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平成30年9月5日付 事務総長定例会見記録

平成30年9月5日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

公正取引委員会の平成31年度概算要求について(平成30年8月31日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年9月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

障害者雇用に係る今回の再点検結果について

 本日のテーマに入ります前に,障害者雇用に係る今回の再点検結果について一言申し上げます。 既に報じられておりますとおり,公正取引委員会において,障害者雇用の責任を果たしていなかったという状況が明らかになっております。これは,民間に率先すべき行政において,あってはならないことであり,まず深くお詫び申し上げます。
 この件は,公正取引委員会において,障害者の雇用の状況について再点検をいたしましたところ,障害者の雇用率を算定する際に用います,公正取引委員会の職員総数などに誤りがございました。その結果,法定雇用率を達成するために必要な障害者の人数に対して,その不足数を平成29年の報告ではゼロとしておりましたが,実際には2名不足していたことが判明したというものでございます。
 公正取引委員会におきましては,障害者手帳を有する職員のみを障害者の人数として計上しており,障害者手帳を有していない職員を障害者の人数に計上するようなことは行ってはおりませんでした。しかしながら,障害者の法定雇用率の達成は国としての責務であり,厚生労働省への報告に当たって,その算定方法についてもミスはあってはならないものだと考えます。
 こうしたミスを防止した上で,先般,開催されました公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議における検討等を踏まえ,障害者が活躍することができる場を積極的に見出し,法定雇用率を達成してまいりたいと考えております。

公正取引委員会の平成31年度概算要求について

 さて,もう1点ですけれども,本日のテーマでございますが,公正取引委員会は,8月31日に,平成31年度の概算要求を行い,公表いたしました。お手元に資料があるかと思います。
 平成31年度の概算要求は117億4百万円,前年度当初予算と比較しまして7億32百万円,6.7%の増額となっております。また,配布資料には記載しておりませんけれども,概算要求の内額として,「新しい日本のための優先課題推進枠」として2億59百万円の要求を行っております。 主な要求の内容でございます。
 まず,厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用としまして4億71百万円。これはカルテル,入札談合,他の事業者の不当な排除などの独占禁止法違反行為へ厳正に対処を行うほか,株式保有,合併などの企業結合事案について,迅速かつ的確な審査を実施するために必要な経費でございます。
 次に,中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化について2億86百万円。これは下請法違反行為などに関するものでございまして,今年度に引き続き実施いたします下請等中小企業に対する重点調査や,調査体制の強化などの経費でございます。
 また,消費税転嫁対策としまして11億72百万円。これは平成31年度に予定されている消費税率引上げへの対応として,今年度に引き続き実施する悉皆的な大規模書面調査に加え,問題となる行為の未然防止のために必要な広報や書面調査の拡充,法執行体制の強化に必要な経費でございます。
 このほか,定員につきまして,厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用,中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化等のため,27名の増員を要求しております。
 この件の担当課は,予算関係が官房総務課,機構・定員関係が官房人事課でございます。

質疑応答

(問) 概算で,消費税転嫁対策なんですけど,多分,来年の秋に予定されてますけど,先ほど言及ありましたけど,具体的にいつ頃から,どういう取組をしていくのか,伺えることがあったら教えてもらえますか。
(事務総長) 平成31年度に消費税の引上げが予定されております。消費税の転嫁の対策につきましては,これまでも実施してきたところがございますので,まず従来の取組を継続的に行っていくということでございます。それは切れ目なく行っていく必要があると思いますので,いつから何か新しいことを始めるというわけではございません。ただ,来年度は,さらに引上げという状況が加わるものでございますので,また前回に引上げが行われたときと同様に体制を万全にとっていく必要があるというように考えております。31年度予算の概算要求に関することでございますので,その予算執行として,それを十分に行っていきたいと思います。

