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(令和元年6月20日)平成30年度における近畿地区の消費税転嫁対策の取組について

(令和元年6月20日)平成30年度における近畿地区の消費税転嫁対策の取組について

令和元年6月20日
公正取引委員会事務総局
近畿中国四国事務所

はじめに

 公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
 近畿中国四国事務所(中国支所及び四国支所を除く。以下「近畿事務所」という。)においても,転嫁拒否行為等に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,「消費税転嫁対策調査室」を設置し,近畿事務所管内(福井県,滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県及び和歌山県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,平成30年度における管内の取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 措置件数

 管内(近畿地区)においては,平成30年度は,転嫁拒否行為に対して,56件の指導を行っている。主な指導の概要は別紙のとおりである。
 

表1:措置件数 [単位:件]                                   
年 度 平成30年度 平成29年度 累計(注1)
全国 近畿地区 全国 近畿地区 全国 近畿地区
措置 指 導 295 56 370 58 2,416 349
《16》 《4》 《16》 《0》 《156》 《21》
勧 告 5 0 5 0 48 5
《3》 《0》 《1》 《0》 《11》 《1》
違反事実なし 107 22 149 34 1,406 215

(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。また,全国の件数には,近畿地区の件数を含む(以下同じ。)。
(注2) 《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導を行った大事件の件数(措置件数)で内数である。

2 措置件数の業種別内訳

 平成30年度の措置件数(勧告又は指導を行った事件の件数をいう。以下同じ。)について措置の対象となった特定事業者(注1)を業種別で分類すると,管内においては,製造業が15件(26.8%)と最も多く,以下,建設業が9件(16.1%)がこれに続いている。
 (注1) 特定事業者とは,[1]大規模小売事業者,[2]特定供給事業者(注2)から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者である。
 (注2) 特定供給事業者とは,[1]大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者,[2]資本金等の額が3億円以下である事業者,個人事業者等である。

表2:措置件数の内訳(業種別) [単位:件(%)]
業種 平成30年度 平成29年度   累計(注1)
全国 近畿地区 全国 近畿地区 全国 近畿地区
建設業 48(16.0) 9(16.1) 54(14.4) 10(17.2) 288(11.7) 36(10.2)
製造業 78(26.0) 15(26.8) 84(22.4) 16(27.6) 632(25.6) 108(30.5)
情報通信業 18(6.0) 2(3.6) 43(11.5) 4(6.9) 216(8.8) 23(6.5)
運輸業 13(4.3) 1(1.8) 12(3.2) 3(5.2) 144(5.8) 25(7.1)
卸売業 17(5.7) 8(14.3) 28(7.5) 6(10.3) 174(7.1) 34(9.6)
小売業 39(13.0) 7(12.5) 30(8.0) 0(0.0) 284(11.5) 36(10.2)
不動産業 19(6.3) 3(5.4) 23(6.1) 6(10.3) 111(4.5) 21(5.9)
技術サービス業 11(3.7) 3(5.4) 15(4.0) 2(3.4) 125(5.1) 15(4.2)
学校教育・
教育支援業
6(2.0) 1(1.8) 10(2.7) 2(3.4) 56(2.3) 4(1.1)
その他 51(17.0) 7(12.5) 76(20.3) 9(15.5) 434(17.6) 52(14.7)
合計 300(100) 56(100) 375(100) 58(100) 2,464(100) 354(100)

(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は娯楽業,医療福祉,事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業等)等である。
(注3) ( )内の数値は合計値に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。

3 措置件数の行為類型別内訳

 平成30年度の措置件数について行為類型別で分類すると,管内においては,買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)が56件(91.8%)と最も多い。

表3:措置件数の内訳(行為類型別) [単位:件(%)]
行為類型 平成30年度 平成29年度   累計(注1)
全国 近畿地区 全国 近畿地区 全国 近畿地区
減額 23(7.2) 4(6.6) 36(9.0) 2(3.3) 132(5.2) 11(3.0)
買いたたき 295(92.2) 56(91.8) 363(90.8) 57(95.0) 2,131(83.1) 311(85.4)
役務利用又は利益提供の要請 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 49(1.9) 9(2.5)
本体価格での交渉の拒否 2(0.6) 1(1.6) 1(0.3) 1(1.7) 251(9.8) 33(9.1)
合計 320(100) 61(100) 400(100) 60(100) 2,563(100) 364(100)

(注1) 累計の数値は,平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,「合計」の件数は,表1及び表2に記載の件数とは必ずしも一致しない。
(注3) ( )内の数値は合計値に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とはならない。

4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況

 平成30年度は,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,管内において,特定事業者48名から,特定供給事業者660名に対し,総額4617万円の原状回復が行われた。

