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日本・英国包括的経済連携協定

日本・英国包括的経済連携協定

(正本とは形式面で異なります。)

第十一章 競争政策

第十一・一条 原則

両締約国は、両締約国間の貿易及び投資の関係における公正かつ自由な競争の重要性を認識する。両締約国は、反競争的行為が市場の適正な機能を(ゆが)め、並びに貿易及び投資の自由化による利益を損なう可能性を有することを認識する。

第十一・二条 反競争的行為

各締約国は、自国の法令に従い、この協定の目的を達成するため、反競争的行為に対して適当と認める措置をとる。

第十一・三条 法令上の枠組み

1 各締約国は、経済の全ての分野における全ての企業について適用する自国の競争法令であって、効果的な方法により次の反競争的行為に対処するものを維持する。

⒜ 英国については、

(i) 企業間の合意、企業の団体による決定及び協調的行為であって、競争を妨害し、制限し、又は(わい)曲する目的又は効果を有するもの

(ii) 一又は二以上の企業による支配的地位の濫用

(iii) 競争を実質的に減殺し得る企業間の合併

⒝ 日本国については、

(i)  私的独占

(ii) 不当な取引制限

(iii) 不公正な取引方法

(iv)  一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる企業結合

2 各締約国は、自国の競争法令を経済活動に従事する全ての私的又は公的な企業について適用する。各締約国は,自国の競争法令の適用除外について,当該適用除外が透明性のあるものであって、公共政策又は公共の利益に基づくものであることを条件として,これを定めることができる。

3 この章の規定の適用上、「経済活動」とは、市場における物品及びサービスの提供に関連する活動をいう。

第十一・四条 運用上の独立性

各締約国は、自国の競争法令の効果的な執行について責任及び権限を有する運用上独立した当局を維持する。

第十一・五条 無差別待遇

各締約国は、自国の競争法令を適用するに当たり、全ての企業について、国籍及び所有の形態のいかんを問わず、無差別の原則を尊重する。

第十一・六条 手続の公正な実施

各締約国は、自国の競争法令を適用するに当たり、全ての企業について、国籍及び所有の形態のいかんを問わず、手続の公正な実施の原則を尊重する。

第十一・七条 消費者の保護

1 各締約国は,効率的かつ競争的な市場を創設し,及び消費者の福祉を向上させる上での消費者の保護に関する政策及びその執行の重要性を認識する。

2 この条の規定の適用上,詐欺的又は欺まん的な商業活動とは,消費者に実害をもたらす詐欺的若しくは欺まん的な商業上の行為又は防止されない場合にはこのような実害をもたらす急迫したおそれがある詐欺的若しくは欺まん的な商業上の行為をいい,次の行為を含む。

⒜ 重要な事実に関して誤った表示(その暗示を含む。)を行う行為であって,誤認した消費者の経済的利益に重大な損失をもたらすもの

⒝ 消費者による代金の支払の後,当該消費者に商品を引き渡さず,又はサービスを提供しない行為

⒞ 消費者の金融口座,電話料金のための口座その他の口座に許可なく請求を行い,又はこれらの口座から許可なく引落としを行う行為

3 各締約国は,消費者の保護に関する法律その他詐欺的又は欺まん的な商業活動を禁止する法令を制定し,又は維持する。(注)

注 詐欺的又は欺まん的な商業活動を禁止するために締約国が制定し,又は維持する法令は,民事又は刑事のものとすることができる。

4 各締約国は,国境を超える詐欺的又は欺まん的な商業活動が増大していること及びこれらの活動に効果的に対処するために両締約国間の協力が望ましいことを認識する。

5 各締約国は,適当な場合には,詐欺的又は欺まん的な商業活動に関して相互に関心を有する事項について協力(消費者の保護に関する法律の執行における協力を含む。)を促進する。

6 各締約国は,自国が決定するところにより,かつ,自国の法令及び重要な利益と適合する場合には,自国の合理的に利用可能な資源の範囲内で,消費者の保護に関する政策,法律又はこれらの執行について責任を有する関連する国の公的機関又はその職員を通じ,この条に規定する事項について協力するよう努める。

第十一・八条 透明性

各締約国は、透明性がある方法で自国の競争法令を適用する。各締約国は、自国の競争政策の透明性を促進する。

第十一・九条 執行に関する協力

1 両締約国は、この協定の目的を達成し、及び各締約国の競争法令の効果的な執行に寄与するため、競争政策及び執行活動における進展に関し競争当局間の協力及び調整を促進することが共通の利益であることを認識する。

2 両締約国の競争当局は、1に規定する協力及び調整を円滑にするため、それぞれの締約国の法令に従い,情報を交換し、又は提供することができる。

3 この条の規定を実施するための協力に関する詳細な取決めについては,両締約国の競争当局間で行うことができる。

第十一・十条 紛争解決

この章の規定は、第二十二章の規定による紛争解決の対象とならない。
 

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