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(令和5年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について

(令和5年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について

令和5年12月27日
公正取引委員会

第1 背景

 1 公正取引委員会は、適正な価格転嫁の実現に向けて、事業者間取引において、公正取引委員会のウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&A(以下「独占禁止法Q&A」という。)の下記①又は②に該当する行為が疑われる事案に関する実態を把握するため、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査(以下「令和4年緊急調査」という。)を実施し、令和4年12月27日に調査結果を公表した。

①労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと

②労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと


2 令和4年緊急調査においては、
⑴ 受注者から申入れがないこと等を理由として、発注者からは積極的な協議の場を設けず取引価格が据え置かれているケースが多数みられた。また、価格転嫁の要請が滞っている可能性があるサプライチェーンの例、価格転嫁の連鎖が円滑に進んでいない可能性があるサプライチェーンの例を示した。


⑵  独占禁止法Q&Aに該当する行為が認められた発注者4,030名(以下「注意喚起対象4,030名」という。)に対して注意喚起文書を送付した。また、個別調査の結果、多数の取引先に対する協議を経ない取引価格の据置き等が認められた事業者13名(以下「事業者名公表13名」という。)について、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、その事業者名を公表した。


3 公正取引委員会は、令和4年緊急調査等を踏まえ、また、注意喚起対象4,030名及び事業者名公表13名の価格転嫁円滑化に関する取組に関するフォローアップのため、令和5年度「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」(以下「特別調査」という。)を実施し、その結果を取りまとめた。

第2 特別調査の手法

1 第1回書面調査(調査対象期間:令和4年6月~令和5年5月)

 令和5年5月、39業種(注1) の事業者110,000名に対し、コスト上昇分の価格転嫁が適切に行われているかなどについて、受注者・発注者の双方の立場での回答を求める調査票を発送した(業種ごとの回答者数は別紙1参照。下記2及び3について同じ。)。
(注1)主たる調査対象業種39業種(別紙1参照)以外の業種にも調査票を発送している。

2 第2回書面調査(調査対象期間:令和4年9月~令和5年8月)

 令和5年8月、第1回書面調査において、価格転嫁の必要性を明示的に協議することなく取引価格を据え置いているとして受注者から名前の挙がった発注者等3,064名(注2)に対し、コスト上昇分の価格転嫁が適切に行われているかなどについて、発注者の立場での回答を求める調査票を発送した。
(注2)第1回書面調査の対象事業者、注意喚起対象4,030名、事業者名公表13名は含まれない。  

3 注意喚起対象4,030名に対するフォローアップ調査(調査対象期間:令和4年6月~令和5年5月)

 令和5年5月、注意喚起対象4,030名に対し、コストの上昇分の価格転嫁が適切に行われているかなどについて、発注者の立場での回答を求める調査票を発送した。  

4 立入調査

 上記1ないし3の各書面調査の結果を踏まえ、令和5年7月から12月にかけて、独占禁止法Q&Aに該当する行為が疑われた発注者に対して、立入調査を349件実施した(立入調査の個別事例は別紙2参照)。  

5 事業者名公表13名に対するフォローアップ調査

 事業者名公表13名から価格転嫁円滑化に関する取組状況を聴取するほか、事業者名公表13名の受注者に対する聴取等を実施した。  

第3 特別調査の結果

 令和4年緊急調査においては、受注者から価格転嫁の要請がない場合に、発注者が積極的に価格交渉の場を設けていないため、取引価格が据え置かれている事例が多数みられたところ、今般の特別調査では、引き続きその点に着目して調査を実施した。

1 注意喚起文書の送付

⑴ 注意喚起文書の送付件数
 書面調査の結果、独占禁止法Q&Aに該当する行為が認められた合計8,175名の発注者(第1回書面調査及び第2回書面調査計6,920名、注意喚起対象4,030名フォローアップ調査1,255名)に対し、優越的地位の濫用の未然防止の観点から、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した(業種ごとの送付件数は別紙3参照)。
 回答者数に占める注意喚起文書送付対象者数の割合について、令和4年緊急調査では21.2%(注意喚起文書送付対象者数4,030名/回答者数18,998名)であったのに対し、今般の特別調査では17.1%(注意喚起文書送付対象者数8,175名/回答者数47,725名)と4.1ポイント減少した。
 注意喚起文書の送付件数が多い業種は、情報サービス業、協同組合、道路貨物運送業、機械器具卸売業、総合工事業、建築材料,鉱物・金属材料等卸売業であった。
 
