ホーム >地方事務所 >中部事務所 >

~下請法道場:初級編解説~

~下請法道場:初級編解説~

   オットリー    
おつかれさまじゃったな。何問正解できたかの?
   どっきん    
ボクと一緒に解説を見てみよう!
   オットリー    
【解説No.1】《適用範囲》
 次の取引のうち,下請法の適用があるものはどれ?

①A社(資本金2億円)は,自社が製造販売する繊維製品の製造をB社(資本金1000万円)に委託した。

②C社(資本金2億円)は,自社が製造販売する精密機械に使用する部品(特別な加工を行わない規格品)をD社(資本金1000万円)から購入した。

③E社(資本金3000万円)は,自社のホームページの作成を全てF社(資本金500万円)に外注している。

④G社(資本金1億円)は,自社が製造販売する製品の運送をH社(資本金1000万円)に委託した。    
   どっきん    
① ○
 他の事業者に物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託することは「製造委託」に当たります。「製造委託」では,委託元の資本金が3億円を超えている場合,委託先の資本金が3億円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。また,委託元の資本金が1000万円を超えている場合,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。

② ×
 単に規格品・標準品を購入する取引は,物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託したものではないことから,下請法の適用対象となりません。

③ ×
 自社で使用する情報成果物の作成を業として行っている事業者が,他の事業者にその作成を委託する場合には「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。しかし,E社は,自社でホームページの作成を行っていないため(自社で使用する情報成果物の作成を業として行っていないため),「情報成果物作成委託」には該当せず,下請法の適用対象とはなりません。

④ ×
 役務の提供を業として行っている事業者が,その全部又は一部を他の事業者に委託することは「役務提供委託」に当たります。しかし,設問のように委託元が自ら利用する役務は,「役務提供委託」には該当せず,下請法の適用対象とはなりません。    
   オットリー    
【解説No.2】《義務》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題とならない行為はどれ?

①下請事業者とは取引を長期間継続しており,互いに発注内容を理解していることから発注は電話のみで行っている。

②下請事業者が実際に作業を行ってみないと下請代金の額が確定しないことから,発注書に算定方法(1時間当たりの作業単価)を記載して発注した。また,下請事業者の作業時間が確定した後に下請代金の額を通知した。

③当社は,下請取引に関する書類を社内規定に従って1年間保存している。    
   どっきん    
① ×
 親事業者が,発注に際して必要記載事項を記載した書面を直ちに交付しないことは,「書面の交付義務」(下請法第3条第1項)の規定に違反します。親事業者が下請事業者と取引を長期間継続しており,互いに発注内容を理解している場合であっても,発注の都度,必要記載事項を記載した発注書面を交付しなければなりません。

② ○
 発注書面の必要記載事項である下請代金の額について,やむを得ない事情があって具体的な金額を記載できない場合には,下請代金の具体的な金額を定めることとなる算定方法(時間当たりの単価のように自動的に具体的な金額が確定することが必要)を記載することも認められます。また,下請代金の具体的な金額を確定した後には,下請事業者に速やかに下請代金の額を通知する必要があります。

③ ×
 親事業者は,下請取引の内容等について記載した書類を作成し,2年間保存する義務があります(下請法第5条)。    
   オットリー    
【解説No.3】《適用範囲》
 次の取引のうち,下請法の適用が「ない」ものはどれ?

①自動車ディーラーであるA社(資本金5000万円)は,顧客から請け負った自動車の修理をB社(資本金300万円)に委託している。

②C社(資本金4億円)は,自社の会社案内パンフレットの作成について,そのデザインの作成を全てD社(資本金2000万円)に外注している。

③E社(資本金6000万円)は,顧客から請け負ったビルメンテナンス業務をF社(資本金3000万円)に委託した。

④G社(資本金4億円)は,荷主から請け負った運送をH社(資本金6000万円)に委託した。    
   どっきん    
① ×
 物品の修理を業として請け負っている事業者がその物品の修理を他の事業者に委託することは,「修理委託」として下請法の適用対象となります。「修理委託」では,委託元の資本金が3億円を超えている場合,委託先の資本金が3億円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。また,委託元の資本金が1000万円を超えている場合,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。

② ○
 自社で使用する物品(無償で取引先等に配布する会社案内パンフレット等)のデザインの作成を業として行っている事業者が,他の事業者にその作成を委託する場合には「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。しかし,C社は,会社案内パンフレットのデザインの作成を自社で行っていないため,「情報成果物作成委託」には該当せず,下請法の適用対象とはなりません。

③ ×
 役務の提供を業として行っている事業者が,その全部又は一部を他の事業者に委託することは「役務提供委託」に当たります。ビルメンテナンス業務の「役務提供委託」では,委託元の資本金が5000万円を超えている場合,委託先の資本金が5000万円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。また,委託元の資本金が1000万円を超えている場合,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。

④ ×
 「役務提供委託」のうち,運送・倉庫保管等については,委託元の資本金が3億円を超えている場合,委託先の資本金が3億円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。また,委託元の資本金が1000万円を超えている場合,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。    
   オットリー    
【解説No.4】《適用範囲》
 次の取引のうち,下請法の適用が「ない」ものはどれ?

