その他
ニュージーランド
ニュージーランド商務委員会、ニュージーランド銀行協会によるアーマーガードとの共同交渉を条件付きで承認
2026年5月15日 ニュージーランド商務委員会 公表
1 ニュージーランド商務委員会(以下「商務委員会」という。)は、ニュージーランド銀行協会及び銀行グループその他の関係者が、現金輸送サービス(注1)に関してエバーグリーン・インターナショナルLLC(以下「アーマーガード」という。)(注2)と共同交渉を行うことを求める申請について、一定の条件付きで承認する旨の最終決定を下した。 【概要】
(注1)銀行、公共部門、金融機関及び一般顧客向けの多額の現金の輸送、管理、処理に加え、ATMへの現金補充、並びに多額の現金の保管及び管理が含まれる。
(注2)エバーグリーン・インターナショナルLLCは、アーマーガードとして営業を行っている。
2 これにより、参加者はアーマーガードが提供する現金輸送サービスについて、共同交渉を行う権限を有するとともに、共同交渉を支援するための協議や情報交換を実施し、共同契約又は個別契約を締結することが可能となる。これらの交渉によって合意された条項は、11年間にわたって効力を有するものとする。
3 商務委員会の判断は、2025年11月に暫定認可の発出について却下した時点から、その後の検討を経て変化したものである。当時は、暫定認可がアーマーガードに不確実性をもたらし、潜在的な投資延期を招く可能性があるとの懸念があった。しかし、さらなる検討と証拠の収集を経て、商務委員会は、認可による公共の利益が競争上の不利益を上回るとの結論に至った。
4 商務委員会のジョン・スモール委員長は、次のように述べた。
(1) 商務委員会は、本件において共同交渉によって得られる公共の利益は、潜在的な競争上の不利益を上回ると判断している。
(2) 共同交渉を実施すれば、より効率的な契約条件と業務運営の効率化が実現する可能性が高い。本件における公共の利益は必ずしも定量的に評価できるものではないものの、これらの重要なサービスに関する共同交渉は、最終的に公共の利益に資するものであると考える。
(3) このリスクを軽減するため、商務委員会は認可(注3)に当たり、法的監督に関する要件及び情報共有に関する条件を付している。これらの要件及び条件により、銀行は認可条件を遵守し、現金輸送業務以外の事項に関する協調行為を回避することが保証される。
(注3)商務委員会は、1986年商業法第58条の規定に基づき、本法に違反する可能性のある協定であっても、当該協定があらゆる状況において公共の利益をもたらす、あるいはその可能性が高いと商務委員会が判断した場合に限り、認可を付与することができる。商務委員会が発行した認可ガイドラインでは、競争を制限する可能性のある反競争的協定やカルテル条項を含む協定が、同法第58条の規定に基づき認可される場合の基準及び申請審査の手続について詳述している。
英国
CMA、マイクロソフトのビジネスソフトウェア・エコシステムについてSMSの指定に関する調査を開始
2026年5月14日 英国競争・市場庁 公表
1 本日(5月14日)、競争・市場庁(以下「CMA」という。)は、マイクロソフトのビジネスソフトウェア・エコシステムを対象とした戦略的市場地位(Strategic Market Status、以下「SMS」という。)の指定に関する調査(以下「SMS調査」という。)を開始するとともに、調査対象範囲の詳細について公表した。これは英国のデジタル市場・競争・消費者法が施行された2025年1月以降で、CMAが実施する4件目のSMS調査となる。 【概要】
2 英国では数十万の企業や公共部門がマイクロソフトのビジネスソフトウェア(Windows、Word、Excel、Teams、そして近年導入が進むCopilotなど)を日常的に利用しており、そのエコシステムには1500万人以上のビジネスユーザーが存在している。マイクロソフトのエコシステムは、英国経済の生産性向上にとって重要な役割を果たしている。
