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カナダ競争局との執行活動の情報伝達に関する協力取決め

カナダ競争局との執行活動の情報伝達に関する協力取決め

日本国公正取引委員会とカナダ政府競争局競争長官との間の執行活動の情報伝達に関する協力取決め

 日本国公正取引委員会及びカナダ政府競争局競争長官(以下「競争局長官」という。)(以下、両者を合わせて「両競争当局」という。)は、
 両競争当局間の協力の枠組みを定める2005年9月6日にオタワで署名された反競争的行為に係る協力に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定(以下「協定」という。)を考慮し、
 競争法執行における協力に関連する二国間取決めを作成する際に、2014年9月16日に採択された競争に関する審査及び手続についての国際協力に関する経済協力開発機構理事会の勧告を考慮することを意図し、
 協定第10条2が、協定の実施又は運用に関する詳細な取決めを両競争当局で行うことを認めていることに留意し、
 協定第3条2(b)及び第3条2(c)が、一方の競争当局が、他方の競争当局に対し、受領する当該競争当局の執行活動に関連する情報を提供することを認めていることに留意し、
 2005年9月6日にオタワで署名された協定に付随する拘束力を有しない合意された議事録の廃棄を認め、
 2009年における日本国における私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(以下「独占禁止法」という。)の改正により、日本国公正取引委員会は、外国競争当局に対して、独占禁止法第43条の2で定められた要件に従い、情報源の事前の同意を得る必要なく、当該外国競争当局の職務の遂行に有益かつ必要と考えられる情報を提供することが可能となったことに留意し、
 競争当局の執行活動に関連する情報の伝達に係る原則をより詳細に定めることは、協定の有効性を向上させ、個別の審査の効率性を高めるとともに、効果的な成果を出すことを促進すると信じて、
 次のように認識する。

パラグラフ1 目的

この協力取決め(以下「取決め」という。)は、競争当局の執行活動に関連する両競争
当局間の協力、調整及び情報伝達を促進することを目的とする。

パラグラフ2 定義

この取決めの適用上、
(a) 次の用語を含め、協定において使用されており、この取決めで使用されている用語
は、協定における意味と同じ意味を有する。
(i) 「競争当局」
(ii) 「競争法」
(iii) 「執行活動」
(b) 「情報」とは、競争当局が保持又は管理するあらゆる情報をいう。

パラグラフ3 この取決めに基づく情報連絡

(a) 両競争当局は、この取決めに基づく連絡を円滑にするために、それぞれの指定され
た連絡先を相互に通知する。
(b) 両競争当局は、利用可能なあらゆる技術的手段を用いて連絡することができる。

パラグラフ4 執行活動における情報伝達

(a) 両競争当局は、自国の利益並びに両国の法令及び規則に適合する限りにおいて、協
定に規定される協力及び調整を行う必要に応じ、情報源の同意を得ることなく、見解
を共有し、又は情報(執行活動を通じて得た情報を含む。)を相互に伝達することが
できる。
(b) 両競争当局は、免責又は減責申請者が明示的に同意した場合を除き、免責又は減責
申請に基づいて得た情報に関する見解を共有し、又はその情報を伝達しない。
(c) 両競争当局は、この協定が、情報(任意に提供された情報を含む。)の伝達に関し
て、各競争当局が採用又は維持するいかなる規則、政策又は慣行にも影響を与えるこ
とを意図しないことを認識する。

パラグラフ5 情報の要請

競争当局は、書面による情報の要請であって、次の事項を含むものを行うことができる。
(i) 審査又は手続の対象
(ii) 当該要請が関連する審査又は手続の内容及び性質並びに関連する法規定
(iii) 要請する情報

パラグラフ6 情報伝達

(a) 一方の競争当局は、他方の競争当局に対して情報を伝達するか否かを決定するに際
し、その利益及び自国の法令及び規則を考慮し、完全な裁量を保持する。
(b) 日本国公正取引委員会は、独占禁止法第43条の2に従い、かつ、情報伝達に関連する
日本国公正取引委員会のあらゆる政策、指針又は慣行に従い、情報の伝達を行う。
(c) 競争局長官は、競争法第29条又はカナダ競争法(1985年カナダ制定法第C34章)(そ
の改正を含む。)の運用若しくは執行に関連する情報共有における関連するあらゆる
権限に従い、かつ、情報伝達に関係する競争局長官のあらゆる政策、指針又は慣行に
従い、情報の伝達を行う。
(d) 情報の伝達を行う競争当局は、情報伝達に際し、条件(個人情報保護及び次の事項
に関するものを含む。)を付すことができる。
(i) 情報の秘密性(電子的保護又はパスワードによる保護を含む。)
(ii) 伝達された情報の保管、使用又は利用
(iii) 伝達されその目的を果たしたあらゆる情報の複製、返却又は複製の処分
(iv) 情報を伝達する競争当局に合理的に生じた費用の支払い
(e) 一方の競争当局がこの取決めによって提供された情報に誤りがあることを了知した
場合には、当該一方の競争当局は、可能な限り迅速に他方の競争当局に対して通知す
る。

パラグラフ7 情報の保護及び使用

情報を受領した競争当局は、
(i) 協定第9 条及びこの取決めパラグラフ6(d)に基づき付され、又は法令によって要請
若しくは許可されたあらゆる条件に従って情報を使用する。
(ii) 情報を伝達する競争当局が別段の同意を与える場合を除くほか、協定第9 条に基づ
き、自国の法令に従い、可能な限り情報の秘密性を保持する。
(iii) その標準的な証拠取扱い手続に従い、及びパラグラフ6(d)に基づくあらゆる条件に
従い、情報を安全に保持する。

パラグラフ8 解釈及び適用

両競争当局は、この取決めにより生じた、解釈及び適用に関する問題を含むあらゆる問
題を協議するとともに、状況が許す限り適時にかつ実効的な方法によって、それらに対処
する。

パラグラフ9 法的効力

(a) この取決めは、法的拘束力を有しない。
(b) この取決めは、協定の条件に服する。
(c) この取決めは、協定並びに既存の条約、協定及び取決め(他の外国規制当局との間
のものを含む。)に含まれる両競争当局の理解に影響を及ぼすものではない。

パラグラフ10 最終事項

(a) この取決めは、最終署名日に開始する。
(b) 競争当局は、他方の競争当局に対して書面により30 日前の通告を与えることにより、
この取決めを終了させることができる。
(c) 両競争当局は、相互に書面で同意することによりこの取決めを修正することができ
る。
(d) この取決めは、終了しない限り、各競争当局の後継機関に対して適用される。
2017 年5 月11 日にポルトガル共和国ポルトにおいて、それぞれ同等の価値を有する日本語、英語及びフランス語の2通ずつに署名された。
日本国公正取引委員会のために カナダ政府競争局競争長官のため

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