①A社(資本金1200万円)は,自社が製造販売する精密機器に使用する特殊な部品の製造をB社(資本金1000万円)に委託した。

②C社(資本金2億円)は,他社から請け負った建設工事のうち,一部の建設工事をD社(資本金1000万円)に委託した。

③E社(資本金3000万円)は,他社から請け負ったパンフレットのデザインを個人事業者Fに委託した。    
   どっきん    
① ×
 物品の販売を業としている事業者が,他の事業者に物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託することは「製造委託」に当たります。「製造委託」では,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が1000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

② ○
 建設業を営む者が業として請け負う建設工事の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせる場合は,下請法の適用対象となりません。

③ ×
 情報成果物(プログラム,設計図等)の作成を業として請け負っている事業者が,他の事業者にその作成を委託する場合には「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。プログラムの作成委託以外の「情報成果物作成委託」では,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が1000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。    
   オットリー    
【解説No.5】《義務》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題となる行為はどれ?

①下請代金の支払方法及び支払期日については,基本契約書において取り決めているので,発注書面には支払方法及び支払期日に関して何ら記載していない。

②下請事業者に承諾を得た上で,発注書面の交付に代えて,自社が指定したウェブのホームページから発注書面をダウンロードしてもらっている。

③下請取引に関する書類については,2年間保存しているが,一部の下請事業者との下請取引に関する書類については,倉庫業者に保管を委託している。    
   どっきん    
① ○
 発注書面に記載する必要記載事項のうち,支払方法等のように個々の発注により内容が変わることがない事項については,契約書や覚書など,発注書面とは別の書面により通知することが認められています。ただし,この場合,発注書面に「支払方法等については現行の○○による」などの記載を行う必要がありますので,設問の場合は,「支払方法等については現行の基本契約書記載のとおり」などの記載をする必要があります。

② ×
 下請事業者の承諾を得れば,発注書面の交付に代えてウェブのホームページを閲覧させる方法は認められます。ただし,この場合,ホームページにダウンロード機能を持たせるなどして下請事業者がファイルに記録できるようにしておく必要があります。

③ ×
 親事業者は,下請取引の内容等について記載した書類を作成し,2年間保存する義務があります(下請法第5条)。なお,これらの書類は,倉庫業者に保管を委託したり,保存場所や保存するファイル等を1つにまとめておかなくても,下請法第5条の規定に違反するものではありません。    
   オットリー    
【解説No.6】《禁止事項》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題とならない行為はどれ?

①自社内での事務処理が遅れたため,下請事業者から承諾を得た上で,下請事業者との間で定めた支払期日を過ぎた後に下請代金を支払った。

②下請代金を銀行振込の方法で支払っているところ,下請事業者と口頭で合意した上で振込手数料を下請事業者の負担とした。

③下請事業者に製造委託した製品について,受領時に受入検査はしていなかったが,受領した3か月後に下請事業者の責任による瑕疵が見つかったため,返品した。

④下請事業者にPB(プライベートブランド)商品の製造を委託し,また,PB商品の製造に必要な原材料を有償で支給しているところ,PB商品の下請代金の支払時に,このPB商品の原材料の代金を控除した。    
   どっきん    
① ×
 親事業者は,下請事業者との合意の有無に関係なく,物品等を受領後60 日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払う必要があります。設問のように,自社の事務処理遅れを理由に,定めた支払期日までに下請代金を支払わないことは,下請事業者から承諾を得ていても「下請代金の支払遅延の禁止」(下請法第4条第1項第2号)の規定に違反します。

② ×
 下請法では,下請代金を下請事業者の銀行口座に振り込む際の振込手数料について,発注前に,当該手数料は下請事業者が負担する旨を「書面」で合意している場合には,親事業者が負担した実費の範囲内で当該手数料の負担を下請事業者に求めることは,「下請代金の減額の禁止」(下請法第4条第1項第3号)の規定に違反しません。

③ ×
 下請法では,不良品など,下請事業者の責任による瑕疵を理由とした,受領後から6か月以内の返品であったとしても,受入検査を行っていない場合の返品は,「返品の禁止」(下請法第4条第1項第4号)の規定に違反します。

④ ○
 親事業者が,下請事業者の給付に必要な原材料等を有償で支給している場合に,下請事業者に責任がないのに,この原材料等を用いる給付に対する下請代金の支払期日より早い時期に,当該原材料等の対価を下請事業者に支払わせたり,下請代金の額から控除することにより,下請事業者の利益を不当に害することは,「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」(下請法第4条第2項第1号)の規定に違反します。設問のように,有償で支給した原材料の代金と,これを用いて製造した製品の下請代金を「見合い相殺」することは問題ありません。    
   オットリー    
【解説No.7】《義務》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題とならない行為はどれ?

