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平成30年9月26日付 事務総長定例会見記録

平成30年9月26日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

確約手続に関する対応方針の概要

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年9月26日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

「確約手続に関する対応方針」の策定及び「企業結合審査の手続に関する対応方針」の一部改定について

 本日,私の方からは,「確約手続に関する対応方針」の策定などについてお話しいたします。
 確約手続は,独占禁止法違反の疑いについて,公正取引委員会と事業者との間の合意により,自主的に解決するための手続であり,TPP11協定の発効の日に施行することとされております。そのため,公正取引委員会は,この確約手続の施行に向けて,その法運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保する観点から,「確約手続に関する対応方針」(案)などを公表しまして,7月11日から8月10日までの間,意見公募手続を行いましたところ,20名の意見が寄せられました。
 公正取引委員会は,提出されました意見を慎重に検討いたしました結果,趣旨を明確にする観点から,原案に一部修正を加えた上で,本日15時に,成案を公表するとともに,記者ブリーフィングを行います。
 公正取引委員会は,「確約手続に関する対応方針」などの内容を含む確約手続全般に関して,関係者に十分に周知し,独占禁止法の効率的かつ効果的な執行に役立てるとともに,引き続き,独占禁止法を厳正・適正に運用してまいります。

質疑応答

(問) 確約手続で一件。多分来年明けぐらいに発効されるのかなと思うんですけど,実際,今,審査しているのは,大体平均で,最初の審査開始から終了まで15か月とか1年半とか言われていますけれども,確約手続が軌道に乗ることによって,審査期間というのは短くなって,リソースがほかに振り分けられるということは考えられるのでしょうか。
(事務総長) 確約手続は,私どもにとっても,新しく導入される手続でございますので,それが実際にどの程度の効果を発揮するかというのは,まだ未知数の部分もあるかと思います。ただ,確約手続は先ほども申しましたとおり,その趣旨からしまして,事業者と公正取引委員会との間で,問題のある行為について,それを是正するということで,審査案件を終結させるという手続になります。定量的にはちょっとまだ難しいところはありますけれども,やはり,できるだけ早期に競争状態を回復するという効果は期待しているところでございます。

(問) 関連でもう一件。ハードコアカルテルはそもそも除外されていますけれども,そうすると,基本的には,いわゆる単独案件が対象になってくるという理解でいいでしょうか。
(事務総長) 今回の対応方針の中にも記載しておりますけれども,いわゆるハードコアカルテルなどの悪質性が高いような案件は確約手続の対象から除外しておりますので,ひっきょう,対象の中心となるのはやはり単独行為ということになるかと思います。もちろん,確約手続に入るかどうかというのは,個別ケースごとに判断していくことにはなりますけれど。

(問) 単独行為の場合は案件によりけり,とおっしゃいましたけど,単独の調査に入ったら,基本的に確約も念頭に置きながら審査するという考え方になるんですかね。
(事務総長) ア・プリオリに確約手続に入るんだということで審査に入るということはないと思います。やはり審査の過程を踏まえて,確約手続に入るのが適当かどうかということを判断していくことになると思います。

(問) 全然別の話で,的外れかなというのを承知の上でお尋ねしますけど,相撲の関係なんですけど,今年2月の公正取引委員会の報告書で,スポーツとか芸能の業界の報告書が出ています。的外れだったら申し訳ないんですけれども,昨日,今日の報道で,一門に入らないといけないとか,ちょっとこれは食い違いがありますけど,一門に入るには条件があるというように一方の人は言っていますけれども,公正取引委員会として関心を持っていらっしゃいますでしょうか。
(事務総長) 昨日,今日,いろいろな報道がされている,大相撲に関することだと思いますけれども,やはり実際に起こっている事象について,公正取引委員会が関心があるとかないとか,そういうことを申し上げるのは適当ではないと思います。ですので,只今の御質問については,お答えするのは適当ではないと思います。
 一般的に申し上げれば,スポーツ団体のやり方について,それがどういう必要性とか,必然性といいますか,そうしたことがあって,そういう決め事が行われているのかというのは,やはり個々のケースごとに判断されていくことになると思います。御指摘のありました「人材と競争政策に関する検討会」の報告書でも,そうした趣旨のことが書かれていたかと思います。

(問) また確約の話に戻ってしまってすみませんが,この「概要」に書かれている「確約措置の要件」,「違反被疑行為を排除する又は違反被疑行為が排除されたことを確保するために十分なものである」ということはどういうことなのか,ちょっと典型例も含めて,具体的にどういうふうな形になるのか教えていただけますか。
(事務総長) その下のところにも典型例を書いておりますけれども,この確約手続に乗れば,排除措置命令も,それから,課徴金納付命令も行われないということになりますので,それを踏まえて考えれば,やはり排除措置が採られたのと同等の効果が生じるようなものというのが前提になると思います。必ずしも今回の対応方針に書かれているものが全てというわけではありませんけれども,やはり違反の疑いのある行為をやめること,それから,そうした行為によって生じた競争に対する悪影響というものがきちんと回復されること,そうしたことが採られている,採られることになるということが中心になろうかと思います。

(問) これまでですと,アマゾン,アップル,あと,みんなのペットなんかで,最近の例で言うと,それと似たような手続が採られたのかなと理解しているんですけれども,そういうふうなイメージがあるんですけれども,多分もうちょっと広い,いろいろな形があるのかなと思うので,もうちょっと分かるような形で説明してもらえますか。もちろん,具体的な案件によると思うし,優越(的地位の濫用行為)なんかだと最近は勧告とか注意とかで終わってしまっているので,あんまり排除措置まで行くことは多くないのかなとも思うんですが,課徴金がかけられるかどうかという違反と,そうでないのとで,会社側の使おう,使えるように努力しようかどうかというのもかなり変わってくるのかなと思うので,もうちょっと御説明いただけますか。
(事務総長) 先ほども申しましたけれども,基本的にまず,違反の疑いのある行為というのがやめられていること,それから,少なくともやめたのと同じような効果が生じる何かをするということは必要だと思います。
 もちろん,その中には契約条項とかに関わるものが含まれてることもあるかもしれませんので,それが一定の条件交渉とか,そういうことが必要になるようなものもあるかもしれません。ただ,それは,実際は,やはりある程度確実にそうした効果が生み出されるような形で直していく必要があると思いますし,それから,課徴金の話でいえば,例えば優越的地位の濫用であれば,2回目からではなく1回目から課徴金の対象になりますので,そうしたことも踏まえて,原状回復がされているということ,あるいはされることが計画に含まれているということは,その内容を是認する方向に働く可能性が強いと思います。

(問) では,割と,もちろん限定はしないと思いますけれども,優越なんかでも使うことは想定されるという理解でいいですか。
(事務総長) そこは対象類型に入るものでありますので,優越の案件であっても確約の対象にはなり得ます。

以上

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