⑵ 独占禁止法Q&Aについての発注者の認識
 今般の特別調査の各書面調査において、価格転嫁の必要性について明示的に協議することなく取引価格を据え置いていたことについて、協議をしなかった理由の回答を求めたところ(複数回答可)、注意喚起文書送付の対象となった発注者からは、「受注者から取引価格の引上げの要請がなかったため」との回答が圧倒的に多く選択される結果となった。
 この結果に関して、発注者からは、
・ 独占禁止法Q&Aの考え方の説明を直接聞き、令和4年12月に公正取引委員会から送られてきた注意喚起文書の内容や今回の指摘の内容を理解することができた
・ 独占禁止法Q&Aを読んだだけでは、具体的にどのような対応を採ればよいか分からないこともあったので、直接説明を聞くことができてよかった
・ 受注者から価格転嫁の要請があった場合は都度価格交渉を行い、価格転嫁に応じてきたが、独占禁止法Q&Aの考え方の説明を聞き、受注者から要請がなくても、コスト上昇分の価格転嫁の必要性について、発注者である当社が価格交渉の場を設ける必要があることを理解した
など、今般の特別調査において公正取引委員会から独占禁止法Q&Aの考え方の説明を受けて、初めて内容を理解したとの意見が多数寄せられた。
 
⑶ 小括
 今般の特別調査では、回答者数に占める注意喚起文書送付対象者数の割合が令和4年緊急調査と比較して4.1ポイント減少し、一定程度価格転嫁円滑化の取組が進んでいると考えられるものの、令和4年緊急調査における注意喚起対象4,030名のうち31.1%に当たる1,255名を含め、8,175名が注意喚起文書送付の対象となった。
 これは、書面調査における発注者の回答や、発注者からの独占禁止法Q&Aに対する認識についての意見を踏まえると、受注者からの価格転嫁の要請の有無にかかわらず、価格転嫁の必要性について価格交渉の場において明示的に協議する必要があることが、発注者に十分に認識されていないことが大きな要因であると考えられる。

2 コスト上昇分の価格転嫁等の状況

 今般の特別調査は、優越的地位の濫用の未然防止の観点から、独占禁止法Q&Aに該当する行為の把握のために行ったものであるが、第1回書面調査では、これに加えて、労務費の価格への転嫁に関する現状、サプライチェーンや各業種における価格転嫁等の状況を把握するための質問を設け、回答を分析した。その概要は次のとおりである。


⑴ 労務費の価格への転嫁に関する現状
 今般の特別調査の結果、コスト別の転嫁率 (注3)を中央値(注4) でみると、原材料価格(80.0%)やエネルギーコスト(50.0%)と比べ、労務費(30.0%)は低く、労務費の転嫁は進んでいない、という結果であった。平均値でみても、原材料価格(67.9%)やエネルギーコスト(52.1%)と比べ、労務費(45.1%)は低く、同様の結果であった。
 また、今般の特別調査の結果では、①ビルメンテナンス業・警備業、②情報サービス業、③技術サービス業、④映像・音声・文字情報制作業、⑤不動産取引業、⑥道路貨物運送業の6業種が特にコストに占める労務費の割合(以下「労務費率」という。)の高い業種であった。そして、この6業種の労務費の転嫁に関する現状としては、そもそも価格転嫁の要請をしていない受注者が多い(②・③・④・⑤)、要請をしても労務費の上昇を理由としていない受注者が多い(④・⑤)、労務費の上昇を理由として要請してもその転嫁率が低い受注者が多い(④・⑥)、という結果であった。他方で、価格転嫁の要請をしていない受注者が多いものの、要請した場合には労務費の転嫁率が高い受注者が多かった業種もあった(②・③)(詳細は別紙4参照)。
 今般の特別調査の回答者からの声としては、労務費の転嫁の交渉実態として、価格転嫁を認めてもらえたとする声がある一方で、
・ 労務費の上昇分は受注者の生産性や効率性の向上を図ることで吸収すべき問題であるという意識が発注者に根強くある
・ 交渉の過程で発注者から労務費の上昇に関する詳細な説明・資料の提出が求められる
・ 発注者との今後の取引関係に悪影響(転注、失注等)が及ぶおそれがある
等の理由で、労務費の価格転嫁の要請をすることは難しいとの声があった。
(注3)転嫁の要請額に対して引き上げられた金額の割合のこと。
(注4)全体のデータを小さい順に並べたときに、真ん中(中央)にくるデータのことをいう。
 