①発注時に,発注書面の交付に代えて,下請事業者から注文請書を提出させた。

②電話で発注した数日後に,発注書面を交付した。

③当社は,下請代金の支払に当たり,毎月末日納品締切・翌月20日支払(現金振込)の支払制度を採っているが,受入検査(最長5日間)に合格した日を納品日(受領日)としている。    
   どっきん    
① ×
 親事業者は発注後,直ちに必要記載事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければなりませんので,下請事業者に注文請書を提出させただけでは,書面を交付したとは言えず,「書面の交付義務」(下請法第3条第1項)の規定に違反します。

② ×
 親事業者は下請事業者に対して発注をした場合は,「直ちに」必要記載事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければなりませんので,発注日から数日経過してから発注書面を交付することは「直ちに」交付したことにならず,「書面の交付義務」(下請法第3条第1項)の規定に違反します。

③ ○
 親事業者は,物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,役務が提供された日)から起算して60日以内のできる限り短い期間内で,下請代金の支払期日を定める義務があります(下請法第2条の2)。設問では,検査合格日を基準とした支払制度としていますが,検査期間も考慮して,物品等を受領した日から起算して60日以内の期間内で,下請代金の支払期日を定めていますので,問題ありません。
   
   オットリー    
【解説No.8】《禁止事項》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題とならない行為はどれ?

①下請代金の支払制度を毎月末日納品締切,翌月末日支払(現金振込)としているところ,下請代金の支払日が金融機関の休業日となる5連休の初日に当たるが,支払日が金融機関の休業日に当たる場合は翌営日に支払うことについて,あらかじめ下請事業者と書面で合意していたので,5連休明けに順延して支払った。

②100個の発注に対して,下請事業者の判断で120個生産して,120個納品してきたため,20個については受領を拒否した。

③当社が所有する金型を下請事業者に預けて,部品の製造を委託していたところ,部品の製造委託を終えた後も,金型を無償で保管させている。

④繊維製品の製造を委託している下請事業者に対して,下請代金を回し手形(手形交付日から満期日までの期間110日)で支払った。    
   どっきん    
① ×
 下請代金の支払期日が金融機関の休業日に当たる場合,①順延する期間が2日以内であり,かつ,②親事業者と下請事業者との間で支払日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ合意・書面化されているときには,結果として受領から60日(2か月)を超えて下請代金が支払われても,「下請代金の支払遅延の禁止」(下請法第4条第1項第2号)の規定に違反しませんが,設問のように,2日を超えて順延したことにより,順延後の支払期日が受領から60日を超えて下請代金が支払われた場合には,違反となります。

② ○
 下請事業者の責任により,注文と異なるもの(注文より多い数量)が納品されてきた場合に,その受領を拒否することは,「受領拒否の禁止」(下請法第4条第1項第1号)の規定に違反しません。なお,発注後に,親事業者の都合で発注量を減らして,減らした分を受領しないことは,当該規定に違反します。

③ ×
 親事業者が下請事業者に対して,自己のために金銭等の経済上の利益を提供させることにより,下請事業者の利益を不当に害することは,「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」(下請法第4条第2項第3号)の規定に違反します。親事業者が,製造の委託が終了した部品の金型を,下請事業者に無償で保管させ続けることは,下請事業者の利益を不当に害しているため,当該規定に違反します。

④ ×
 下請代金の支払を手形で行う場合,繊維製品については手形期間90日,繊維製品以外については手形期間120日を超える手形を交付することは,「割引困難な手形の交付の禁止」(下請法第4条第2項第2号)の規定に違反するおそれがあります。設問においては,製造を委託しているものが繊維製品であるため,手形期間110日の回し手形を交付することは,当該規定に違反するおそれがあります。    
   オットリー    
【解説No.9】《適用範囲》
 次の取引のうち,下請法の適用が「ない」ものはどれ?

