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平成30年12月5日付 事務総長定例会見記録

平成30年12月5日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

下請取引の適正化について(平成30年11月27日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年12月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

下請取引の適正化について

 本日,私の方からは,「下請取引の適正化」の要請についてお話しいたします。
 年末にかけての金融繁忙期においては,一般的には,資金決済や従業員へのボーナスの支給などで事業者の資金需要が高まる時期であるとされており,下請事業者の資金繰り等について厳しさが増すことが懸念されます。そこで,下請代金の支払遅延,下請代金の減額等の行為が行われることのないよう,親事業者及びその関係事業者団体に対し,公正取引委員会委員長と経済産業大臣の連名の文書により,下請法遵守の徹底などについて,毎年,要請してきております。
 我が国経済は,景気の緩やかな回復基調が継続する中,中小企業の業況は緩やかな改善基調の中にも一服感がみられ,原材料価格の上昇や人手不足への懸念など,中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあるものと承知しております。そのため,親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い,下請事業者の資金繰りに支障を来させないようにしていただく必要があります。また,立場の弱い下請事業者に不当なしわ寄せが生じることがないようにしていただく必要もあります。
 また,政府が進める「働き方改革」においても,事業者間の取引条件の改善が課題であるとされており,例えば,極端な短納期発注は,取引先における長時間労働等につながる場合があり,下請法違反の背景にもなり得るので,特に注意していただきたいと考えております。
 このような内容を含みます要請文書を,平成30年11月27日,下請法上の親事業者となり得る事業者約21万社に対し送付いたしました。また,併せて日本経済団体連合会,日本商工会議所などの関係事業者団体約1,000団体に対しても,親事業者に要請した内容について,所属事業者に対し周知徹底を図り,下請取引の適正化を指導されたい旨の文書を同日付で送付いたしました。
 先般の定例会見でも平成30年度上半期の下請法の運用状況等について御紹介いたしました。そこにありますとおり,公正取引委員会は,下請法の積極的な運用に努めております。引き続き,下請事業者が不当な不利益を受けることがないよう,下請法違反行為に対しては迅速かつ効果的に対処するとともに,下請法の啓蒙・普及には一層取り組んでまいります。
 本件の担当課は,取引部の企業取引課でございます。

質疑応答

(問) 下請法と関係のない話で恐縮ですけれども,2週間ほど前に,デジタル・プラットフォーマーの会議がありましたけれども,今,政府として取りまとめをして,来年の未来投資会議に向けて提言を出そうという段階だと思うんですけれども,公正取引委員会として重視している点を改めて御説明いただけますでしょうか。
(事務総長) プラットフォーマーに関する検討会は,公正取引委員会,経済産業省,総務省などで,一緒に勉強させていただいているところでございます。これまで,中での検討,それから関係事業者の方々においでいただき,ヒアリング等を行ってまいりまして,どういったことがこの分野で問題になるのかということを,今後,詰めていきたいと思っております。
 独占禁止法の関係であれば,プラットフォーマーにいろいろな情報であるとか,事業力といったものが集中することによって,市場に,あるいは市場競争にゆがみが生じるのかどうか,そういうことが第一の懸念であります。もちろん,独占禁止法の規定が該当するかどうかというのは個別の判断ということになります。競争政策の観点からすれば,競争の結果によって事業者がよりよいサービスを提供する,よりよい事業者が市場の中で大きくなっていくこと自体は問題にすべきことではないと思います。しかし,そうした力を持った事業者が,そういうものを濫用するようなことはないのか,あるいは,その以前の問題として,その力の持ち方について,何かおかしなことが行われているのかどうか,あるいは,そういう仕組みになっているのではないか,そういう点は,私どもが関心を持つべき事項だと思います。

(問) 独占禁止法の運用ルールなどについて,何か変えていこうというか,そういった問題意識みたいなものはお持ちなんでしょうか。
(事務総長) 基本的には,これまで検討会等で御議論いただいたものを踏まえて,私どもはさらにどうするかを検討するということでございまして,特定の方向性を今,持っているわけではございません。

(問) 別件なんですけれども,10月だったか,東京都の発注する水浄化の事業に関する立入検査を行っているかと思うんですが,それに関して,今週,東京都の水道局が内部調査の中間報告を出して,1人の人が価格情報を提供していたようだということを発表したわけですが,6月に公正取引委員会が,談合防止に対する発注者側の取組についての報告書を発表されたかと思うんですが,この談合に関して,発注者側の取組についてどういうふうな印象をお持ちになりますか。
(事務総長) 2つのことは分けて考えるべきだと思います。これまで,公正取引委員会は,いわゆる官製談合の防止について,関係するしないにかかわらず,発注体に対しては,こういうことが問題になるんですよという啓蒙活動を行ってまいりました。御指摘の6月の報告書というのは,それがどういうふうに捉えられているかという点も含めて調査をいたしまして,その中で,東京都の話はちょっと措いておいて,特に,小さい自治体などでは,内部での周知の仕方が難しいというようなこともありましたので,その手助けになるようなツールキットを用意するといった取組も行ったところでございます。そうしたことは,今後も続けていかなければならないと思います。
 御質問のもう1つの側面である,東京都が発注する浄水場の件に関して内部調査が行われたということでございますが,私どもも,東京都から,どういう内容だったかということの御説明は受けております。ただ,そもそも関与行為が行われていたかどうかという前提として,入札談合があったのかどうかということがまず問題になりますので,そこから先は個別の事件に関わることになりますので,私から,今の段階での発言は控えたいと思います。

(問) ただ,もっと取組を強化すべきだという印象はお持ちなんですか。
(事務総長) それも含めて,今,申し上げる段階ではないと思います。

以上

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