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2 競合する旅行販売業者間の共同商品企画

2 競合する旅行販売業者間の共同商品企画

 旅行販売業者2社が,一部の旅行商品の共同企画・実施を行うことは,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

1 相談者

 X社及びY社(共に旅行商品の企画・販売・実施を行う事業者)

2 相談の要旨

(1) 旅行商品は,地域や時期等により需要が大きく異なるところ,X社及びY社は,共に7~9月の期間に需要が集中する甲地域向けの旅行商品を供給しており,旅客人数ベースでみてX社のシェアは約20パーセント,Y社のシェアは約10パーセントである。

(2) X社及びY社は,7~9月期の甲地域向けの旅行商品(以下「本件商品」という。)を共同して企画・実施することで人件費,運賃等のコストを削減し従来よりも低い料金で販売することを計画している。本件商品は両社の共同主催とし,商品内容,販売価格及び商品パンフレットは同一とし,ツアーの実施は,出発日に応じて両社に振り分けるものとする。

(3) X社及びY社は,本件商品と同一地域及び同一時期向けの商品を既にそれぞれ販売しているが,それらは今後も販売を継続する。また,X社及びY社のほかにシェアが10パーセント以上の競争事業者が複数存在しており,同一地域及び同一時期向けの商品を販売している。
 なお,本件商品と同一地域及び同一時期向けの商品で他の競争事業者が販売するものの数は100を超えている。

 このようなX社とY社による取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 本件は,市場において競争関係にある事業者が,共同して商品の内容を決定し,販売するものである。したがって,このような取組によって,一定の取引分野における競争が実質的に制限される場合には,不当な取引制限(独占禁止法第3条)として問題となる。

(2) 旅行商品については,対象となる地域,時期等によって需要が大きく異なり,特に7~9月期の甲地域向け商品には需要が集中し,X社及びY社を含め多くの事業者が競合品を供給していることから,本件については,7~9月期の甲地域向け商品の取引分野(以下「本件取引分野」という。)における競争に及ぼす影響について検討する。

(3) 本件取引分野においてX社及びY社の合算シェアは約30パーセントを占めるものである。しかしながら,

ア 本件は新たな商品を開発,販売するものであり,X社及びY社が既に販売している同一地域及び同一時期向け商品は,これまでどおり両社が独立して販売を続けること

イ X社及びY社が自らの判断で新しい商品を開発及び販売することは何ら制限されないこと

ウ X社及びY社以外に有力な競争事業者が複数存在すること

を踏まえれば,X社及びY社が本件商品を共同して企画し販売することによって,本件取引分野における競争が実質的に制限されるとは認められない。

4 回答の要旨

 X社及びY社が,本件商品を共同して企画し販売することは,独占禁止法上問題となるものではない。

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