①百貨店であるA社(資本金3億円)は,自社のプライベートブランド商品の製造をB社(資本金1000万円)に委託した。

②アニメーション制作業者であるC社(資本金1500万円)は,製作委員会から制作を請け負ったアニメーションの原画の作成をアニメーターである個人事業者Dに委託した。

③建設業者であるE社(資本金6000万円)は,施主から請け負った建設工事の設計図面の作成をF社(資本金1000万円)に委託した。

④旅客自動車運送業者であるG社(資本金6000万円)は,自社所有の車輌のメンテナンスをH社(資本金2000万円)に委託した。    
   どっきん    
① ×
 物品の販売を業としている事業者が,他の事業者に物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託することは「製造委託」に当たります。「製造委託」では,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が1000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

② ×
 情報成果物(プログラム,設計図等)の作成を業として請け負っている事業者が,他の事業者にその作成を委託する場合には「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。プログラムの作成委託以外の「情報成果物作成委託」では,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が1000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

③ ×
 建設工事は,建設業法で下請法と類似の規定が置かれているため,下請法の適用対象となりませんが,施主から請け負った建設工事の設計図面の作成を委託することは「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。プログラムの作成委託以外の「情報成果物作成委託」では,委託先の資本金が5000万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が5000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

④ ○
 役務の提供を業として行っている事業者が,その全部又は一部を他の事業者に委託することは「役務提供委託」に当たります。しかし,設問のように,自社所有の車輌のメンテナンスなどの委託元が自ら利用する役務は,「役務提供委託」には該当せず,下請法の適用対象とはなりません。    
   オットリー    
【解説No.10】《義務・禁止事項》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題とならない行為はどれ?

①革小物の修理を下請事業者に委託しているところ,受入検査は,最長で納品日から3日以内に行っていることから,発注書面には,検査完了期日について「納品後3日以内」と記載した。

②プログラムの作成を下請事業者に委託しており,毎月末日納品締切,翌月末日支払の支払制度としているころ,下請事業者から請求書の提出が遅れたため,下請事業者の合意を得た上で,納品日の翌々月10 日に下請代金を支払った。

③ビル等の清掃を委託している下請事業者に対して,発注担当者を通じて,下請事業者が必要としていない自社が販売する食料品の購入を要請した。

④下請事業者に製造を委託している金属部品について,量産が終了し,補給品として僅かに発注するだけで発注数量が大幅に減少していたが,単価を見直すことなく,量産時の大量発注を前提とした単価で下請代金の額を定めていた。    
   どっきん    
① ○
 親事業者は,発注書面に,発注内容,下請代金の額,検査完了期日,支払期日等の必要記載事項を全て記載する必要があります。そのうち,検査完了期日については,検査を行う場合に必ず記載する必要があるものですが,検査完了の年月日を記載する代わりに,「納品後○日」,「納品後○日以内」と記載することも認められています。

② ×
 下請事業者からの請求のあるなしにかかわらず,納品を受けた日から60日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払う必要があります。設問のように,下請事業者からの請求書の提出が遅れた場合であっても,あらかじめ定めた支払期日までに下請代金を支払わないことは,合意の有無にかかわらず「下請代金の支払遅延の禁止」(下請法第4条第1項第2号)の規定に違反します。

③ ×
 正当な理由がないのに,親事業者が指定した「物」又は「役務」を下請事業者に対して,強制して購入・利用させると,「購入・利用強制の禁止」(下請法第4条第1項第6号)の規定に違反します。設問のように,発注担当者等の下請取引に影響を及ぼすこととなる者が,下請事業者に自己の指定する物の購入・役務の利用を要請する行為は,当該規定に違反するおそれがあります。

④ ×
 発注に際して下請代金の額を決定する際に,発注した内容と同種又は類似の内容に対し通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めると「買いたたきの禁止」(下請法第4条第1項第5号)の規定に違反します。設問のように,量産終了後,量産時の大量発注を前提とした単価を見直すことなく,一方的に量産時の単価で下請代金の額を定めることは,当該規定に違反するおそれがあります。    
   オットリー    
【解説No.11】《適用範囲》
 次の取引のうち,下請法の適用が「ない」ものはどれ?

①繊維製品の卸売業者であるA社(資本金10億円)は,他社から請け負った衣料品の製造をB社(資本金3億円)に委託した。

②金型の製造業者であるC社(資本金2000万円)は,他社から請け負った金型の図面の作成及び金型の製造をD社(資本金1000万円)に委託した。

③設備工事業者であるE社(資本金1000万円)は,顧客から請け負った空調設備のメンテナンスの一部を個人事業者Fに委託した。

④ソフトウェア開発業者であるG社(資本金3億5000万円)は,ユーザーに提供する汎用アプリケーションソフトの一部の開発を,H社(資本金1億円)に委託した。    
   どっきん    
① ×
 物品の製造を業として請け負っている事業者が,他の事業者に物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託することは「製造委託」に当たります。「製造委託」では,委託先の資本金が3億円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が3億円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

② ×
 情報成果物(プログラム,設計図等)の作成を業として請け負っている事業者が,他の事業者にその作成を委託する場合には「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。また,他社から請け負った金型等の物品の製造を他の事業者に委託することは「製造委託」にも当たります。プログラム以外の「情報成果物作成委託」及び「製造委託」では,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が1000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

