2016年10月

米国

米国司法省,音楽著作権管理団体ASCAP及びBMIに出された同意判決について,審査を終え,今回は修正する必要なしとの判断を公表

2016年8月4日 米国司法省 公表
原文

【概要】

米国司法省は,本日,米国作曲家・作詞家・出版社協会(以下「ASCAP」という。)及び放送音楽社(以下「BMI」という。)を法的に拘束している反トラスト法に係る同意判決について提案されていた修正についての審査を終え,「どんな修正も正当化し得ない」と決定した旨を公表した。同省反トラスト局による審査は,ASCAP及びBMIが,それぞれの保有する作品のすべてについてラジオ,テレビ,バー,レストラン,ディジタル音楽サービスやその他の音楽使用者に対して,著作権侵害の危険なしに公衆に対して作品を流す権利を与える,“full-work”のライセンス提供を,同意判決は要求していることも確認した。

 同省反トラスト局は,2014年にASCAP及びBMIが,裁判所の命令である同意判決の修正提案に反トラスト局も加わるように要請したことを受けて,審査を開始した。反トラスト局は,審査期間中,数多くの機会に,数十人の業界関係者に会い,意見を聞き,また,2014年6月及び2015年9月に意見公募手続において,業界関係者及び一般の方からの意見を得た。反トラスト局は,今回の結論を出す前に,全ての関係者の意見を考慮した。

 ASCAP及びBMIは,何十万の作曲・作詞家,出版社が保有する作品の公衆での演奏権をライセンスする著作権管理団体である。1941年にASCAP及びBMIに対して,米国政府として民事訴訟を提起して以来,両団体は,同意判決に服してきた。同判決は,両団体が集中的に演奏権のライセンスを防止してきており,定期的に見直しされてきた。ASCAPに対するものは2001年に,BMIに対するものは1994年に見直されたのが最後である。

連邦取引委員会,米国最大のコンタクトレンズのオンライン販売業者が競合他社との間で検索連動型広告上の登録語句に係る反競争的な協定を締結していたとして,審判開始決定

2016年8月8日 連邦取引委員会 公表
原文

【概要】

 連邦取引委員会は,米国最大のコンタクトレンズのオンライン販売業者である1-800 Contactsが,競争関係にあるコンタクトレンズのオンライン販売業者との間で一連の反競争的な協定を策定・維持することで,オンライン検索連動型広告上の競争を抑制し,消費者にとって真実かつ誤解の無いオンライン広告が表示されるのを妨げ,結果としてより高い価格で消費者にコンタクトレンズを購入させていたとして,審判開始決定を行うこととした。

 審判開始決定書によれば,1-800 Contactsは,少なくとも14社の競争業者であるオンラインコンタクト小売業者との間で,グーグルやBingといった検索エンジンによる検索結果ページ上の広告の表示に係る競争を減殺するために,検索対象語句に関する取決めを行っていた。これらの取決めは,インターネット検索連動広告における価格競争を不当に制限し,顧客に対して真実で誤解無く広告することを制限することで,連邦法に違反する不公正な競争方法に該当する。1-800 Contactsは,パソコンを使って消費者が「1-800 Contacts」を含む検索語句を入力した際,1-800 Contactsの広告とその競争業者がともに画面に出てくるような場合に抗議していた。今回問題となった合意は,1-800 Contactsが,競争業者が1-800 Contactsの商標権を侵害していると訴えた訴訟や,訴訟に持ち込むとした脅しの結果として,締結されたものである。ほとんど全ての事件において,1-800 Contactsの競争業者は,上記のような問題となる検索用語を登録するのを取りやめる旨の反競争的な取決めに合意している。審判開始決定書によれば,商標権の正当な利益を守るためには広過ぎ,必ずしも必要の無いものであった。

 14社と結んでいた全ての取決めにおいて,1-800 Contactsと競争業者双方は,相互に他社の商標権登録された表現を検索用語として登録することを禁じていた。さらに1つの取決めを除く全ての取決めでは,他社が指定した表現,典型的には商標登録された表現や類似する表現を含む検索語句に対して,自社の広告が検索エンジンに表示されないようにネガティブ・キーワードを登録していた。これらのネガティブ・キーワードは,「1-800 Contacts」を含むいかなるフレーズの検索語句を入力した場合でも,1-800 Contactsの競争業者の広告を表示させないようにしていた。

