ノルウェー(Norway)

最新の情報については,当局ウェブサイトを御確認ください。
※ 以下の概要については,作成時期が古く,その後更新は行っておりませんので,その旨御留意ください。

1 根拠法

 ノールウェーの競争法は,1999年6月11日第65号,商行為における競争に関する法律(Act No.65 of 11 June 1993, relating to competition in commercial activity)である。この法律は,効果的な競争のために必要な状況を確保することにより,社会資源(society's resources)の効率的な利用を実現することを目的としている(第1-1条)。

2 執行機関

(1) ノールウェー競争局(Konkurransetilsynet, 又はNorwegian Competition Authority)

 競争局は,競争法の執行を行う機関である。Oslo所在。その他Hamar, Kristiansand, Stvanger, Bergen, Trondheim, Bodo及びTromsoの7個所に事務所が所在する。職員数は約150名。
 競争局は2つの部署(審査部(Competition Department)及び管理部(Control Department))及び4人のスタッフ(法務員(Legal staff),行政員(Administrative staff),調査員(Research staff)及び情報員(Information staff))から構成される。

(2) 労働・政府管理省(Ministry of Labour and Government Administration)

 競争局が行った決定に対する不服申立ては,労働・政府管理省に対して行われる。

3 規制の概要

(1) 協調的な価格の引上げ又は引下げ等(第3-1条,3-2条)

ア 商品又はサービスを販売するに当たっての共謀した価格の固定,値上げ又は値下げは禁止される。
イ ただし,現金払い又は30日以内での支払に伴う値下げの場合に関しては,値下げ幅が3%以内であれば共同して取り決めることは許される。
ウ 入札に関して落札者を決定し,又は特定の事業者が入札しないようにさせることは禁止される。

(2) 再販売価格維持(第3-1条)

 商品の供給者が,小売価格を定めることは禁止される。ただし,拘束力を有しない希望小売価格を提示すること自体は違法ではない。

(3) 市場の分割(第3-3条)

 地域分割,顧客の割当て又は生産量の制限等の形態をとった市場の分割は禁止される。ただし,単独の事業者が取引先との合意の形で行う場合及び取引先のために行う場合は禁止されない。

(4) 価格表示(第4章)

 商品又はサービスを販売する者は,顧客が容易に分かるような手段で価格を表示しなければならない。

(5) 適用除外

ア 一般的な適用除外

(i) 労働条件又は賃金に関する事項(第1-3条)
(ii) 当該プロジェクトの内容及びプロジェクトへの参加者が明確な場合には共同プロジェクトとして行われる行為(第3-5条)
(iii) 同一のオーナーが株式や経営権の50%以上を所有している企業及び同一グループ内の企業が共同で行う行為(第3-6条)
(iv) ライセンサーとライセンシーの間で行われる特許に関する合意(第3-7条)
(v) ノールウェー国内で生産された農林水産物に関する協調行為(第3-8条)

イ 個別の決定及び規制に対する適用除外(第3-9条)

 競争局は,(i)関連市場における競争を促進し,(ii)当該決定等によってもたらされる効率化が,競争制限効果を上回ると期待され,(iii)競争制限効果が小さく,更に(iv)当該決定等を行うことについて特別の理由がある場合については,形式上,競争法に違反する行為でも適用除外とすることができる。
 競争当局による適用除外の決定は,適用除外を認めるための条件又は当該適用除外の必要性がなくなった場合には,取り消され得る。

(6) 企業結合(3-11条)

 企業結合とは,合併,株式の取得又は所有及び企業の恒久的な取得を指す。
 競争を制限することになる企業結合は,競争法により禁止される。

(7) その他

 必要がある場合には,価格政策法(the Price Policy Act)により,政府は最低価格,最高価格,マージンの額などを決定することができる。競争局は,一般利益に反するような価格で販売されている製品があるかどうかを監視する役割を負う。

4 法執行手続

(1) 審査手続

ア 文書,情報の提出(第6-1条)

 競争局は,競争法違反があると思料したときには,関係する者に対し,文書や情報等の提出を求め,またコンピュータを検査することができる。

イ 立入検査(第6-2条)

 競争法違反があると思料する合理的な理由がある場合は,競争局は,証拠収集のために不動産及び動産を検査することができる。また,審査のために必要な証拠を没収することができる。必要な場合には,立入検査の際に警察に協力を求めることができる。

(2) 違反行為に対する措置

 競争局は,反競争的行為が行われている場合は,違反事業者に対し,作為又は不作為命令,価格規制などを行うことができる。

(3) 企業結合に対する手続

ア 競争局は,競争法上問題となり得る企業結合が行われてから6か月以内(特段の事情がある場合は1年以内)に,当該企業結合を認めるか否かを判断しなければならない。また,届出があった場合は,3か月以内に当該企業結合を認めるか否かを通知しなければならない。
イ 競争局は,競争を制限する企業結合に関しては,作為若しくは不作為命令又は条件付きの承認を与えることができる。その他に以下のことが可能である(第3-11条)。
(i) 当該企業結合を禁止し,又は禁止に実効性を持たせるため必要な措置を採る
(ii) 株式の処分
(iii) その他競争を制限する企業結合を防ぐために必要な手段

(4) 価格表示に対する手続

 競争局は,価格表示義務が実施されるように必要な命令を出し,また適用除外を認めることができる。

(5) 他の省庁等との関係

 競争局は,他の省庁等の行為に注意を払い,必要があれば,新規参入と競争を促進させるために必要な提言を行う。

(6) 制裁

ア 競争法に記載の禁止規定及び競争法に基づいてなされた決定に従わなかった者は,罰金又は6年以内の禁錮刑が課される(第6-6条)。
イ 遅延利息金(Period Penalty Payment,第6-4条)
 競争局は,競争局が行った決定に従わない者に対しては,状況が改善されるまでの間遅延利息金の支払義務を課すことができる。ただし,対象者が,当該決定に対し不服を申し立てている場合は遅延利息金の支払義務が課されることはない。
ウ 利得の没収(Relinquishment of gain,第6-5条)
 競争法に違反する行為を実施すること又は競争法に基づく決定に従うことによって利得を得た者は,その利益のすべて又は一部を没収され得る。利得を得た事業社が,企業グループの一員である場合は,グループの親会社が二次的な支払義務を負う。
 

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