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平成30年7月4日付 事務総長定例会見記録

平成30年7月4日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

独占禁止懇話会第210回会合議事概要について

独占禁止懇話会第210回会合議事概要について(平成30年7月4日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年7月4日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止懇話会第210回会合議事概要について

 本日,私の方からは,6月19日に開催いたしました第210回独占禁止懇話会の内容についてお話しいたします。
 独占禁止懇話会は,我が国の経済社会の変化に即応して競争政策を有効かつ適切に推進するため,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見交換をし,併せて競争政策に対する一層の理解をしていただくことを目的としまして,昭和43年11月以降開催しているものです。
 今回の独占禁止懇話会では,お手元の議事概要の1枚目にありますように,平成29年度の運用状況のうち,「企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例」,「下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組等」,「独占禁止法違反事件の処理状況」の3点について報告し,それぞれ会員の方々から御意見などをいただきました。
今回の独占禁止懇話会において,会員からいただいた御意見等の内容につきましては,議事概要の別紙の方を御覧いただければと思いますが,その中でいくつか御紹介いたします。
 まず,最初の議題であります「平成29年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例」では,1頁目の2つ目の「○」にありますように,「企業結合審査を行う際,業所管官庁である金融庁等との間で,考え方のすり合わせを行うことはあるのか。」という御質問をいただき,事務総局から,「企業結合審査の際,業所管官庁から必要なデータを提供してもらったり説明を受けたりすることはあるが,処理方針等について他省庁と調整を行うことはない。企業結合審査の判断は,公正取引委員会が行うものである。」との回答をいたしました。
 2つ目の議題であります「平成29年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組等」では,4頁目の一番下の「○」にありますように,「相談窓口の設置や講習会の開催,書面調査等下請法違反の未然防止のための取組に力を入れていることは理解できるが,申告の件数が増えていないようである。この点はどのように考えているのか。」といった御質問がありまして,事務総局から,「下請取引については,その取引の性格から,下請事業者からの申告は期待しにくい実態がある。書面調査を活用することや相談対応時に情報提供窓口を紹介することなどにより,引き続き,下請事業者が情報提供を行いやすい環境の整備に取り組んでいきたい。」と回答いたしました。
 そして,3つ目の議題である「平成29年度における独占禁止法違反事件の処理状況」につきましては,5頁目の一番下の「○」にありますように,「優越的地位の濫用について,申告する側は,勇気を持って申告するので,引き続き,公正取引委員会においてもこれに応えてしっかり調査していただきたい。また,中小企業の方々から,大企業に技術,ノウハウといった知的財産が不当に吸い上げられているといった声が聞かれる。中小企業は独自のノウハウを持っており,それを武器にしているので,このような部分にも目を向けていただきたい。」といった御意見をいただき,事務総局から,「優越的地位濫用事件タスクフォースによる注意は,職員が直接事業者に出向くなどして,責任者と面談し,優越的地位の濫用の考え方について,十分な理解を得ていただけるように,パンフレット等を用いてわかりやすく説明している。また,取引先からのヒアリング等によって過去の注意に対するフォローアップを行うなどしている。今後も違反行為の未然防止の観点から厳正かつ効果的な処理に努めていきたい。」との回答をいたしました。
 公正取引委員会としましては,今回いただいた御意見等も踏まえ,今後とも,適切な制度設計,法運用に努めて参りたいと考えております。

質疑応答

(問) ちょっと細かいことで恐縮なんですけども,この資料の3頁の一番上のところの,「一般論として申し上げると」から始まってる中でですね,2行目に「何らかの監視が必要になる場合もある」と書いてあるんですけれども,実施した後は競争に委ねることになるのが基本だと思うんですけれども,その後に「何らかの監視が必要になる場合もある」というのはどういったものを指しているんでしょうか。
(事務総長) 問題解消措置の申し出があった際に,そうした案件においては実際,統合が行われた後も監視していくということがありますので,そういった意味では一般論で言えば,問題解消措置というのは何らかの約束になることが多いわけですから,それがきちんと行われているかどうかというのは見ていくことになります。
 ただ,統合後の行動に対して,改めて企業結合を禁止できるか,それは法律上に,そういう規定はありませんので,その行われた行為について別途違反を構成するのか,あるいはちゃんと行っていないではないかということを当事者に指摘するとか,そういったことが出てくるのだろうと思います。