3 ビジネスソフトウェア分野は急速な変化を遂げており、AI機能の高度化と日常的な業務ツールにおけるエージェント型AI(注1)への移行が顕著である。このような状況において、英国が最大の恩恵を受けるためには、需要者が市場で最良のツールにアクセスし、多様な競争事業者が提供するソフトウェアやAIサービスを自由に組み合わせて利用できる環境が不可欠である。したがって、ビジネスソフトウェア市場における競争が適切に機能していることが極めて重要である。
(注1)目標を与えられると、自ら計画を立て、必要な情報を収集し、複数の作業を実行して目標を達成するAIのこと。
4 CMAは、英国の需要者がマイクロソフト製品と他のプロバイダー製のソフトウェアとを効果的に組み合わせて利用できない場合があると聞いており、それにより、英国の需要者は最適な製品を最も競争力のある価格で入手することを制限されている可能性がある。今回のSMS調査では、マイクロソフトがビジネスソフトウェア分野でSMSを有しているかどうかを検証するとともに、マイクロソフトがその地位を利用して需要者の選択肢を制限している可能性について検討する。具体的には、製品の組合せ供給、相互運用性の制限及びデフォルト設定が、需要者による他社サービスへの切替えを妨げ、マイクロソフトが競争事業者から受ける競争圧力を弱めていないかを検証する。調査対象には、AIサービスの競争事業者がマイクロソフトのビジネスソフトウェアとどのように統合し、需要者がそのニーズに最適な形で複数サプライヤーのAIソフトウェアを利用できるかについても含まれる。
5 今回のSMS調査では、マイクロソフトが定める生産性向上ソフトウェア、PC及びサーバー用オペレーティングシステム、データベース管理システム、セキュリティソフトウェアなどといった英国の組織が利用する多様なビジネスソフトウェア製品に関する条項を詳細に検証する。
6 仮にSMS指定がなされれば、CMAは、クラウド市場調査(注2)で明らかになった主要な懸念事項(特に、マイクロソフトによるソフトウェアライセンスに関する慣行がクラウドサービス市場の競争を減じているとみられること)についても踏み込むべきかを検討することが可能となる。
(注2)CMAは、2025年7月に公表した最終報告書で、英国内のクラウド市場の競争不全を指摘するとともに、マイクロソフト及びAmazon Web Services(以下「AWS」という。)を戦略的市場地位(SMS)に指定し、市場集中やライセンス慣行による競争阻害に対処すべきと提言した。https://assets.publishing.service.gov.uk/media/688b20e6ff8c05468cb7b120/summary_of_final_decision.pdf
7 CMAは、新興テクノロジー企業、ビジネスソフトウェアの需要者、競争事業者(セキュリティ分野の事業者を含む。)といった英国内外の組織に対し、それぞれの経験についての情報提供を求めている。
8 CMAのチーフエグゼクティブであるサラ・カーデルは、次のように述べた。
(1) ビジネスソフトウェアは、英国経済の機能を支える基盤であり、小規模事業者から主要な公共サービスや重要なインフラに至るまでにあらゆる分野で活用されている。英国では数十万の需要者がマイクロソフトのシステムに依存していることから、これらのサービスが良好な成果をもたらすことを確保することが極めて重要である。
(2) 我々の目的は、これらの市場がどのように発展しているか、マイクロソフトがその中でどのような立場にあるかを理解し、英国の組織が選択の自由、イノベーション、競争力のある価格の恩恵を十分に享受できるよう、必要に応じて具体的な措置を検討・実施することにある。
9 CMAはこの調査を比例的かつ透明性のある方法で実施し、9か月以内に完了させる予定である。今後は需要者、競争事業者、新興テクノロジー企業を含む幅広い関係者との連携を強化し、マイクロソフトから証拠を収集した上で、2027年2月13日までにSMS指定の可否について最終判断を下す方針である。また、判断に至る前に、一般向けの意見募集を実施する予定である。
10 SMS調査と並行して、CMAは2026年3月に、AWS及びマイクロソフトに対し、クラウド市場における需要者による選択を支援するために既に公表した措置について、両社が着実に実施するよう求めるとともに、必要な追加措置がないかを検討するため、広範な関係者との協議を開始したことを公表している。