③ ○
 役務の提供を業として行っている事業者が,その全部又は一部を他の事業者に委託することは「役務提供委託」に当たります。運送・倉庫保管等以外の「役務提供委託」では,委託先の資本金が1000 万円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が1000万円を超えていれば,下請法の適用対象となりますが,設問のように委託元の資本金が1000万円であれば,下請法の適用対象とはなりません。

④ ×
 情報成果物(プログラム,設計図等)を業として提供している事業者が,他の事業者にその作成を委託する場合には「情報成果物作成委託」として下請法の適用対象となります。アプリケーションソフト等の「プログラム」の作成委託では,委託先の資本金が3億円以下又は個人事業者の場合は,委託元の資本金が3億円を超えていれば,下請法の適用対象となります。    
   オットリー    
【解説No.12】《義務・禁止事項》
 次の親事業者の行為のうち,下請法に照らして問題とならない行為はどれ?

①家電製品の修理を下請事業者に委託しているところ,急を要する修理であったことから,下請事業者に合意を得た上で,口頭で発注を行い,納品後の下請代金の支払時に,発注書面の代わりとして支払通知書を交付した。

②衣料品の縫製を委託している下請事業者から受領する商品について,受領時に自社では受入検査を行わず,下請事業者に対し口頭で受入検査を委任していたところ,受領した4か月後に,取引先において下請事業者の責任による瑕疵が見つかったため,返品した。

③チラシのデザインを下請事業者に委託しているところ,見積りをさせた当初よりも納期を短縮したため,下請事業者から再度出してもらった見積書を基に十分協議して対価を決定して発注した。

④荷主から請け負った運送業務を委託している下請事業者への下請代金の支払方法について,自社の事務作業の効率化のため,手形払いから現金振込に変えたことに伴い,下請事業者の合意を得た上で,「金利引き」として下請代金の額に一定率を乗じた額を,下請代金の額から差し引いて支払った。    
   どっきん    
① ×
 親事業者は下請事業者に対して発注をした場合には,「直ちに」必要記載事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければなりませんので,支払時に支払通知書を交付しただけでは,「直ちに」必要記載事項を記載した書面を交付したとは言えず,「書面の交付義務」(下請法第3条第1項)の規定に違反します。

② ×
 親事業者が自社で受入検査を行っておらず,下請事業者に口頭で受入検査を委任している場合には,たとえ下請事業者の責任による瑕疵があったとしても,その商品を返品することは,「返品の禁止」(下請法第4条第1項第4号)の規定に違反します。

③ ○
 設問のように,見積りをさせた当初より納期を短縮した場合に,見積りを取り直すなど,再度協議をした上で,対価を決定する必要があります。なお,発注に際して下請代金の額を決定する際に,発注した内容と同種又は類似の内容に対し通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めると「買いたたきの禁止」(下請法第4条第1項第5号)の規定に違反します。

④ ×
 下請事業者の給付に瑕疵があるなど下請事業者の責めに帰すべき理由がない場合に下請代金の額を減じることは,「下請代金の減額の禁止」(下請法第4条第1項第3号)の規定に違反します。設問のように,下請事業者の合意を得ていたとしても,下請事業者に責任がないのに下請代金の額を減じることは,当該規定に違反します。    
   オットリー    
【解説No.13】《適用範囲》
 次の取引が,下請法の適用対象となるか否かの観点から,誤った判断をしているものはどれ?

①A社(資本金10億円)は,商社であるB社(資本金2億円)を経由して,C社(資本金500万円)に自社製品の製造を委託している。B社が行うのは事務手続の代行のみで,C社が製造する製品の規格や単価交渉等には全く関与しない。しかし,B社は,発注書面を取り次いでいることから,A社の下請事業者となり,かつC社の親事業者となり,下請法の適用対象となる。

②D社(資本金1億円)は,他社から機械の修理を請け負うものの,その修理を自社では行わずに,全てE社(資本金800万円)に委託している。D社とE社の委託取引は,D社が自ら修理を行っていないが,下請法の適用対象となる。

③F社(資本金2億円)は,他社から制作を請け負うテレビ番組に用いる脚本の作成を自社で行っておらず,全て脚本家(個人)に委託している。F社と脚本家の委託取引は,F社が自ら脚本の作成を行っていないが,下請法の適用対象となる。    
   どっきん    
① ○
 製造委託とは,事業者が他の事業者に物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託することをいいます。設問のB社は,事務手続の代行を行うのみで,C社が製造する部品の規格や単価交渉等には全く関与していないため,下請法の適用対象とはなりません。つまり,この設問の場合,A社がC社の親事業者となり,A社が下請法の規制対象となります。

② ×
 物品の修理を業として請け負う事業者が,その修理行為の全部又は一部を他の事業者に委託することは「修理委託」に当たります。設問のように,他社から業として修理を請け負っている場合には,自社でその修理を全く行わなかったとしても,その修理を再委託すれば「修理委託」に当たります。

