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下請法 知っておきたい豆情報 その7

下請法 知っておきたい豆情報 その7

下請法 知っておきたい豆情報 その7

【手形の一時的な現金払について】

 Q 当社は下請代金を手形で支払っていますが,先日,ある下請事業者から,今月の下請代金については手形ではなく現金で支払ってほしいとの要望がありました。このような場合,下請法の観点から注意すべき点を教えてください。

 A 支払手段としてあらかじめ「手形払」と定めているのを下請事業者の希望により一時的に現金払にした場合に,手形払の場合の下請代金の額から「自社(親事業者)の短期調達金利相当額」を超える額を差し引くことは,下請法に違反する減額に該当します。
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手形の一時的な現金払について

 下請法は,第4条1項3号において「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減ずること。」を禁止しています。

 この規定が設けられたねらいは,下請取引においては,下請事業者の立場が弱く,一旦決定された下請代金であっても事後に減ずるよう要請されやすいこと,一方,下請事業者はこのような要求を拒否することが困難であり,下請代金の額が減じられると,直接,下請事業者の利益が損なわれることから,これを防止するためです。

 しかし,質問のケースに関しては,「下請事業者との間で支払手段を手形と定めているが,下請事業者の希望により一時的に現金で支払う場合に,親事業者の短期調達金利相当額を差し引いて下請代金を支払うこと」は下請代金の額を「減ずること」には当たらないとされています。

 質問のケースについて,下請代金の額を「減ずること」に当たらないとするためのポイントは,次の3つです。
 ①下請事業者との間で支払手段を手形と定めている(手形払の約束である)
 ②下請事業者の希望により一時的に現金で支払う
 ③差し引くことが可能な上限は,親事業者の短期調達金利相当額であること

 上記のポイントに反し,次のような場合は,下請代金の額を「減ずること」に該当し下請法違反となりますので注意が必要です。
親事業者の都合で下請代金を現金払とした場合に,自社の短期調達金利相当額を差し引くこと。(※親事業者の都合で現金払とする場合は,自社の短期調達金利相当額の範囲内で差し引いても違反となります。)
・親事業者の短期調達金利相当額を超える額を差し引くこと

 なお,冒頭の質問のケース(Q&A)とよく似ていますが,「一時的に現金で」ではなく支払制度そのものを変更し「常に現金で」支払うこととする場合は,下請法の取扱いが異なりますので注意が必要です。

問 下請代金の支払方法を手形から現金に変更した場合(現金払の約束に変更し常に現金で支払うこととした場合)に注意すべき点はあるか。
※考え方のポイント:冒頭の質問のケース(Q&A)は発注時点において手形払の約束がなされているから,約束とは異なり一時的に現金払をした場合に一定の範囲内での差引きが認められている。

答 下請代金の支払として手形を交付していたのを,一時的にではなく常に現金で支払うという場合には,たとえ,下請事業者からの希望で常に現金で支払う場合であっても,また,親事業者の短期調達金利相当額の範囲内であっても,3条書面(発注書面)に記載した下請代金の額から差し引けば下請代金の減額として本法違反となる。そのため,支払方法を手形から現金に変更する場合には,あらかじめ現金払に見合う単価設定を下請事業者との十分な協議の上で行う必要がある。

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