(問) 先週,一部報道があったんですけど,多分,公正取引委員会として考えていらっしゃる独占禁止法の改正の中で,いわゆる秘匿特権というものが取り沙汰されているのは承知しているんですが,今現在の検討状況というのはどうなっているのかというのを,伺える範囲で教えてもらえますか。
(事務総長) いわゆる弁護士秘匿特権ということについての御質問かと思います。現在,独占禁止法の改正として,課徴金制度の見直しを含めた検討を行っているところでございます。その議論の過程で,いわば防御権を強化するべきではないかという御議論があって,その中で,いわゆる弁護士秘匿特権の議論というのも出てまいりました。
 一部報道にもございましたし,また,これまでの自民党等への御説明でも申し上げてきておりますけれども,私どもとしましては,新しい課徴金の制度が導入されるに伴って,関係人とその弁護士との間のコミュニケーションというのがやはり重要になってくるであろうと。その過程において,その間のいろいろな連絡・相談を行った文書について,それなりの配慮をする必要があるのではないかというふうに考えております。それを具体的に担保するために,例えば公正取引委員会規則で,そうしたコミュニケーションに対して一定の保護を与えるということもあり得るのではないかということで,そうした考え方を一部で表明しております。
 ただ,弁護士秘匿特権全般について,いろいろな考え方があるところでございますので,現状,いろいろな考え方を持っていらっしゃる方々,また,関係する団体等との間で意見交換を行っているところでございまして,そういう一連の動きを踏まえて,今後,どういう具体的な内容にしていくのかというのを詰めていきたいと考えています。
 その一方で,課徴金制度の見直しを含む独占禁止法改正についても,現在,鋭意検討を進めているところでございますので,その2つの検討というのが同時並行に進んでいくということになろうと思っています。

(問) 先般,携帯料金の関係で,菅官房長官が4割下げられるんじゃないかと,それについて公正取引委員会と連携して取り組んでいきたいという御発言がありましたけれども,これは具体的に何か公正取引委員会として,今後,こうしていくという動きがあり得るんでしょうか。
(事務総長) 官房長官が講演等でそのような御発言をされたことは,当然,私どもも承知しております。また,現在,総務省におきまして,審議会等において,携帯電話の分野における競争の在り方などについて検討されている最中だと思います。先般,出されました総務省の検討会の報告書においても,総務省の今後の検討において,公正取引委員会にも参画といいますか,協力といいますか,そういうのを促しているというのもございます。ですので,そうした場が設けられるということであれば,私どもとしても,それには協力してまいりたいと考えております。現在,総務省などとの間で,一般的な意見交換の場も設けておりますので,そうした取組は引き続き行ってまいります。
 基本としましては,飽くまで民間企業の行動でございますので,幾らが適当だというのを公正取引委員会が申し上げるのは適当ではないと思いますけれども,私どもも,様々な顧客の囲い込みに結びつくような行動というのは,独占禁止法上の問題が生じる可能性があるということで考え方を示しておりますし,また,それを関係するMNOの方にも御説明しておりますので,それに即した対応をしていただいて,競争がより一層深まる中で,料金とかサービスとか,そうしたものが消費者にとってより好ましいものになっていくというのは,引き続き期待しているところです。

(問) 今の御発言ですと,官房長官の発言では公正取引委員会と連携して,とありましたけど,公正取引委員会が主導的な何か立場として,また新しい動きをするとか,審査の方をより強化するとか,そういう新しい何かをするというところまではお考えじゃないということでしょうか。
(事務総長) こういった場で,審査事件があるのかないのか,するのかしないかということを申し上げるのは適当ではないと思います。一般的な行政的な対応としては,先ほども申し上げましたけれども,公正取引委員会の携帯電話取引に関する考え方というのは,先般公表したところでございますので,まず,それは,しっかり,その内容を企業の側にお考えいただくというのが1つでございますし,それから,その連携してという部分につきましては,これも先ほど申し上げましたけれども,総務省の方で,いろいろな検討の場を設けられておりますので,そうしたところというのはよく連携を取っていきたいと思います。

