モロッコ(Morocco)

最新の情報については,当局ウェブサイトを御確認ください。
※ 以下の概要については,作成時期が古く,その後更新は行っておりませんので,その旨御留意ください。

1 根拠法

 モロッコの競争法は,価格及び競争の自由に関する法律第6/99号である。この法律は,9章103条から成る。

2 執行機関

 モロッコの競争当局は,競争評議会である。
 競争評議会は,議長,副議長及び12名の委員から構成される(第18条)。
 また,議長,副議長及び委員は,任期5年として,行政機関及び関係機関の提案に基づきデクレによって任命される(第19条)。

3 規制の概要

(1) 反競争的行為

ア 共同行為等

 共同行為,慣習,協定又は明示若しくは黙示の団結であって,以下の行為を目的とするものは,その形態,原因を問わず,それが市場における競争の作用を妨げ,制限し,若しくは歪めることを目的とし,又はかかる効果を持ち得るときは,これを禁止する(第6条)。
(i) 他の企業の市場への参入又は自由な競争活動を制限すること。
(ii) 価格を人為的に引き上げ又は自由な競争活動を制限すること。
(iii) 生産,販路,投資又は技術の向上を制限又は統制すること。
(iv) 市場又は供給源を分割すること。

イ 支配的地位の濫用

 事業者又は事業者の団体が行う,国内市場又はその実質的部分における市場支配的地位の濫用的活用は,競争の作用を妨げ,制限し,若しくは歪めることを目的とし,又はかかる効果を持ち得るときは,これを禁止する(第7条)。

ウ 適用除外

 以下に掲げる行為については,第6条及び第7条の適用を除外する(第8条)。
(i) 法律又は政令の適用に基づく行為。
(ii) 経済成長に貢献する効果を有しており,その貢献が競争の制限を埋め合わせるのに十分であり,当該行為から生じる利益の一部が公平に利用者に留保され,かつ関係事業者が当該製品の重要な部分について競争を排除し得ることとなるものでないことを行為者が証明し得る行為。(但し,当該行為は,経済成長の目的を達成するために不可欠な範囲内で可能な限り非競争制限的なものでなければならない。)

(2) 集中規制

ア 市場支配的地位の創設又は強化により競争を阻害するおそれのある集中の計画又は集中については,首相は,競争評議会の意見に服せしめることができる(第10条)。
イ これは,行為の当事者たる事業者若しくは行為の対象たる事業者又はこれらの事業者と経済的に関係を有する事業者が,前年の間,相互に代替性のある財,製品若しくは役務について,全国市場若しくはその実質的部分において,全体で40%を超える売買その他の取引を実現する場合に限り適用される。
ウ 首相は,集中計画又は集中取引を競争評議会に付託するとき,そのことを当該行為に関係する事業者に通知する(第42条)。
エ 競争評議会は,当該集中計画又は集中が競争に対する侵害を十分補う程度に経済成長を進展させるものであるかどうかについて判断する。

4 法執行手続

(1) 反競争的行為に関する手続

ア 首相又は第15条第2項に定める機関は,その利益に関するすべての事項のため,第6条及び第7条の規定に反するおそれのあると思われる事実について,競争評議会に付託することができる(第24条)。
 第15条第2項に定める機関とは,競争に関するすべての原則的問題について,任務を負っている利害の限度内で,地方議会,都市共同体,商工会議所,農業会議所,手工業会議所,漁業会議所,事業者及び労働組合の団体又は公認を受けた消費者の団体をいう。
イ 競争評議会は,付託に係る行為が第6条及び第7条の規定に違反するか否か,又はこの行為が第8条の適用により正当化できるか否かを調査する。競争評議会は,意見請求を発した首相又は機関にその意見を伝達し,必要なときは,この法律に定める措置,条件又は命令を勧告する(第25条)。
ウ 競争評議会は,摘示された事実がその権限を越えており,又は十分な証拠に基づくものではないと判断するときは,理由を付した決定をもって付託を受理しない旨を決定することができる。
エ 競争評議会は,付託を行った者に対し一件書類を閲覧し,意見を述べる機会を与えた後,手続を続行する必要が無い旨を決定することもできる(第27条)。

(2) 罰則

ア 第6条及び第7条に定める行為の構想,組織,実行又は統制において,不正に又はよく事情を心得て,個人的かつ決定的な役割を果たしたすべての自然人は,2月から2年の禁錮及び1万ディルハムから50万ディルハムの罰金又はそのいずれか一方の刑に処する(第67条)。
イ 第70条は,第6条及び第7条の規定に違反する場合等に,法人は,事件の状況が有罪を正当化するとき,特に事件当事者の不誠実又はその違反の重大性から,及び管轄裁判所により適用し得る民事手続上の制裁を損なわない限り,刑事上有罪であると認められることがある,と規定する。その際科せられる刑罰は,罰金であり,その金額は,企業については,終了した最後の営業年度中にモロッコで課せられた税金を除き,総売上高の2%から5%とする。違反者が企業でないときは,罰金は20万ディルハムから200万ディルハムとする。
 

「アルファベット目次」に戻る

ページトップへ