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平成30年2月28日付 事務総長定例会見記録

平成30年2月28日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

業種別講習会(大規模小売業者向け)の実施について(公正取引委員会ウェブサイト)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年2月28日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

公正取引委員会と消費者との連携について

 本日,私の方から2点,お話しいたします。
 第1に,現在,取り組んでおります公正取引委員会と消費者との連携の強化についてお話しいたします。独占禁止法の第1条におきまして,「一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」とされておりますように,独占禁止法や競争政策は,究極的に消費者の利益を確保することを目的としています。また,競争は消費者に正しい情報が伝達され,適切な商品選択が行われることによって有効に機能するものですので,競争政策において消費者による選択が果たす役割は重要であり,消費者の適正な選択が確保されるようにすることが当委員会の重要な任務だと考えております。
 最近の状況を見ますと,少子高齢化の進行,情報化の進展,消費生活のグローバル化等の変化に伴いまして,消費者の意識や行動も変化してきており,改めて現在における消費者のニーズや消費生活の実態を踏まえて,競争政策を運営していくことが重要となっていると考えております。
 公正取引委員会では,従来から,消費者を含む国民各層とのコミュニケーションの充実に取り組んでまいりまして,例えば,有識者との懇談会の開催,独占禁止政策協力委員からの意見聴取,それから一日公正取引委員会や消費者セミナーの開催,独占禁止法教室の実施など,各種の取組を実施してまいりました。その一方で,平成21年の10月に消費者庁が発足し,それに伴いまして,それまで公正取引委員会が所管しておりました景品表示法の執行が同庁に移管されまして,その後,一部の消費者団体の方々などからは公正取引委員会との接触機会が減少したという御意見も頂いております。今,申し上げましたような問題意識や御意見を踏まえて,今後,更に消費者との関係強化に力を入れていきたいと考えております。
 まず,消費者団体等との意見交換を定期的に行い,当委員会の政策課題について消費者団体の皆様に情報提供し,意見交換を行うこととしています。今年度は9月に1回実施しておりますが,次回の会合も近々,行う予定にしております。そのほかにも個別の団体の方々とお話をして,その御意見等を伺っていきたいと考えております。
 さらに,公正取引委員会が消費者団体の皆様から御意見・御要望・御質問をいつでも受けることができるように,消費者団体向けの専用窓口を取引部取引企画課に設置し,各種団体等にお知らせしております。
 次に,消費者団体サイドから,独占禁止法・競争政策と消費者とのつながりが分かりにくいという御意見もみられますことから,独占禁止法・競争政策をより身近に感じていただくとともに,競争政策の推進に役立つ情報を寄せていただきやすくなるよう,公正取引委員会のウェブサイト上の消費者向けのウェブページを拡充したり,リーフレットを作成するといったようなことも,今後,行ってまいりたいと考えております。
 さらに,公正取引委員会は,様々な実態調査を行ってきております。その中で,先般,公表しました「公立中学校における制服の取引実態に関する調査」や,先日のこの会見でも申しました「消費者向けeコマースの実態調査」,「携帯電話市場における競争政策上の課題について」のフォローアップ調査のような,一般消費者にとっても身近な内容の実態調査も行っております。このような実態調査の実施に当たりまして,消費者の視点を取り入れるということも有益である場合などに,消費者団体からヒアリングを行うといった取組を始めております。また,一般消費者の関心が高いと思われる調査を実施した場合には,一般消費者や消費者団体に説明する機会を積極的に設けたいとも考えております。
 これらの取組によりまして,公正取引委員会が,これまで以上に消費者との連携を強化し,より多くの消費者の皆様の御意見や御要望を把握しながら,競争政策の運用を行ってまいりたいと考えております。
 この担当は,取引部の取引企画課になります。