(問) 先日,FFG(ふくおかフィナンシャルグループ)と十八銀行の統合を承認されましたけれども,それに対して事務総局のトップとしての評価とですね,あと,また,承認発表したことで,どういった反応が今あるかというところがあれば教えてください。
 それと,今後,モニタリング等で,銀行側と,また協議というのは続いていくのかどうかというのを教えてください。
(事務総長) まず,感想ということでありますけれども,先月24日に,排除措置命令を行わない旨の通知を当事会社にいたしまして,その旨,考え方も含めて公表しております。公正取引委員会としましては,申し出られた問題解消措置が実現されるのであれば,競争法上の懸念というのは解消されるという判断をしたものでございますので,当事会社におかれましては,その自らが申し出られた措置をきちんと採っていただくということが,これからしていただくことだと思います。もし,きちんと採っていただかないと,また別の問題が生じることもあり得ます。
 その上で,その後の反応というのは,正直申し上げて,報道はいろいろ拝見しておりますけれども,直接,私が誰かから何かを言われている,あるいは申し上げているということもございませんので,それは,今後,何か起こってくるのであれば,そういうのを勉強させていただきたいと思います。
 ただ,企業結合といいますのは,やはり個別性の強いところもございますので,仮に同じような業態のところで統合ということが起こるとすれば,それはそれで,また,その個別事案として判断させていただくことになると思います。
 モニタリングにつきましても,当事会社の方で申し出られた問題解消措置の一部でございますので,まだ具体的にどういうふうにするのかというのは,これから決められることのようですので,それはどういうものになるのかというのは,しっかり把握させていただきたいと思います。

(問) 発表のときの会見の中でですね,統合承認の判断が正しかったのかどうかも踏まえてですね,2年か3年たったときに事後検証する必要があるのではないかということを,企業結合課長が言及されましたけれども,そこについての現時点でのお考えを教えてください。
(事務総長) およそ企業結合審査といいますのは,その統合によって,将来の競争状況がどういうふうになるのかというのを事前に判断するということになります。ですので,この件に限らず,実際に競争法でいうところの市場がどういうふうに変化したのかという事後的な検証は,ほかの事案の参考にするためにも,常に心がけていかなければならない問題だと思います。企業結合課長も,そうした趣旨で申し上げたんだろうと思います。ですので,現時点で何か,2年後,3年後に向けて,作業を始めているということではございません。

(問) ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行の統合承認に関して,2つお伺いしたいんですけれども,今回の統合の承認に至るプロセスの中で,いろいろ公正取引委員会の審査の仕組みといいますか,こういったものに対する疑問の声ですとか,そもそも論についての疑問ですとか,いろいろ出てるわけなんですけれども,その1つで,市場画定,商品画定というところで,SSNIPテストというのをやっているわけなんですけれども,このSSNIP手ストというのが,何というんでしょう,明確性を伴ってないというか,このSSNIPテストの中で公正取引委員会の恣意的な判断,裁量というのが反映されているんじゃないかという指摘もありまして,今後,SSNIPテストの運用について,例えば,よりクリアなものとして出していくのか,改めていくのか,この件について伺いたいんですけど,いかがでしょうか。
 もう1つはですね,同じふくおかと十八銀行の件なんですけれども,今回,債権を譲り受ける側の金融機関側で,今後,譲り受けることをきっかけとして,長崎でのビジネスに取り組んでいきたいという見解表明というか,そういうこともあって,公正取引委員会としては,長崎における競争者というんでしょうか,そういうものが確かにあるというふうに判断されたということなんですけれども,債権譲渡の結果,そういうことになったという理解なんですけども,譲り受ける金融機関が,どれだけ本当に長崎でやっていくおつもりなのかというところがいま一つ疑問なんですが,公正取引委員会としては,この辺どう見ていくかというのを,もう1度伺いたいと思います。
(事務総長) まず,最初に市場画定のところでございますが,いわゆるSSNIPテストというのは,国際的に確立された考え方でございます。簡単に言えば,仮想的な独占者を想定して,その市場で一定程度の価格引上げを行った場合に,競争品,競合品に需要が移るかどうかというのを順次繰り返していって,その行き着くところで市場を画定するというところが基本的な考え方です。
 これを厳密に行う場合には,厳密なデータが必要になります。ですが,それは,どういうデータが揃うかというのは,関係する商品や地域によっても異なると思いますが,基本的な考え方というのを変える必要はないと考えています。
 ただ,その際に,できるだけ多くのデータ,定量的なもので,それが十分でない場合には定性的なものを含めて,そのデータの分析をきちんと行うということでやって,その考え方そのものを見直すとか,そういう必要はないのではないかというふうに考えています。
 それから,2つ目の御質問でございます。おっしゃいますように,今回,競合するところに債権譲渡を行い,その競合する金融機関の方々が本件の関連市場においてプレゼンスを高めていくであろうということが,私どもの調査としては,それ相応の確認ができたということで,本件統合を認めたものでございますので,私どもとしては,債権譲渡を受けたところも含めて,そうした金融機関が今回の市場において一定のプレゼンスは発揮してくれるというものだというふうに考えております。
 ただ,そのためには,実際にそうした金融機関の方々の努力というのも当然に必要になってきますので,そこはきちんとした成果を上げていただけるのではないかと考えています。

