その他
チリ
チリ国家経済検察庁及びChileCompra、公共調達における入札談合を探知するツールを共同開発
2025年6月13日 チリ国家経済検察庁 公表
【概要】
1 国家経済検察庁(以下「FNE」という。)及びChileCompra(訳注:公共調達機関)は、公共調達分野における入札結果に影響を与える可能性がある共謀行為を探知するために協力している。
2 両機関が2011年に締結した協力協定の一環として、 FNEの情報管理部門及びChileCompraの監視部門は、公共調達を監視し、自動的に違法行為を探知するツールを共同開発している。このツールの対象となるのは、Mercado Publico(訳注:公共調達を行うためのデジタルプラットフォーム)を通じて行われた全ての入札である。
3 この共同開発によって、テクノロジーツールや人工知能(AI)を活用し、多様な情報源から得られる膨大な情報が効率的に管理・処理されることになる。この共同開発の目的は、市場における自由競争の促進・保護、とりわけFNE内で反競争的行為の捜査を担う部門の業務を支援することにある。
4 FNE及びChileCompraが共同開発したツールは既に稼働しており、反競争的行為の兆候を探知することができる。今後、数か月間かけて、この技術開発が導き出す結果の精度及び信頼性の向上に取り組む。
5 FNEのJorge Grunberg経済検察官は、「2020年末に公表された市場調査報告書(注1)にも反映されているように、公共調達はFNEにとって非常に関心の高いテーマである。」と強調した。
なお、同報告書で示されたいくつかの提言は、2023年に成立した公共調達制度を近代化する法律に反映されている。
(注1)同報告書は、公共調達の課題として、①競争の欠如(単独入札者が20%以上を占め、入札参加者が少ない)、②入札基準の恣意性(特定企業に有利な内容)、③計画性の不足(緊急調達が多い)、④担当者の専門性不足(入札設計のアップデートが不十分)、⑤情報アクセスの困難(プラットフォームが使いにくく、参加者が限定的)、⑥監督・制度の脆弱性(監督機関の権限が限定的)、といった点を指摘している。
https://www.fne.gob.cl/fne-publica-informe-final-sobre-estudio-de-mercado-de-compras-publicas-y-envia-al-ministerio-de-hacienda-recomendaciones-para-mejorar-el-sistema/?utm_source=chatgpt.com6 また、同検察官は、「この取組の主な目的は、FNEの情報管理部門が開発した探知ツールを改良し、チリ国内の公共調達分野における共謀行為への対策を強化することにある。」、「この取組によって、公共調達に関する入札をより効果的に監視し、金銭的利益を損なう可能性のある共謀行為を探知することが可能になる。」と述べた。
7 ChileCompraのVeronica Valleディレクターは、「ChileCompraは、Mercado Publicoの情報を分析するためにデータサイエンスを活用している。これにより、Mercado Publico上で取引を行う機関による潜在的な不正行為に対する監視の精度及び網羅性を向上させるとともに、リソースの効率的な活用と、FNEへの報告のタイミングの改善を実現している。」と述べた。
イタリア
イタリア
イタリア競争当局、航空運賃の透明性向上をめぐり、欧州委員会との協議を開始
2025年7月3日 イタリア競争・市場保護委員会 公表
原文
【概要】
1 イタリア競争・市場保護委員会(以下「AGCM」という。)は、2023年11月からシチリアとサルデーニャを発着地とする航空旅客輸送の価格アルゴリズムに関するセクター調査(注1)(以下「AGCMによるセクター調査」という。)を実施し、2024年11月に予備報告書(注2)を公表した。
(注1)EU加盟国の競争当局は、自国の法制度に基づき、自国内の特定の産業や市場に関して1競争環境の評価を行い、その結果に応じて規制の見直しや政策的提言を講じることができる。
(注2)https://en.agcm.it/en/detail?id=3b75acb7-16f8-4ae1-867f-42e76b4c9681& utm_source=
chatgpt.com
2 AGCMによるセクター調査は、航空運賃における透明性向上の必要性が依然として重要な論点であることを示している。AGCMは、予備報告書の公表後に航空会社から寄せられたフィードバックを踏まえ、航空運賃の比較可能性を高め、関連市場における競争促進を目的とする、自国の権限の範囲内で実施可能な施策の採択に関し、欧州委員会との協議を開始した。EUレベルで実施される航空旅客輸送への厳格な規制は、航空運賃の透明性及び比較可能性にも影響している。
3 AGCMの予備報告書は、航空運賃の透明性や比較可能性について潜在的な懸念があることを指摘している。また、利害関係者からの同報告書へのフィードバックやその後の分析は、依然として、顧客が確認できる運賃本体価格(注3)や付帯サービス価格(注4)が比較しにくい点を指摘している。航空券の実際の価格が分かりにくく、比較も困難であることから、顧客にとって航空便の検索が複雑となり、購入時に航空運賃の内訳を正確に把握することが難しくなっている。
(注3)座席利用そのものに対して航空会社が設定する基本料金のこと。
(注4)座席指定、受託手荷物、機内食、優先搭乗等といった追加サービスにかかる料金のこと。
4 価格比較の重要性は、航空旅客の約半数が座席指定、機内持込手荷物、受託手荷物等の付帯サービスを購入している点にある。また、これらの付帯サービスは航空会社の収益の大半を占めている。こうしたことから、AGCMは、需要の流動性を促進し、その結果、航空会社間の価格競争を促進するため、付帯サービス料金を含む航空運賃の完全かつ効果的な比較を可能にする仕組みの導入が不可欠であると考えている。