 審判開始決定書によれば,相互の取決めによって,米国における検索連動型広告サービス及びコンタクトレンズの小売販売における競争を侵害していた。[1]関連するオンライン広告価格の競争を侵害し,歪曲し,[2]関連する,有用で真実で誤解の無い広告を減少させ,[3]コンタクトレンズのオンライン販売業者間の競争を制限し,[4]ある場合では結果として消費者により高い価格でコンタクトレンズを購入させることにより消費者に対して損害を与えていた。

 連邦取引委員会は,審判開始決定を行うことについて,3-0で議決した。審判は来年4月11日から開始される。

米国司法省,日立オートモーティブシステムズが自動車部品(ショックアブソーバ)の販売についてカルテルを行っていたことについて有罪答弁を行い,5548万ドルの罰金の支払いに合意したと公表(同社の自動車部品カルテルに係る有罪答弁合意は二度目)

2016年8月9日 米国司法省 公表
原文

【概要】

 米国司法省反トラスト局は,2016年8月9日,日立オートモーティブシステムズが,米国の顧客に販売される,自動車に搭載するショックアブソーバ(衝撃緩衝装置)について,市場分割,価格カルテル及び談合に関与していたことを認め,有罪答弁を行い,少なくとも5548万ドルの罰金を支払うことに合意した旨公表した。

 同日にオハイオ州南部地区連邦地方裁判所に提出された訴状によると,東京に本社を置く日立オートモーティブシステムズは,1990年代半ばから2011年夏までの間,カルテルの対象となった自動車メーカーに販売するショックアブソーバの供給の割当てに合意していた。また,日立オートモーティブシステムズとその共謀者は,価格を維持するため,自動車メーカーから要求された価格調整(値引き)について調整することに合意し,コードネームを利用したり,遠隔地で会合を開催したりして,自らの違反行為の秘匿を図っていた。

 2013年に,日立オートモーティブシステムズは,スタータ,オルタネータ及びその他の自動車電気部品の価格カルテルに関し,有罪答弁を行い,1億9500万ドルの罰金を支払った。その際,同社は,反トラスト局の調査に相当程度協力したことで,同局からの信頼を得ていた。しかし,その協力を行う過程で,同社は,ショックアブソーバについても価格カルテルを行っていたことを明らかにすることができなかった。その結果,反トラスト局は,同社の罰金について,罰金額ガイドラインの最低額からの大幅な増加を勧告するとともに,3年間の保護観察を裁判所に勧告することとなる。これらの勧告は,違反企業が司法取引の手続に入る際に,違法行為の全体像を明らかにすることを失敗した場合の反トラスト局の通常の対処方法に沿ったものである。

 日立オートモーティブシステムズは,反トラスト局の現在進行中の調査に協力することに合意した。当該司法取引は,裁判所の承認を条件としている。

米国司法省及び英国競争・市場庁は,オンライン販売業者がアマゾンでのポスターやフレームの販売で価格カルテルを行っていたとして,米国では1社が有罪答弁に合意,英国では制裁金を賦課

2016年8月11日 米国司法省 公表
原文
2016年8月12日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】

1.米国司法省
 米国司法省は,本日,オンライン小売業者が,ポスター販売で価格カルテルを行っていたことについて有罪答弁を行った旨公表した。
英国に本社を置くTrod社は,アマゾン・マーケットプレイスを通して行う特定のポスター販売について,遅くとも2013年9月から2014年1月まで,価格カルテルを行っていた旨有罪答弁を行った。同社は,昨年8月27日にサンフランシスコ,カリフォルニア北地区連邦裁判所大陪審で起訴されていた。
 起訴状によれば,Trod社は,アマゾン・マーケットプレイスを通してポスターを販売する際,その共謀者と調整して,同一商品に係る販売価格が同一となるように,特定の価格アルゴリズムを採用することについて,共謀者との間で合意していた。

2.英国競争・市場庁
 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,本日,ポスター及びフレームのオンライン小売業者が競争法に違反していたことについて正式に決定した旨公表した。
本公表は,本年7月21日の「Trod社がGB eye社との間で,ポスターやフレームのアマゾンUK上での価格について,相互に相手の価格を下回らない旨合意していた旨認めていた」との公表に続くものである。
 CMAは,Trod社に対し,163,371ポンドの制裁金を課し,他方,GB eye社については,リーニエンシー申請を認め,制裁金を免除した。
Trod社及びGB eye社は,スポーツ及びエンターテインメントの世界での有名人,ワン・ダイレクションやジャスティン・ビーバー等の画像を用いたライセンス商品や関連商品を販売していた。

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