(問) 今,言われた指摘というのが限界なんですかね,もし監視をやる場合としても。
(事務総長) 何をしたかによるかと思います。先ほども申し上げましたけれども,それが別の独占禁止法違反行為を構成するようなものであれば,そういうものとして処理するということはあり得ると思います。ただ,それはあくまで一般論ですので。

(問) もう一点だけ。今度,FFG(ふくおかフィナンシャルグループ)の統合の関係なんですけれども,先週もちょっとやりとりがあった中で恐縮なんですけれども,今,現状その審査の進捗状況といいますか,個別の中身についてはかなり具体的には言えないと思うんですけれども,状況的には,今どうなのか,言える範囲でいかがでしょうか。
(事務総長) 今,御質問でもおっしゃっていただいたように,今,そのFFGと十八銀行の統合の案件が独占禁止法上どうなのかということを審査している最中でございますので,あまりその内容に関わることは申し上げにくい状況ではありますけれども,今,この段階でですね,こうした結論が見えているとか,こういう方向で動いているとか,そうしたものを申し上げれるような段階ではないと考えています。

(問) 先週,携帯電話市場の調査報告がございましたけれども,公表以後に,大手のキャリア3社から,例えば,4年縛りであったり2年縛りであったりSIMロックであったり,何か動きとか把握してるものがあれば教えていただきたいです。
(事務総長) 携帯電話の市場に関して,フォローアップ調査の報告書の公表をいたしまして,報告書の中で公正取引委員会としての考え方をお示ししたところでございますので,すぐ何らかの対応が出てくるというふうに必ずしも考えてるわけではございません。今後,私どもの報告書を受けて,MNO等の方がどういうような対応を採るのか,いずれヒアリング等によってフォローアップをしたいと考えております。

(問) 先日,報道でボクシングの出場制限を巡ってですね,日本ボクシング協会に公正取引委員会が聞き取り調査をしたという報道がありましてですね,そのほか,今年の初めはフリーランスとかですね,スポーツ選手の移籍問題を巡ってですね,公正取引委員会が報告書を取りまとめたりとか,非常にスポーツの分野でですね,公正取引委員会がですね,選手の方々に不利な条件を押しつけられないようにですね,監視といいますか,環境整備の役割が非常に期待されているところでありますけれども,これに関連してといいますか,先日ワールドカップでですね,日本対ベルギー戦があって,国民が非常に,みんな応援してて,残念ながら負けてしまって,日本中に感動を呼んだところでありますけれども,何かこれについて御感想などがありましたら聞かせていただけますでしょうか。
(事務総長) 所管外のことですので,こうした場で何か申し上げるのはどうなのかなという気もいたしますが,御質問の前段にありました人材に関する検討会の報告書というのは,様々な形で反響をいただいておりますので,それは今後とも,私どもとして,こういう考え方があるんですよということは,いろいろな業界,関係する業界の方々にお伝えしていきたいと思っています。
 改めて所管外のことですので,お答えするのは適当でないかもしれませんが,私は仕事がありましたので,あの日は朝,結果を見ただけでございまして,まだ録画も見ておりません。結果だけから言えば非常に残念だったなと。ただ,ワールドカップが始まる前の一般的な評価からすれば相当頑張ったのではないかと思います。

(問) ちょっと細かいことで恐縮なんですけども,この3頁の下のところにある長崎の債権譲渡のことについて質問があった点で,答でも,「これを前提とすれば,需要者のメリットにもなると思われる」とあるんですけど,ここでいう需要者というのは,まさに債権譲渡を希望している人たちのみを指しているのか,あるいは一般的な銀行を利用している方全般を指したものなのか,どちらの趣旨かというのを教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 基本的に,私どもが考えておりますのは,統合によって,関係する市場がどういうふうな構造変化を起こすのか,それによって誰に対してどういう反競争的な,あるいは場合によっては肯定的な効果が及ぶかということでございますので,その特定の需要者ということを念頭に置いているわけではなく,今申し上げた意味合いで影響を受けるような人たちということであります。

(問) そうなると,当然,債権譲渡を希望する人に限るわけではなくて,この市場に関わる需要者の方一般にとってメリットになるというふうな意味で考えていらっしゃるということですか。
(事務総長) 従前から申し上げておりますように,問題解消措置を採っていただくというのは,競争に及ぼす影響をできるだけ小さくしていただくということですので,そういうふうにしてでき上がった市場におけるメリットというのは,特に今回,金融の問題ですので,金融サービスを受ける方々全体に及ぼす影響という意味です。

