[配布資料]
「国際競争ネットワーク(ICN)の概要(2017年12月末現在)」(PDF:358KB)
「OECD競争委員会の概要(2017年12月末現在)」(PDF:140KB)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成30年1月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
国際機関における公正取引委員会の取組について
本日,私の方からは,国際機関における公正取引委員会の取組について,お話しいたします。
資料の1枚目にございますように,現在,競争法を持つ国・地域は120を超えています。経済活動のグローバル化の進展に伴って生じる国境を越えた反競争的行為や,他の国の市場へも重大な影響を及ぼすような企業結合に的確に対応するため,世界各国の競争当局は,多国間・二国間など様々なレベルにおいて,協力関係の構築・強化に努めています。
公正取引委員会でも,こうした取組に積極的に貢献してきております。本日は,特に多国間での協力の枠組みとして,ICN,そしてOECDにおける公正取引委員会の活動の状況について簡単に御紹介いたします。
資料の2でございます。まず,国際競争ネットワーク,通称ICNについてお話しいたします。
ICNは,競争法執行の手続面及び実体面の収れんを促進することを目的として,2001年10月に発足した,各国・地域の競争当局を中心とするネットワークです。当初は,日本を含む14か国・地域の16の機関しか参加していませんでしたが,現在では122か国・地域から135の当局が参加しており,競争当局によって構成される国際的組織としては最大のものとなっています。
資料2の2枚目に組織図がございますけれども,公正取引委員会はICN発足以来,ICNの活動の中心的な運営を行っております運営委員会のメンバーとして活動しております。また,ICNにはテーマごとに作業部会が設置されています。現在,公正取引委員会は,そのうちの企業結合作業部会の共同議長を務めております。
ICNは,常設の事務局を設けずに,自発的に協力や貢献を申し出た当局が主体となって運営されています。年に一回,年次総会が開催されています。年次総会では,全ての参加当局のトップが一堂に会して,各国の競争当局が共通に直面する課題などについて意見交換が行われます。昨年の年次総会は,ポルトガルのポルトで開催されまして,当委員会の杉本委員長が出席して,スピーチを行いました。今年は3月にインドのニューデリーで開催される予定になっています。
また,資料2の3枚目にありますように,主要な作業部会におきましては,ほぼ毎年,ワークショップが開催されています。2017年には,2月にアメリカのワシントンD.C.で企業結合ワークショップが,そして,12月にはメキシコのメキシコシティーで企業結合ワークショップが開催されました。また,10月には,カナダのオタワでカルテルワークショップが,11月から12月にかけて,イタリアのローマで単独行為ワークショップが開催されています。これらのワークショップにおきましても,当委員会の職員がスピーカーとして議論に貢献いたしました。
そして,今年の11月には,東京で企業結合ワークショップを開催する予定となっています。このワークショップでは,企業結合審査に関して,各国の競争当局が共通して直面する課題について活発な議論を行うこととしており,企業結合分野における競争当局間の協力・連携の更なる進展につながるものと考えています。その内容が固まりましたら,また,改めて御紹介いたします。
次に,資料3でございますが,OECDにおける公正取引委員会の取組についてお話しいたします。
OECDに設置されている各種委員会の一つに競争委員会があります。この競争委員会は1961年に設置され,競争法と競争政策についての先進国間の連携・協調の場を提供してきております。日本からは1964年以来,公正取引委員会が参加メンバーとなっております。現在は,意思決定機関であるビューローのメンバーとして,青木委員が就任しており,活動の全体的な方向性に関する議論などに,主体的に関与しております。
OECDの競争委員会の会合は年2回開催され,加盟国のその時々の問題意識を反映して議題が決まります。近年では,デジタル化が競争に与える影響について議論することが,OECD競争委員会の主要なテーマとされており,例えば,2016年の11月会合においては「ビッグデータ」,2017年6月の会合においては,「アルゴリズムと共謀」がそれぞれトピックとして取り上げられました。これらの議論の中では,目覚ましい発展を遂げているこれらの技術が競争法上どのように問題を引き起こす可能性があるのか,競争当局がどのように対処すべきかといった問題提起に対して議論が行われました。こうした議論の成果は,例えば,公正取引委員会のCPRCに置きました検討会などの議論においても,参照しております。
公正取引委員会としては,OECD競争委員会における議論に積極的に参加することが必要であると考えており,先月開催されました,2017年12月会合の各種セッションにおいては,青木委員ほか公正取引委員会職員がプレゼンテーションを行うなど,公正取引委員会の取組や法適用の考え方を紹介して,各国当局の参考にもしていただいているというふうに考えております。
公正取引委員会は,只今御説明しましたICNやOECDといった国際的な枠組みの下において,公正取引委員会の経験を活かしてその活動をリードしていくというのが非常に重要であると考えております。
今後,こうした議論の場における最新の情報を国民の皆様や国内の関係者に分かりやすく御紹介していくつもりです。当委員会のツイッターやホームページなどにおきましても,海外のイベントについて情報発信を行ってまいりますので,御活用いただければというふうに思います。
以上