令和5年12月20日
公正取引委員会
公正取引委員会は、株式会社ロジック(以下「ロジック」という。)に対し、本日、次のとおり、ロジックの行為が、独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項(競争者に対する取引妨害))の規定の違反につながるおそれがあるものとして注意を行った。
1 関係人
法人番号 | 5220001007562 |
名称 | 株式会社ロジック |
所在地 | 金沢市新保本三丁目21番地 |
代表者 | 代表取締役 和田森 幸恵 |
事業の概要 | ソフトウェア業 |
2 本件の概要等
⑴ 本件行為の概要
ア(ア) ロジックは、介護記録ソフト(注1)の製作販売事業者である。
(イ) A社は、介護記録ソフト及び介護保険請求ソフト(注2)の製作販売事業者である。
(ウ) B社は、介護サービス事業者(注3)である。
イ(ア) 介護サービス事業者は、利用者に提供する介護保険サービス(注4)の内容の管理等を行うため介護記録ソフトを、介護報酬(注5)の請求に当たり介護保険請求ソフトを、それぞれ使用している。
(イ) 介護サービス事業者は、介護報酬を請求するに当たって、介護保険サービスの提供実績に関する情報が必要であり、介護保険請求ソフトと介護記録ソフトをシステム連携させることにより、介護記録ソフトで記録した情報を介護保険請求ソフトに取り込み介護報酬の請求に利用することができる。
ウ(ア) B社は、ロジック製介護記録ソフトの導入を決定し、同介護記録ソフトとシステム連携することを前提としてA社製介護保険請求ソフトを導入することとした。
(イ) ロジック及びA社は、ロジック製介護記録ソフトとA社製介護保険請求ソフトとのシステム連携に向け交渉を開始した。ロジックは、A社に対し、システム連携の条件としてA社製介護記録ソフトの販売の制限と取られかねない内容を提示した。
(ウ) ロジック及びA社の交渉は合意に至らず、システム連携は実現しなかった。
(注1)「介護記録ソフト」とは、介護サービスの提供に係る各種記録の作成・保管(利用者情報の管理、具体的なサービス内容の管理等)に用いるソフトウェアをいう。
(注2)「介護保険請求ソフト」とは、国民健康保険団体連合会への介護報酬請求業務に用いるソフトウェアをいう。
(注3)「介護サービス事業者」とは、介護保険法第115条の32第1項に規定する指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定居宅介護支援事業者、指定介護予防サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者及び指定介護予防支援事業者並びに指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護医療院の開設者をいう。
(注4)「介護保険サービス」とは、介護保険法に基づく介護サービスをいう。
(注5)「介護報酬」とは、介護サービス事業者が利用者に介護保険サービスを提供した場合に、その対価として介護サービス事業者に支払われるサービス費用をいう。
⑵ 注意の概要等
ア 介護記録ソフトの製作販売事業者(以下「自社」という。)が、介護記録ソフトの販売も行っている介護保険請求ソフトの製作販売事業者(以下「他社」という。)とのシステム連携に向けた交渉において
(ア) 既に導入済みの自社の介護記録ソフトとシステム連携する介護保険請求ソフトの導入を検討している介護サービス事業者に介護保険請求ソフトを販売しようとする他社から、自社の介護記録ソフトとのシステム連携を求められた場合に
(イ) 当該他社の介護記録ソフトの販売を制限し得る条件を付してシステム連携を認めること
は、介護記録ソフトの販売における公正かつ自由な競争に影響を与えるおそれがある。
イ 公正取引委員会は、前記⑴ウ(イ)の行為は、独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項(競争者に対する取引妨害))の規定の違反につながるおそれがあるものとして、ロジックに対し、注意を行った。
関連ファイル
(印刷用)(令和5年12月20日)株式会社ロジックに対する注意について(62 KB)
(令和5年12月20日)参考1-2(過去の事例及び参照条文)(104 KB)
問い合わせ先
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