(問) しばらく前になってしまうんですけれども,一部報道で,ヤフーのゲーム配信事業にアップルが圧力をかけて,取引を妨げた疑いがあるということで,公正取引委員会としても事実を把握して,調査を進めているという記事が出たんですけれども,実態について,事実関係を教えてください。
(事務総長) その記事は拝見しております。ただ,そこに書かれていることは,公正取引委員会が事件として調査をしているのではないかという趣旨であったと思いますので,そうした意味合いであれば,個別の問題についてこうした場で言及するのは適当ではないと考えています。

(問) 言及できないのは,実際,調査に入っているからという理解でよろしいでしょうか。
(事務総長) 調査している,していないも含めて,こうした場で言及するのは適当ではないと考えています。

(問) 一般論になるかもしれませんけど,こういうアップルのようなデジタルプラットフォーマーがこうした取引先にこのような圧力をかけ得るというか,こういった事態については,情報としては把握されているんでしょうか。
(事務総長) 情報として把握しているのかということであれば,同趣旨の報道というのが,今年の前半でもされていたと思いますので,そういう意味では,見聞きしているということにはなると思います。

(問) デジタルに限らず,プラットフォーマーに対するいろんな監視というか,適正な在り方が必要という観点からの,公正取引員会のスタンスは最近厳しくなってきていると思うんですけれども,改めて,こういう,特にアップルのようなデジタルプラットフォーマーに対する懸念というか,問題点があるとすれば,どのような点かについて,お考えをお聞かせください。
(事務総長) プラットフォームは,まさに基盤でありますので,そこを運営・運用しているところというのは,プラットフォームの利用者に対して,それなりの交渉力といいますか,力を持っているということなんだろうと思います。
 独占禁止法の観点からいえば,やはり一定の支配力といいますか,取引上の強い立場にあるものがその地位を濫用する,あるいは競争業者を排除するということがあれば,独占禁止法上問題になってくることがございますので,固有名詞は別にして,そうした点については常に関心を持っているところでございますし,また,先ほどの私の説明の中では直接触れませんでしたけれども,来年度の概算要求の中でも,プラットフォーマーに関する実態調査ですけれども,そうした経費を盛り込んでいるところでございます。
 別に来年度にならなければやらないという意味ではありませんけれども,常にそうした関心を持っていきたいと思っています。

(問) 例のプラットフォーマーのルール整備ですかね,ビジネス台頭に即した,未来投資戦略にも盛り込まれた例の検討を,経済産業省とか総務省とチームを作って始めているということだと思うんですが,年内に基本原則というと,あまりもう時間がないわけなんですけれども,現在の検討の進捗状況について改めて教えてください。
(事務総長) 今の御質問にもございましたけれども,経済産業省含め,関係省庁との間で鋭意議論を,専門家の方の見解なども含めて進めているところでございます。
 一応,ある程度のタイムスケジュールを考えて,議論を進めているところでございますので,そうしたことは着実に進めていきたいとに思います。

(問) 専門家にも話を聞いているということなんですが,公開の場でそういうことはやらないで,とりあえず非公開で行うんですか,このまま,年内。
(事務総長) 実際,私どもは運営に関わっておりますけれども,現在のところは専門家からいろんな御意見を頂戴してる段階ですので,そこは自由な意見をいただけるように,まだ公開して行うような段階ではないと思います。

(問) 基本原則が定まれば,年末というか,年内に公表されると。それはそれでいいんですよね。
(事務総長) 基本的には一定のスケジュール感を持って作業を進めているところです。

以上

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