかというのを判断する必要があったと考えています。
 新潟のケースにおいては,そういう判断がされて,県域であり,あるいはそれよりも小さい経済圏の中で実際に競争が行われていて,そこでのプレーヤーはどういう方なのか,そこで顧客・利用者の側が,統合が実際に行われた場合に,代替的な取引先というものをどの程度柔軟に変えられるものなのかということが判断の対象になったわけです。
 それは,今問題になっているFFG,十八銀行の統合においても,基本的な考え方は一緒ですので,実際にどこでどういう取引・競争関係が生じているのかというのを一個一個事実に基づいて判断するべき問題であって,最初に申しましたけれども,地銀だから県だというふうに捉えているわけではありません。

(問) 先ほどの2回目のアンケートなんですけれども,この結果は,我々に対して,いつ,どのような形で公表されるんでしょうか。
(事務総長) 先ほど申しましたけれども,こうした利用者のアンケートというのは,本件統合を審査する材料として集めているものですので,これ自身を単独で公表するというのは考えておりません。また,これは第2次審査案件でございますので,最終的に,その結果がどうなったかということは,公表することになりますので,その際,何らかの形で触れることはあるかもしれません。

(問) 個別案件で,またお答えしにくいと思うんですけれども,今日,一部報道で,現状の計画のままでは統合を認めない方針だというふうに出ているんですけれども,この辺りの事実関係とですね,現状のスタンスをもう一度改めて御説明いただければと思います。
(事務総長) そのような報道がなされていることは私も見ました。けれども,現段階において,何か決定したものがあるというわけではありません。先ほどのお答えの中でも申し上げたかと思いますけれども,このFFGと十八銀行の統合については,競争上の懸念があるということは随分以前から当事会社のほうにはお伝えしてきているところでございます。その上で,現在どういう状況になっているのかというのは個別の話でございますけれども,まだ審査中であるということには変わりございません。

(問) 今,現段階で決定したことはないということをおっしゃったと思うんですけど,それは委員長なり委員の決定みたいなところがあると思うんですが,それは本日開かれるという認識を持ってよろしいんですか。
(事務総長) それは,個別の案件に関することでございますので,お答えは差し控えさせていただきます。
(問) 同じような質問なんですけれども,一部報道で,本日,FFGと十八銀行側にアンケートの結果を伝えるという報道がなされていますが,これは本日あると考えてよろしいんでしょうか。
(事務総長) 繰り返しのお答えで恐縮ですけれども,個別の案件について,当事会社とどのようなやりとりをするかというのを一つ一つお話しするのは適当でないというふうに思います。

(問) 先ほど2次審査の途中というふうにお伺いしたんですが,チャートを見ていましたら,報告の受理から事前通知まで90日以内というふうになっているようですけれども,この90日以内が始まったというふうな解釈でよろしいんですか。
(事務総長) 現時点で私が把握している限りでは,まだ第2次審査を開始するに当たって,当事会社に求めておりました資料というのはまだ出揃っていないというふうに理解しております。
(問) 2次審査には入っているんですよね。
(事務総長) 入っています。
長崎新聞 ですが,その報告の受理までは至っていない。
(事務総長) はい。ですから,今,御指摘のあった報告受理から90日以内に,最終的に排除措置命令を行うのであれば,その事前通知を行う期限というのが90日と設定されていますので,その時計はまだ動き始めていないということです。
(問) 個人的な見通しで結構なんですけれども,どれぐらいまでかかりそうかなという,何かそういう感触があれば伺いたいんですが。
(事務総長) これも繰り返しで恐縮でございますけれども,仮に当事会社の方で何らかの問題解決措置を考えておられるということであれば,私どもとして,どういう内容なのかというのはお聞きすることになると思います。ですので,現時点で,本件の審査がいつごろ終わるかというのは特段の見通しを持ってるわけではありません。
(問) そうすると,当事会社から示される問題解決措置がまだ示されていないので,今後示されれば,それを見極めるという時間は必要なわけですね。
(事務総長) 仮に問題解消措置が提示されれば,その内容について当然,私どもの方で,私どもが持っている競争上の懸念に対する対応策として,十分なものかどうかというのは判断しなければいけませんので,それはそれなりの時間が必要になる場合もあると思います。
(問) 銀行側は,決定ではないんですけれども,1か月か2か月か分かりませんが,顧客に聞いてですね,どういうことができるか,債権譲渡が増やせるかどうかというのを考えるみたいなんですけれども,そうすると,それをちょっと見極めてみようというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
(事務総長) 具体的な内容を把握しておりませんので,今の御質問にお答えするのは適当でないと思います。

(問) 先々週になりますけれども,携帯電話分野に関する意見交換会が開かれたと思うんですが,概略どういう内容だったのかということと,あと2回目以降のスケジュールといいますか,予定について教えてください。
(事務総長) 前回の検討会では,前回,私どもが公表しました幾つかの問題点について,どうなっているのかというのを委員の方々に報告するとともに,キャリアの方からもお話を伺ったところでございます。
 2回目につきましても,引き続きやってまいりますけれども,現時点で時期,内容というのは具体的に決まっているわけではございません。

以上

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