業種別講習会(大規模小売業者向け)の実施について

 第2に,大規模小売業者向けの業種別講習会の実施についてお話しいたします。
 公正取引委員会では,これまで独占禁止法の優越的地位の濫用規制や下請法で問題のある行為について,厳正かつ効果的に執行するとともに,そのような行為の未然防止のための取組も行ってきております。
 先般,公表いたしました「大規模小売業者との取引に関する納入業者に対する実態調査報告書」におきまして,ドラッグストアによる「返品」,ホームセンターによる「協賛金等の負担の要請」,ディスカウントストアによる「従業員等の派遣の要請」が他の業態に比べて大きい割合になっているなど,大規模小売業者と納入業者の一部の取引において,大規模小売業者による優越的地位の濫用規制上,問題となり得る行為が見られました。
 この調査結果を踏まえまして,公正取引委員会としましては,大規模小売業者と納入業者との取引の公正化を一層推進するため,お手元の資料にありますように,大規模小売業者向けの業種別講習会を全国の12都市で14回開催することといたしました。これは,平成30年の3月から5月まで順次開催してまいります。
 この講習会では,大規模小売業者の法務部門又は発注・購買部門の方を主な対象としまして,今回の実態調査の結果を基に,優越的地位の濫用規制の考え方に照らして,どのような行為が問題であるのか説明いたします。また,説明に当たりましては,今回の実態調査報告書の中で触れております納入業者から寄せられた具体的な事例も数多く紹介いたします。
 より多くの事業者に本講習会に御参加いただいて,独占禁止法の優越的地位の濫用規制への御理解を深めていただきたいと期待しております。
 この件の担当は,取引部の企業取引課になります。

質疑応答

(問) 総長のお話で前半に出てきた消費者団体との意見交換ですけど,正直,歴史も長い公正取引委員会では,消費者団体との意見交換というのはそれなりに密接にやっているものだと思っていたんですが,先ほどのお話だと,窓口を設置しているということなんですけど,なぜこのタイミングで意見交換を拡充されようと思ったのか,その背景とですね,そこでのテーマなんですが,例の独占禁止法改正で自民党が出している秘匿特権の取扱いとか,そういうものというのは意見交換の対象に入ってくるんですか。消費者団体は,自民党のほうでは秘匿特権には断固反対という意見を表明していたかと思うんですけど,以上2点,よろしくお願いします。
(事務総長) まず,このタイミングでということですけれども,先ほど申し上げたような消費者,あるいは消費生活を巡るいろいろな環境変化というのがあったということが一つあります。ですから,これまで以上に消費者の視点というのを大事にしなければいけないということでありますし,今,御指摘がありましたように,公正取引委員会としては,これまで消費者団体の方などとも意見交換をしてきたつもりではおりましたけれども,他方,消費者団体側からすると,公正取引委員会との距離感といいますか,そういうものが段々と広がっていった,薄まっていったのかなという感じを持たれているという話も伺っておりますので,それは我々としては本意ではございませんし,この機会を捉えて,今,幾つか既に行っていること,それから,これから取り組もうとしていることを申し上げましたけれども,そういうことを実施して,関係強化というのを改めてしていき,消費者団体の方々にも御理解をいただきたいと思っております。
 御質問の後段のところでございますけれども,確かにおっしゃるような御意見を消費者団体の方々が自民党の調査会などにおきまして発信されているというふうに承知しております。そのこと自身について,今,公正取引委員会が何かを申し上げるというのは適当ではないと思いますけれども,独占禁止法・競争政策が,消費者にとってどのような利点があるのか,究極の目的としての消費者の保護に関わっているのかというのは,消費者団体の方にしっかり御理解をいただいて,独占禁止法がきちんと執行され,それから競争政策というものがきちんと運営されていくことが非常に大事なんだという御理解をいただきたいと思っています。