③ ×
 情報成果物(ソフトウェア,映像コンテンツ,各種デザイン等)の作成を業として請け負っている事業者が,その情報成果物の作成の全部又は一部を他の事業者に委託することは「情報成果物作成委託」に当たります。設問のように,他社から情報成果物(テレビ番組)の作成を業として請け負っている場合には,その一部(テレビ番組を構成することとなる脚本)の作成を委託することは,自社が脚本の作成を行っていないとしても,「情報成果物作成委託」に当たります。なお,情報成果物作成委託のうち,プログラムの作成委託以外の場合には,資本金基準がいわゆる5000 万円基準となる点に注意が必要です。    
   オットリー    
【解説No.14】《義務・禁止事項》
 次の親事業者の行為について,下請法に照らして問題ない行為はどれ?

①親事業者は,客先から急な発注を受けたため,下請事業者から了承を得た上で,口頭で発注し,その後に発注書面を交付しなかった。

②親事業者は,これまで下請代金を全額手形で支払っていたが,このたび,自社の支払制度を見直し,全額現金払とした。これに伴い,下請代金から「金利分」と称して,手形割引料に相当する金額(自社の短期調達金利相当額)を減じて支払った。

③衣服の製造を委託している下請事業者に対して,下請代金を手形(手形交付日から手形満期日までの期間90日)で支払った。

④親事業者は,玩具の製造を委託していた下請事業者に対して,受領して受入検査に合格した後になって,仕様が変更になったとして,追加で加工をさせたにもかかわらず,下請事業者が追加の加工に要した費用を負担しなかった。    
   どっきん    
① ×
 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,直ちに,下請事業者の給付の内容,下請代金の額,支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付する必要があります。(下請法第3条第1項)下請事業者から了承を得ていたとしても,親事業者は,製造委託等をした場合は,直ちに,発注書面を交付しなければなりません。

② ×
 下請事業者の責めに帰すべき理由(例:数量不足)がない場合に下請代金を減じることは,「下請代金の減額の禁止」(下請法第4条第1項第3号)の規定に違反します。設問のように,親事業者が支払制度を手形払から現金払に変更することは,下請事業者の責めに帰すべき理由に該当しませんので,これを理由に手形割引料相当額を差し引くことは,「下請代金の減額の禁止」に違反します。あらかじめ現金払に見合う単価設定を下請事業者との十分な協議の上で行う必要があります。

③ ○
 下請代金を手形で支払う場合,繊維製品については手形期間90日(3か月),繊維製品以外については手形期間120日(4か月)を超える手形を交付することは,「割引困難な手形の交付の禁止」(下請法第4条第2項第2号)の規定に違反するおそれがあります。設問においては,取引が繊維製品の製造委託であるため,手形期間90日の手形を交付することは問題ありません。なお,将来的には,下請代金の支払はできる限り現金とすることが望まれます。

④ ×
 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請事業者の給付を受領後にやり直しをさせることにより,下請事業者の利益を不当に害すると,「不当な給付内容の変更又は不当なやり直しの禁止」(下請法第4条第2項第4号)の規定に違反します。設問のように,親事業者の都合(仕様の変更)で,給付の受領後に,追加的な作業を行わせた場合に,追加加工に要した費用を親事業者が全額負担しないことは,下請事業者の利益を不当に害することとなり,当該規定に違反します。    
   オットリー    
【解説No.15】《適用範囲》
 次の取引が,下請法の適用対象となるか否かの観点から,正しい判断をしているものはどれ?

①運送業者であるA社(資本金6000万円)は,荷主から請け負った梱包作業をB社(資本金3000万円)に委託している。A社は運送業者であり,資本金区分は3億円基準が適用されるため,この委託取引は,下請法の適用対象とならない。

②C社(資本金1億円)は,自社の工場内で使用する機器の修理を自社で行っておらず,全てD社(資本金200万円)に委託している。C社は自ら修理を行っていないが,D社に修理を委託しているので,下請法の適用対象となる。

③E社(資本金7000万円)は,自社が使用する業務管理システムの開発(プログラムの作成)を自社で行う能力がないため,全てシステム開発業者のF社(資本金400万円)に委託している。E社とF社の委託取引は,E社が自ら使用する情報成果物の作成を行っていないが,下請法の適用対象となる。

④G社(資本金8000万円)は,顧客から請け負うビルメンテナンス業務の一部である清掃をH社(資本金4000万円)に委託している。G社とH社の委託取引は,G社の顧客が利用する役務を委託しているため,下請法の適用対象となる。    
   どっきん    
① ×
 下請法の適用の有無を判断する資本金区分は3億円基準と5000万円基準の2種類がありますが,どちらの基準が適用されるのかは,当事者の業種ではなく,委託の内容により決まります。設問では,委託者は運送業者ですが,委託の内容が梱包作業という役務の提供ですので5000万円基準が適用されることになります。したがって,委託内容が梱包作業の場合には,受託者の資本金が5000万円以下又は個人事業者であるときは,委託者の資本金が5000万円を超えていれば,下請法の適用対象となります。

