令和元年10月31日
公正取引委員会
第1 調査趣旨等
平成30年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」において,プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備のために,同年中に基本原則を定め,これに沿った具体的措置を早急に進めることとされた。これを受け,公正取引委員会,経済産業省及び総務省は,「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を同年7月に立ち上げ,検討会において取りまとめた中間論点整理(平成30年12月12日公表)を踏まえ,「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」(平成30年12月18日公表)を策定した。当該基本原則では,「透明性及び公正性を実現するための出発点として,大規模かつ包括的な徹底した調査による取引実態の把握を進める」とされている。
公正取引委員会は,まずは特に問題点の指摘が多いオンラインモール及びアプリストアにおける取引に係る独占禁止法・競争政策上問題となるおそれのある取引慣行等の有無を明らかにするため,本実態調査を実施することとした。
1 調査対象
オンラインモール運営事業者又はアプリストア運営事業者(以下「オンラインモール運営事業者」及び「アプリストア運営事業者」を合わせて「運営事業者」という。)が,オンラインモール又はアプリストアを利用して出品する事業者(以下「利用事業者」という。)との間で行う取引について調査を実施した。
2 調査方法
⑴ 情報提供窓口を通じた調査
平成31年1月23日,公正取引委員会のウェブサイト上に情報提供窓口を設置し,914件(オンラインモールに関する情報795件,アプリストアに関する情報20件,その他の情報99件)の情報提供を受けた(令和元年9月30日時点)。
⑵ 利用事業者及び消費者向けアンケート調査
平成31年2月から同年3月までにかけて,①利用事業者に対するオンラインモール運営事業者の取引実態に関するアンケート調査,②利用事業者に対するアプリストア運営事業者の取引実態に関するアンケート調査及び③デジタル・プラットフォームサービスの利用者(消費者)に対するアンケート調査を実施した※。
(※参考) |
⑶ 聴取調査
93名(運営事業者8名,利用事業者85名)に対して実施した(令和元年9月30日時点)。
第2 調査結果
報告書本体及び概要参照。
第3 今後の取組
デジタル・プラットフォームにおける競争を促進し,消費者利益の向上を図るために,独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には,公正取引委員会として引き続き厳正・的確に対処していく。
また,本報告書で取り上げた行為のうち,特に運営事業者が,①どのように規約を変更しているのか,②利用事業者の取引データを自らの直接販売に利用していないか及び③検索アルゴリズムを操作することなどにより自己又は自己の関連会社を優遇していないかという点については,デジタル・プラットフォームに特徴的な問題も含んでおり,その市場の構造や技術の水準も刻々と移り変わるため,引き続き注視していく。
デジタル・プラットフォームを巡る競争環境の整備のためには独占禁止法(競争法)の執行だけでなく,業法による適切な規制,データの移転・開放を実現する仕組みの導入,個人情報の適切な保護など様々な観点から検討・対応していく必要がある。公正取引委員会は,新しく設置されたデジタル市場競争会議における検討への参画や関係省庁との連携・協力に積極的に取り組み,競争環境の整備を図っていく。
さらに,他のデジタル・プラットフォームの分野についても実態把握を継続的に実施し,独占禁止法・競争政策上の考え方の整理を行っていく。
関連ファイル
(印刷用)(令和元年10月31日)デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査報告書(オンラインモール・アプリストアにおける事業者間取引)について(PDF:67KB)
(印刷用)報告書概要(PDF:1,618KB)
※令和元年11月20日,「報告書本体」14頁の図表2-2の出所について誤植がありましたので,修正しました。
修正前:(株式会社富士経済)「通販・eコマスースビジネスの実態と今後 2019」
修正後:(株式会社富士経済)「通販・eコマースビジネスの実態と今後 2019」
*本実態調査報告書の英訳版を英文ウェブサイトに掲載しています。
(https://www.jftc.go.jp/en/pressreleases/yearly-2019/October/191031.html)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局経済取引局総務課
電話 03-3581-5476(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/