(問) 業種別講習会に少し関連するテーマかと思うんですけれども,今朝,報道があったアマゾンが協力金を求めているという件なんですけど,優越の観点から照らすと,いろいろと考慮すべき要素というのは幾つもあると思うんですが,一般に,こういった協力金というものの性質とかですね,協賛金とか,いろいろ形態はあるとは思うんですけれども,公正取引委員会としての考え方というのはどのようにされているのでしょうか,教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 本日,そのような報道があったことは,承知しております。一般論ということなので申し上げますと,独占禁止法の中で優越的地位の濫用というのは規制されております。これは,取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当な不利益を与えるということが基本的な構成でございますし,その不利益の中身として,例えば経済上の利益を提供させるということも含まれます。その名称がどのようなものであれ,今申し上げましたような意味で,支払うことを余儀なくされる側にとっての不利益の程度であるとか,その不利益が予想されるものであるかどうか,そういった考慮要素が,優越的地位の濫用に関するガイドライン上に記載されておりますので,そうした項目に照らして,あとは個々の評価になってしまいますけれども,独占禁止法上問題となるかどうかということが判断されていくことになります。

(問) 昨日報道で,オンラインのペットショップに公正取引委員会が立入りに入ったという報道がありました。個別の案件についてはお話しいただけないと思うんですけれども,アマゾンとたしかAirbnbに次いで3件目なのかな,オンラインのプラットフォームということで。その契約の中のMFN条項に関して公正取引委員会が厳しく注視していくという方針の表れなのかなということをちょっとお聞かせください。
(事務総長) 今の御質問にありましたように,個別のケースについて,何かお話し申し上げるのは適当ではないというふうに思います。現在,どのような案件を調査をしているのかという点も,それに含まれると思います。
 ただ,以前に,アマゾンマーケットプレイスに関連して調査を行い,それに対して当事会社からの申出を受けて,それによって調査は終結したということを公表しております。その際に,どのような点が問題,監視の対象になるかということも併せて公表をしております。公正取引委員会としましては,そうした電子上,ネット上の取引などについても,その分野における適正な競争が行われるように,問題があるという情報に接すれば,それは厳正に対処していくべきだと考えています。

(問) 今,犯則で行っているゼネコン4社の事件について,立件も視野にということで,一緒にやっている東京地検特捜部の捜査が大詰めだとか,いろいろ報道が出ているんですけれども,公正取引委員会としての,今後の調査の方針であるとか,検察庁との連携についてお伺いします。
(事務総長) それらの報道がされているのは承知しておりますけれども,また,公正取引委員会が現在,犯則調査を実施しているという点については否定いたしませんが,今後の方針でありますとか,現状でありますとか,それは現在,調査中の案件に関わることでございますので,コメントは差し控えます。

(問) 本日ですね,地元の方で,ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)とですね,十八銀行の統合をめぐってですね,再調査に着手されたという報道が出ております。この再調査に入ったという事実関係の確認と,いつからそのアンケートを始められて,4,400社が対象ということもあるんですが,その辺の事実確認,あと,改めてこの再調査の狙い,今後の方針だとか,いつまでに終えるとか,そういったあたりのコメントを頂ければと思います。
(事務総長) 先般のこの会見でも申し上げましたけれども,長崎におけるFFGと,それから十八銀行との統合に関して,利用者サイドのアンケート調査を実施しております。既に調査の依頼というのは,関係取引先といいますか,関係者のほうに送付しておりまして,対象としては約4,400社でございます。大体1か月ぐらいの回収期間を念頭に置いておりますので,その回収をした上で,その内容を分析して,今後の審査を進めていくということになります。
 これも先般の会見で申し上げましたけれども,我々の関心事項といいますのは,先日も申し上げた,当事会社が統合した場合に,利用者側としてどのような選択肢があり得るのかということを確認することが中心になります。
(問) 報道で,質問項目が28項目とかですね,統合した場合の影響とか,ほかの金融機関に乗り換えるかどうかと聞かれているようなんですが,その辺の事実関係は,これで間違いないという理解でよろしいでしょうか。
(事務総長) これはそれぞれの会社に対して調査をしているところでございますので,個々の質問内容についてはコメントを控えますが,基本的には,先ほど申し上げましたように,統合後,代替的な選択肢としてどのようなものがあるのかということが我々の関心でございますので,それに関する調査を行っているということです。

以上

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