[配布資料]
第46回公開セミナーの開催について(公正取引委員会ウェブサイト)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成30年2月21日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
「人材と競争政策に関する検討会」報告書について
本日,私からは,2月15日付けで公表いたしました「人材と競争政策に関する検討会」報告書などについてお話しいたします。
本報告書は,これまで人材獲得競争に関する独占禁止法上の考え方が必ずしも整理されてきたとはいえないという問題意識の下,競争政策研究センター(CPRC)に有識者からなる検討会を設置いたしまして,使用者や発注者の各種行為についての独占禁止法上の考え方を約半年にわたる議論の成果を踏まえて整理していただいたものです。
この報告書の内容につきましては,改めてここで繰り返すことはいたしませんけれども,公正取引委員会としましては,この報告書の理論的整理を今後の運用に活かしてまいりたいと考えておりますし,また,この報告書の内容を広く関係者の方々に普及,周知していきたいと考えております。
また,これを通じて労働市場で独占禁止法上問題となり得る行為について,企業関係者の方に幅広く問題意識を持っていただき,独占禁止法上問題となり得る行為の有無の点検,改善,更には未然防止の取組に役立てていただきたいというふうに考えております。そうすることによって,公正かつ自由な人材獲得競争が行われるようになり,個人として働く人たちの労働環境の改善につなげていっていただきたいと思っております。
ただ,同時に,人材をめぐる社会的な問題の全体を解決するためには,独占禁止法だけで足りるわけではありませんので,労働法,それから,消費者保護法などの観点から,今後,関係各省庁や業界においても積極的な取組がなされることを期待しております。
また,公正取引委員会として,この分野における今後の取組について検討するため,検討会報告書の内容や,人材に関連する実態・慣行について広く意見を募集しております。その募集の期限は3月16日となっております。
CPRC第46回公開セミナーについて
また,お手元に資料をお配りしておりますが,CPRCでは,3月16日にTKP赤坂駅カンファレンスセンターにおいて,「スポーツと競争法~『人材と競争政策に関する検討会』報告書を踏まえて~」と題する公開セミナーを開催いたします。
スポーツは,我が国社会に活力を生み出していくものでございますが,スポーツ選手については,活発な人材獲得競争が行われることがある一方,海外においては,選手の移籍に関して,競争法の観点からも取り扱った判例などが複数存在しております。
また,先ほどの「人材と競争政策に関する検討会」におきましても,例えば,プロリーグに所属する複数のクラブチームが共同して選手の移籍を制限するといった競争を制限する可能性のある行為に関する独占禁止法や競争政策上の課題について議論が行われたところでございます。
そこで,本セミナーでは,この「人材と競争政策に関する検討会」の座長であり経済法が御専門の泉水文雄神戸大学法学研究科教授,及び同検討会の委員でありスポーツ法が御専門の川井圭司同志社大学政策学部教授を講演者として,また,同検討会の委員であり,労働経済学が御専門の神林龍一橋大学経済研究所教授,そして財団法人日本ラグビーフットボール協会規律委員会委員を務めておられる渡辺伸行弁護士をコメンテーターとしてお迎えし,国内外におけるスポーツ選手の移籍に関して競争法の観点からも取り扱った判例や検討会報告書の内容等を踏まえながら,スポーツ分野における人材獲得競争を制限し得る行為に対して,どのような問題があり,どのように対応していくべきかといった点について御議論いただこうと考えております。
CPRCのホームページにおきまして,参加者を募集しており,どなたでも御参加できますので,奮って御参加いただければと思います。
これらのことの担当は,経済取引局経済調査室でございます。
質疑応答
(問) この報告書の公表と前後してですね,芸能事務所の音事協さんですとか,このラグビー協会さんもそうですけれども,相次いで動きが出てきてますけれども,これをどういうふうに評価されるか,コメントをお願いします。
(事務総長) それぞれ,単にこの報告書ということではなくて,これまで,それぞれの業界などにおいて議論,検討されてきたことを踏まえたものだというふうに思っておりますけれども,私どもとしては,こうした検討会の報告書が出てきたところで,かつ競争を制限するような内容のものであれば,それは改善,見直しをしていただきたいという立場をとっておりますので,こうした動きというのがそれと同じ方向に向かうのであれば,結構なことではないかなと思います。
また,これから,いろいろなところでこの検討会の議論というものを御説明してまいりたいと思っておりますので,そうした中で,また似たような動きが出てくればいいことなのかなと思います。
(問) 意見を公募しているという話があったと思うんですけど,1か月間公募した後にフィードバックのようなものは考えているんでしょうか。
(事務総長) まず,こうした意見を今募集しておりますので,出していただいた意見は今後の執務の参考にしたいと思っております。それはどのような御意見を頂くかによっても変わってまいると思います。
出していただいた御意見について,パブリックコメントの場合,その意見の公表を行っているものがありますけれども,そうしたことを行う可能性もあるだろうとは考えております。ただ,それも出てきた意見や考え方などの内容にもよるかと思いますので,それは今後検討したいと思います。
(問) もう1点,普及,周知に努めていくという話なんですけれども,具体的にはどういった形で検討されてるんでしょうか。
(事務総長) 現在のところ,まだ具体的に,こういう形でというのは決まっているわけではありませんけれども,これまでヒアリングなどに御協力していただいたところなどもございますので,まず,そうしたところにこの報告書をお送りしまして,その内容を見ていただく,そういうところから始めたいと思います。
以上