② ×
 自家使用する物品の修理を他者に委託する場合には,委託者が当該物品の修理を業として行っており,その修理行為の一部を委託している場合にのみ,下請法の適用対象となります。設問では,委託者が自家使用する物品(自社工場で使用する機器)の修理を自ら業として行っていません。したがって,この場合には,その修理を委託しても「修理委託」に当たらないため,下請法の適用対象とはなりません。

③ ×
 委託者が自ら使用する情報成果物の作成を業として行っており,その作成行為の全部又は一部を他者に委託している場合は,その委託は,下請法の適用対象となります。設問では,委託者は自社が使用する業務管理システムを作成する能力がないので,委託者が自ら使用する情報成果物の作成を業として行っているとは認められません。したがって,その作成を他者に委託しても「情報成果物作成委託」に当たらないため,下請法の適用対象とはなりません。

④ ○
 役務の提供を業として行う事業者が,その役務の提供の全部又は一部を他の事業者に委託することは「役務提供委託」に当たります。設問では,G社は顧客から請け負った役務の一部である清掃をH社に委託していることから,「役務提供委託」に当たります。 なお,顧客から請け負ったのではなく,自ら使用する役務を他社に委託する場合は,役務提供委託には当たりません。
   
   オットリー    
【解説No.16】《適用範囲》
 Aさんは,産業用機械メーカーの調達部に勤務しています。この度,上司からの指示で,製品の原材料を調達している材料メーカーとの取引について,下請法が適用される取引かどうか調べることになりました。Aさんが採るべき行動として正しいものはどれ?

①自社と材料メーカーの事業内容と従業員数を調べることとした。

②自社と材料メーカーの過去1年間の取引額を調べることとした。

③自社と材料メーカーの資本金と取引の内容を調べることとした。    
   どっきん    
① ×
 取引当事者の事業内容や従業員数は,下請法の適用の有無を判断する条件ではありません。

② ×
 取引当事者の取引額は,下請法の適用の有無を判断する条件ではありません。

③ ○
 取引の内容と資本金区分を調べることとしているため適当といえます。取引の内容のうち,製造委託とは,事業者が他の事業者に物品の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造を委託することをいいます。そのため,Aさんの会社から材料メーカーに対して長さ等の仕様等を指定して原材料の製造を委託していると認められる場合は,製造委託に該当しますが,Aさんの会社から材料メーカーに対して仕様等の指定がなく,材料メーカーの規格品を購入しているにすぎない場合は,製造委託に該当しません。    
   オットリー    
【解説No.17】《適用範囲》
 Cさんは,資本金1億円の運送会社に勤務しており,外注先への発注業務を担当しています。ある日,荷主から大量の貨物の運送を請け負ったため,これを他の運送業者に対して再委託しようと考えています。この再委託は,どのような条件が満たされれば下請取引に該当することになるでしょうか。

①他の運送業者の資本金が1000万円以下であること。

②他の運送業者と継続的に取引をしていること。

③他の運送業者が運送の専門業者であること。    
   どっきん    
① ○
 役務の提供を業として行っている事業者が,その全部又は一部を他の事業者に委託することは「役務提供委託」に当たります。運送の役務提供委託では,委託元の資本金が3億円を超えている場合,委託先の資本金が3億円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。また,委託元の資本金が1000万円を超えている場合,委託先の資本金が1000万円以下又は個人事業者であれば下請法の適用対象となります。

② ×
 継続的に取引を行っているかは,下請法の適用の有無を判断する条件ではありません。

③ ×
 委託先が委託内容の専門業者であるかは,下請法の適用の有無を判断する条件ではありません。    
   オットリー    
【解説No.18】《義務・禁止事項》
 Dさんは,資本金6000万円のビルメンテナンス会社に勤務しており,清掃業務を委託している下請事業者との価格交渉や発注業務を担当しています。次のうち,Dさんが採った行動として,下請法を遵守する観点から適当なものはどれ?