表4:特定供給事業者が被った不利益の現状回復の状況
年 度 平成30年度 平成29年度  累計(注1)
全国 近畿地区 全国 近畿地区 全国 近畿地区
原状回復を行った
特定事業者数
273名 48名 357名 47名 1,484名 188名
原状回復を受けた
特定供給事業者数
45,072名 660名 21,698名 1,077名 161,060名 9,679名
原状回復額 8億1517万円 4617万円 8億1008万円 7352万円 36億4081万円 4億9942万円

(注1) 平成26年4月から平成31年3月までの累計。
(注2) 原状回復額は1万円未満を切り捨てている。

5 転嫁拒否行為等に関する相談件数

 転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を設置しており,当該相談窓口において,平成30年度は48件の相談に対応した。  

表5:転嫁拒否行為等に関する相談件数 [単位:件]
  平成30年度 平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 493 392 444 548 1,420 3,179 6,476
近畿地区 48 29 48 53 156 116 450

(注) 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談並びに情報提供を含む。

6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査

 様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内においては,平成30年度は47名の事業者及び1の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した。

表6:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数 [単位:件]
  事業者 事業者団体
全国 近畿地区 全国 近畿地区
平成30年度 832 47 208 1
平成29年度 1,009 25 346 20
平成28年度 2,385 47 581 2
平成27年度 4,344 62 682 1
平成26年度 8,744 388 1,263 22
平成25年度 1,326 281 401 0
累計 18,640 850 3,481 46

7 移動相談会

 事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内においては,平成30年度は移動相談会を9回実施した。   
       

表7:移動相談会の実施回数 [単位:回]
  平成30年度 平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 50 43 36 52 47 75 303
近畿地区 9 1 8 8 8 9 43

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

1 公正取引委員会主催説明会

 消費税転嫁対策特別措置法等の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を実施しており,管内においては,平成30年度は11回実施した。

表8:公正取引委員会主催説明会の実施回数 [単位:回]
  平成30年度 平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 50 42 36 51 30 40 249
近畿地区 11 1 8 8 5 4 37

2 講師派遣

 管内で開催された,商工会議所,商工会及び事業者団体等が開催する説明会等に,平成30年度は公正取引委員会の職員を講師として派遣していないが,平成31年3月末までに45回派遣した。

表9:講師の派遣回数 [単位:回]
  平成30年度 平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 20 15 73 27 59 384 578
近畿地区 0 0 1 3 8 33 45

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出並びに届出書の記載方法等に関する相談を受け付けているところ,管内においては,平成30年度はいずれもなかった。
 なお,平成31年3月末までに,管内において,転嫁カルテル10件,表示カルテル11件の合計21件の届出を受理し,このほか,届出書の記載方法等に関して,38件の相談に対応した。

別紙

 主な指導事例
(平成30年4月~平成31年3月)

1 減額(第3条第1号前段)
 [1]大規模小売事業者であり,スーパーマーケットを運営するA社は,商品の納入業者(特定供給事業者)に対し仕入伝票ごとに本体価格に消費税率を乗じて1円未満の端数を切り捨てた額を消費税として支払うことで,支払ごとに商品の本体価格を合計し消費税額を計算した場合と比べ,支払総額を1円以上減じて支払っていた。

 [2]教育施設向け教材・印刷物の制作を行うB社は,労務に係る顧問業務を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月分の委託代金から,消費税率の引上げ相当分を減じて支払っていた。

2 買いたたき(第3条第1号後段)
 [1] 学校の運営を行うCは,卒業証書の筆耕業務を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引き上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

 [2] 建設業を営むD社は,大工作業を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

 [3] 洗濯業を営むE社は,取次営業業務を委託している事業者(特定供給事業)に対し,委託代金の算定方法を変更することにより,消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

 [4] 建設機械の販売業を営むF社は,事務所又は駐車場の賃貸人(特定供給事業者)に対し,平成26年4月分以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃料を据え置いていた。

 [5] G消費生活協同組合連合会は,緑地管理業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

 [6] 広告代理業を営むH社は,広告掲載場所の提供者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの対価を据え置いていた。

 [7] 工作機械の製造業を営むI社は,屋内の清掃作業を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,消費税込みの委託代金について,消費税引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低く定めていた。

3 本体価格(税込価格)交渉拒否(第3条第3号)
  大規模小売事業者であり,ホームセンターを運営するJ社は,商品陳列等の店舗運営業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,従来から本体価格に消費税額を加えた税込価格しか記載できない見積書等の様式を定めて使用させることにより,平成26年4月1日以後も税込価格での交渉を余儀なくさせていた。

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先  公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所
         消費税転嫁対策調査室
         電話 06-6941-2206(直通)
ホームページ  https://www.jftc.go.jp/regional_office/kinki/

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