(問) 最初の方にあった質問の追加なんですけれども,3頁の1番上の問題解消措置の事後の何らかの監督が必要になる場合もあるというお話なんですけれども,それに対して指摘が今は基本だということなんですけれども,例えば厳しい制裁をですね,事後に課すような,海外にあるような仕組みを取り入れるべきだというふうに,公正取引委員会としてはお考えなんでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。
(事務総長) 現在の日本の独占禁止法の制度の下では,問題解消措置を講じるということを前提として,それが届出の内容として組み込まれることで,それを含めた統合の審査を行うという形になっています。御指摘のように,諸外国の中には,約束事自身を義務化して,それを破った場合には,統合の結果,生み出されるような競争制限のあるなしにかかわらず,約束を守らなかったということに対して制裁措置を採るという仕組みを持っているところもございます。
 問題解消措置の実効性をどうやって保っていくのかということだと思いますので,それは,そうした諸外国のやり方というのも一つのやり方だと思いますので,それは研究するに値するとは思います。その一方で,基本的に,提示してきた問題解消措置をそのままきちんと実行されているという状況中で,そこまでの措置が必要なのかという議論もあり得るかと思いますので,そこはそうした必要性も含めた検討を,するならしなければいけないんだと思います。

(問) 現状としては,公正取引委員会さんの方で入り口で厳しく審査していることもあって,問題解消措置が適切に実行されてないケースはほとんどないので,今は現状でとりあえずいいという,そういう御認識ということでしょうか。
(事務総長) 少なくとも,現状において,そのような厳しい制裁までも導入しなければいけないという具体的な必要性があるという状況では必ずしもないのかなと思います。ただ,国際的な制度の平準化という意味では,御指摘のような仕組みというのは現にあるわけですから,そういうものがどういうふうに運用されているかというのを含めて,常に研究していかなければいけないというふうには思います。

(問) もう1つ,4頁のですね,上から2つ目の「○」のガイドラインの話なんですけれども,金融分野についてはガイドラインを策定しないのかという質問に対して,業界の事情を考慮した上で判断,現状,必要はないということなんですけれども,ここ,もう少し詳しく補足していただけますでしょうか。金融分野のガイドラインが必要ない理由について。
(事務総長) 金融分野に限らず,企業結合というのは,現在,1次審査で終了したものも含めて,届出を受けたものについては,基本的に,四半期ごとのまとめてですけど,全部公開しています。以前,届出件数をお示ししましたが,大体年間300件ぐらいなわけであり,様々な業種にわたっています。
 企業結合ガイドラインは,どのような業種においても適用できるように作られているので,特定の業種について,何かガイドラインを示さなければいけないというものではないと考えています。企業結合というのは個別性が強いものではありますので,それぞれの産業が,届出が行われた時点,それから見通される数年先までの将来において,その統合によって,市場がどのように変わるのかというのは常に変わり得る。ですから,10年前に,例えば業種別ガイドラインを作って,そこに適合した考え方が10年後に適合するとは限らない,そういうものだと思います。ですので,それは個別事案に応じて,そのときの経済情勢であるとか市場の構造,そうしたものを十分勘案して判断をする。その際には,業界のことを一番よく知っているのは当事会社の方でしょうから,当事会社の方から,自分たちの統合がこういうメリットがあり,また,競争制限になるかどうか,それについてはこういうふうに考えるということをきちんとお示しいただくことが一番大事だというふうに思っています。

(問) 企業結合に関するガイドラインですけども,業種別ということではなくて,直近のガイドラインが作られてから数年になるかと思いますが,新たなガイドラインを作る検討とか,そういったことは考えられてはいないんですか,今は。
(事務総長) 今のところ,具体的にここを直さなければいけないというニーズがあるとは思っていませんので,そうした具体的な検討の俎上に上がっているわけではありません。ただ,今も申し上げましたけれども,こうした分野というのは,国内だけではなくて国際的に通用する内容で,ガイドラインもそういう内容である必要があると思ってますので,そうした意味での勉強というのは常にしなければいけないというふうに思います。

 

以上

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