①客先であるビルオーナーとの価格交渉が長引いたため,委託料の欄を空欄のまま発注書面を交付した。

②下請事業者から単価の引上げを求められたが,下請事業者から理由を聞かずに,一方的に従来どおりに単価を据え置いた。

③客先からの発注がキャンセルされたことを理由に,下請事業者への発注を取り消し,発注を取り消すまでに下請事業者が要した費用を自社が全額負担した。    
   どっきん    
① ×
 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,直ちに,下請事業者の給付の内容,下請代金の額,支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付する必要があります(下請法第3条第1項)。設問のように,発注時に発注書面を交付していたとしても,委託料(下請代金の額)が記載されていない場合は,発注書面に記載すべき必要記載事項の一部が記載されていないため,書面の交付義務の規定に違反します。

② ×
 下請代金の決定において,通常支払われる対価に比し著しく低い額を不当に定めることは,「買いたたきの禁止」(下請法第4条第1項第5号)の規定に違反します。例えば,明らかな人件費の高騰により,下請事業者のコストが上昇しているにもかかわらず,設問のように,下請事業者と十分な協議をすることなく,下請代金の額を従来の単価に据え置くことは,当該規定に違反するおそれがあります。

③ ○
 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請事業者の給付を受領する前に発注を取り消すことより,下請事業者の利益を不当に害すると,「不当な給付内容の変更又は不当なやり直しの禁止」(下請法第4条第2項第4号)の規定に違反します。設問のように,親事業者の都合(客先からのキャンセル)で,下請事業者が清掃を行う前に,下請事業者への発注を取り消す場合,発注が取り消されるまでに下請事業者が要した費用(下請事業者が手配した清掃機器や人員に係る費用など)を親事業者が全額負担するなど,下請事業者の利益を不当に害しないと認められる場合には,当該規定の問題となりません。    
   オットリー    
【解説No.19】《適用範囲》
 運送業を営むA社(資本金5億円)に勤めるNさんは,上司の指示で取引先との取引条件の見直しをしています。下請法の適用を受ける取引については,一般の取引とは別の取引条件にしようと考えているのですが,下請法の適用を受ける取引先がどこなのかNさんは分かりません。次のB社,C社,D社(3社とも資本金は3000万円)のうち,A社の下請事業者(下請法の適用を受ける委託先)に該当するのはどこでしょうか?

①(B社)給食会社(A社の社員食堂の運営を委託している。)

②(C社)運送会社(A社が受注した運送の一部を再委託している。)

③(D社)税理士法人(A社の経理事務処理を委託している。)    
   どっきん    
① ×
 役務提供委託として規制される取引とは,委託事業者が他者に提供する役務の委託取引であり,委託事業者が自ら利用する役務は含まれません。つまり,委託事業者が請け負った役務を再委託する取引が規制の対象となります。設問のように,B社・D社との取引の内容は,A社が自ら利用する役務の委託に当たるので(再委託には当たらないので),役務提供委託に該当しません。

② ○
 C社との取引の内容は,再委託に当たりますので,役務提供委託に当たります。また,運送委託の場合は,委託事業者の資本金に応じて3億円基準又は1000万円基準のいずれかの資本金区分が適用されますので(設問の場合は3億円基準で検討します。),A社の資本金は5億円(3億円超)であり,C社の資本金は3000万円(3億円以下)ですから,資本金区分の条件(3億円基準)を満たします。したがって,A社とC社の取引は,取引の内容と資本金区分の両方の条件を満たしているため,下請法の適用対象となり,C社は下請事業者に該当します。

③ ×
 B社に同じ    
   オットリー    
【解説No.20】《義務》
 親事業者であるE社は,下請事業者であるF社に対して部品の製造を委託しており,発注後直ちに,発注書面を交付しています。E社は,発注時までに納期を定めて発注書面に記載することが可能ですが,「納期」については,発注書面に記載せず,発注後にF社と口頭で取り決めています。発注書面に納期を記載していないことについて,E社の発注担当者のOさん,Pさん,Qさんは,下請法の観点から次のようなことを考えています。正しい理解をしている人はいるでしょうか?

①(Oさん)発注後に納期を決めるというやり方でF社も納得しているから,わざわざ発注書面に納期を記載する必要はないと思う。

②(Pさん)これまでF社は,発注書面に納期を記載してほしいと言ってきていない。言ってきたら記載することでいいのではないかと思う。

③(Qさん)「納期」は,発注書面の必要記載事項ではないから記載しなくてもいいのではないかと思う。

④いない(O,P,Qさん,いずれの考えも誤り)    
   どっきん    
① ×
② ×
③ ×
④ ○

 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,直ちに,「下請事業者の給付の内容(発注内容)」,「下請代金の額(発注金額)」,「下請事業者の給付を受領する期日及び場所(納期及び納入場所)」,「下請代金の支払期日及び支払方法」,その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付する必要があります(下請法第3条第1項)。設問のように,発注時に直ちに発注書面を交付していたとしても,また,下請事業者の了解を得ていても,上記のとおり納期(受領する期日)は必要記載事項なので,交付した発注書面に記載すべき必要記載事項の一部が記載されていない場合は,書面の交付義務の規定に違反します。したがって,「F社も納得している」(Oさん),「F社は発注書面に納期を記載してほしいと言ってきていない」(Pさん),「必要記載事項ではない」(Qさん)という考えは,いずれも誤りです。E社は,発注書面に「納期」も記載する必要があります。    

道場トップに戻る

ページトップへ