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下請法 知っておきたい豆情報 その13

下請法 知っておきたい豆情報 その13

【不当な経済上の利益の提供要請の禁止について】

 Q 下請法では「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」というルールがあるようですが、具体的なイメージが湧きません。親事業者が下請事業者に対して、実際にどういったことを行うと違反となるのでしょうか?

 A 例えば、親事業者が、自社の決算対策のために下請事業者に協賛金の提供を要請し、親事業者の指定した銀行口座に振込みを行わせるような行為が下請法違反となります。

    どっきんの画像    

 

不当な経済上の利益の提供要請の禁止について

 第4条第2項
  親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第1号を除く。)に掲げる行為をすることによつて、下請事業者の利益を不当に害してはならない。
  
  三 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

 この規定は、親事業者が下請事業者に協賛金、従業員の派遣等の経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害することを防止するために設けられました。

  • 「金銭、役務その他の経済上の利益」とは
     協賛金、従業員の派遣等の名目の如何を問わず、下請代金の支払とは独立して行われる金銭の提供、作業への労務の提供等を含みます。

  • 「下請事業者の利益を不当に害」するとは
     下請事業者が、「経済上の利益」を提供することが製造委託等を受けた物品等の販売促進につながるなど、直接の利益になる(経済上の利益を提供することにより実際に生じる利益が不利益を上回るもので、将来の取引が有利になるというような間接的な利益を含まない。)ものとして、自由な意思により提供する場合には「下請事業者の利益を不当に害する」ものであるとはいえません。
     しかし、親事業者の決算対策等を理由とした協賛金の要請等下請事業者の直接の利益とならない場合や、下請事業者が「経済上の利益」を提供することと、下請事業者の利益との関係を親事業者が明確にしないで提供させる場合(負担額及び算出根拠、使途、提供の条件等について明確になっていない場合。虚偽の数字を示して提供させる場合も含む。)には、「下請事業者の利益を不当に害する」ものとして問題となります。

  • 経済上の利益の提供要請の具体例
    【サンプルの提供要請】
     親事業者は、キャラクター商品の製造を下請事業者に委託しているところ、下請事業者に対し、納品する商品と同一の商品をサンプルとして無償で提供させた。

    【設計図等の無償譲渡要請】
     親事業者は、建設機械部品等の製造を委託している下請事業者に対し、委託内容にない金型設計図面等を無償で譲渡させた。

    【型・治具等の無償保管要請】
     親事業者は、機械部品の製造を委託している下請事業者に対し、量産終了から一定期間が経過した後も金型、木型等の型を保管させているところ、当該下請事業者からの破棄申請に対して、「自社だけで判断することは困難」などの理由で長期にわたり明確な返答を行わず、保管・メンテナンスに要する費用を考慮せず、無償で金型、木型等の型を保管させた。

    【従業員の派遣要請】
     大規模小売業者である親事業者は、自らが貨物自動車運送事業を営み、顧客から商品の配送を請け負っているところ、荷物の配送を委託している下請事業者に対して、小売店舗の営業の手伝いのために従業員を無償で派遣させた。

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