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オーストラリア
オーストラリアの新たな企業結合規制は良好な滑り出し
2026年4月9日 オーストラリア競争・消費者委員会 公表
【概要】
1 運用開始から最初の3か月間のデータによると、オーストラリアの新たな企業結合規制は制度設計どおりに機能しており、オーストラリア競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)はタイムリーに決定を行っていることが明らかになった。新たな企業結合規制(注1)が施行された2026年1月1日から3月31日までの間に、ACCCは50件の届出と108件の届出免除申請(waiver applications)(注2)を受理した。
なお、事業者が自主的に届出を行うことが認められていた移行期間中(2025年7月1日から同年12月31日まで)に13件の届出があった。
(注1)一定の要件を満たす買収案件について、事業者は事前にACCCに届出することが義務付けられた。当該事業者は、ACCCからの承認なしに買収を実行することは禁じられている。
(注2)当事会社間で競合する事業領域が全くない又は限定的である、当事会社の市場シェアが著しく低いなどといった要件を満たす場合、事業者はACCCに対し届出免除を申請することができる。ACCCから申請が認められれば、買収が届出基準に達している場合でも、届出が不要となる。
https://www.accc.gov.au/system/files/merger-process-quick-guide-for-businesses-december-2025.pdf
2 ACCCは第1次審査(Phase 1)において39件の届出を承認し、2件の届出はより詳細な審査を行う第2次審査(Phase 2)に移行した。新たな企業結合規制の下では、オーストラリア財務大臣が定めた届出基準を満たす買収案件について、事業者はACCCへの届出が義務付けられている。事業者はACCCの承認を得るまで当該買収を実行することができない。
3 ACCCは、各届出の詳細及び主要な決定事項を「企業結合事案一覧表」(Acquisitions Register)(注3)で公表している。ACCCは、第1次審査において、期間が延長されない限り15~30営業日以内に、買収を承認するか又はより詳細な審査を行う必要があるかを決定しなければならない。ACCCは、当該買収がいずれかの市場において競争を実質的に減少させる可能性が高いと判断した場合、第2次審査が必要であると決定することができる。第2次審査の期間は、延長が許容される一定の場合を除き、最長90営業日である。
(注3)届出された買収及び届出免除の申請に関する記録が掲載されている。
4 第1次審査においては、ACCCが承認の決定を行うまでに平均18営業日を要した。競争上の重大な懸念が生じないことが明らかでより単純な買収案件に係る簡素化された手続である届出免除については、平均11営業日で決定された。ACCCは70件の届出免除を認め、6件は認められなかった。届出免除が認められなかった買収案件については、届出基準を満たす場合、買収を実行する前にACCCに正式に届け出る必要がある。
5 ACCCのゴッドリーブ委員長は、次のように述べた。
(1) まだ初期段階ではあるものの、新制度の進捗状況には満足している。初期の業績指標は、システムとプロセスが設計どおりに機能していることを示しており、新たな企業結合規制が順調に始動していることを示している。
(2) 特に重要なのは、新たな企業結合規制により各分野における企業統合の動向についての理解を深めることができる点である。
(3) ACCCは、80%の買収案件について20営業日以内(第1次審査(早期承認)又は届出免除のいずれかによる)に判断を下すことを目指していた。現在はこの目標を達成しており、実際に91%の案件が20営業日以内に決定されている。
(4) 透明性の向上は新たな制度の重要な特徴であり、これにより関係者はACCCに届け出られた買収案件の内容やACCCの判断理由を確認できるようになる。
(5) ACCCは、新たな企業結合規制を透明かつ効率的に運用することに注力しており、運用実績や主要な動向について引き続き報告していく。
トルコ
トルコ競争庁、AIに関するセクター調査を開始
2026年4月7日 トルコ競争庁 公表
1 今日、AIは、単なる技術開発の新たな分野にとどまらず、競争のルールを書き換え、市場支配力を変容させ、経済のバランスに根本的な影響を与えるツールとなっている。特に生成AIの急速な発展は、データ、処理能力及びプラットフォーム・エコシステムを軸とした新たな競争環境を生み出している。この新たな環境においては、競争がどのように形成・維持され、誰によって決定されるかが再定義されつつある。
【概要】
2 トルコ競争庁(以下「競争庁」という。)は、この変革が市場に及ぼす影響を統合的な視点から評価し、新たに生じつつある競争上のリスクを早期に特定するため、AIエコシステムに関する包括的なセクター調査を開始した。
3 AIのバリューチェーンは、インフラからモデル開発、アプリケーションに至るまで、多層的かつ戦略的な構造に依存している。特に、このバリューチェーンにおける主要モデルの構築段階においては、データ、処理能力、技術的専門知識、資金等の投入資源へのアクセスが決定的な役割を果たす。これらの資源に早期かつ集中的にアクセスできる事業者は、バリューチェーンの複数の層で地位を確立し、垂直統合的な構造を形成することで、市場支配力を急速に強化することが可能となる。これは、競争の機能を形作る根本的な力学に直接的な影響を及ぼす。
4 一方、AIバリューチェーンの中核をなす主要モデルの汎用性は、当該力学を更に顕在化させる。大規模データセットで学習され、様々な用途に統合することが可能なこれらのモデルは、単なる技術的構成要素ではなく、エコシステムの方向性を決定付ける重要な要素となっている。このような状況下において、先行者利益を獲得した事業者が、その地位をさらに強固なものとすることは、参入障壁の上昇、利用者の特定エコシステムへのロックイン、競争事業者による不可欠な投入資源へのアクセスを困難にする等のリスクを伴う。そのため、不可欠な投入資源へのアクセス条件、エコシステム内の関係性及び流通チャネルの支配が市場構造に及ぼす影響について、統合的な検討を行うことが重要である。
5 また、AI技術と大手デジタルプラットフォームの既存の製品・サービスとの統合は、競争法上、更に重大な問題を提起している。このような統合は、自社優遇、排除、抱き合わせ販売、アクセス制限、切替えコストの増大といった行為が生じる土台となり得るものであり、現在の市場構造のみならず、将来の競争及びイノベーションの動向にも影響を及ぼし得る。
6 さらに、競争庁が最近審査した企業結合は、合併規制の観点からも、AI分野の動向がますます重要になっていることを示している。AI技術が直接的に関連市場を構成しているような取引もあれば、データ優位性、補完性、潜在的競争及びイノベーションの保護を考慮した評価が必要となるような取引もあった。
7 今回開始されたセクター調査では、特に主要モデルを中心にAIエコシステムが具体的にどのように形成されているか、バリューチェーンの各層間の関係、不可欠な投入資源へのアクセス条件、大手テクノロジー企業と新興・革新的事業者との相互運用性並びにデータ及び処理能力が競争に及ぼす影響を分析する。
8 本調査は、AI分野において生じている構造的な傾向及び潜在的な反競争的リスクを早期に特定し、得られた知見を競争的な市場構造を維持するための政策決定プロセスや介入手段として活用することを目的としている。
9 競争庁は、AI分野における変革を注視するとともに、この変革がトルコ経済及び競争環境のバランスに及ぼす影響を慎重に精査している。