⑵ サプライチェーンの各段階における価格転嫁の状況
 第1回書面調査では、回答者が製造業、流通業(卸売業・小売業)、サービス業の各サプライチェーンのどの段階に位置するかについて、回答を求めた。
 下図は、各段階の事業者が、受注者の立場で価格転嫁を要請した商品・サービスの数に対して、取引価格が引き上げられた商品・サービスの数の割合について、7割以上(「全て」又は「多く(7割~9割程度)」)と回答した割合を示すものである。

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 いずれのサプライチェーンにおいても、需要者からみて取引段階を遡るほど、価格転嫁を要請した商品・サービスの数の割合で7割以上の取引価格が引き上げられた割合が減少しており、また、サービス業のサプライチェーンにおいては、製造業や流通業と比べて、各段階において取引価格が引き上げられた割合が20ポイント前後低いという顕著な傾向がみられた。
 これらの結果によれば、いずれのサプライチェーンにおいても、商品・サービスの数の割合でみた場合、取引段階を遡るにつれて価格転嫁が滞っており、また、多くの場合、発注者の方が取引上の立場が強く、受注者からはコストの中でも労務費は特に価格転嫁を言い出しにくい状況にあることを踏まえると、製造業や流通業と比べてコスト構造に占める労務費の割合が高いと考えられるサービス業においては、特に価格転嫁が円滑に進んでいないと考えられる。
 
⑶ 各業種において受注者が価格転嫁を要請した割合
 各業種において受注者がコスト上昇分の価格転嫁を要請している割合について、受注者の立場で「全て」又は「多く(7割~9割程度)」の商品・サービスについて要請したと回答した割合が低い業種は、放送業、映像・音声・文字情報制作業、情報サービス業、広告業、技術サービス業であった。これらの業種は、いずれも労務費の割合が高いサービス業であり、受注者が労務費の転嫁を言い出しにくい状況にあることをうかがわせるものである。
 また、発注者の立場で「全て」又は「多く(7割~9割程度)」の商品・サービスについて要請されたと回答した割合が低い業種は、放送業、情報サービス業、不動産賃貸業・管理業、技術サービス業、ビルメンテナンス業・警備業であった。これらの業種は、発注者に価格転嫁を要請できていない受注者が多いことから、いまだに受注者から価格転嫁を要請しやすい環境が整っていないと考えられる。
 
⑷ 受注者から価格転嫁の要請があった場合の取引価格引上げの状況
 各業種において受注者が価格転嫁を要請した商品・サービスの取引価格が引き上げられた割合について、受注者の立場で「全て」又は「多く(7割~9割程度)」(要請した商品・サービスの数に対して取引価格が引き上げられた商品・サービスの数の割合)と回答した割合が低い業種は、道路貨物運送業、ビルメンテナンス業・警備業、放送業、自動車整備業、総合工事業、不動産取引業、情報サービス業であった。
 また、発注者の立場で「全て」又は「多く(7割~9割程度)」(要請された商品・サービスの数に対して取引価格を引き上げた商品・サービスの数の割合)と回答した割合が低い業種は、自動車整備業、不動産取引業、道路貨物運送業、機械器具小売業、放送業であった。
 下図は、これらの業種のうち、注意喚起文書の送付件数が多い情報サービス業、道路貨物運送業、総合工事業、ビルメンテナンス業・警備業について、これらの業種を軸としたサプライチェーンにおいて、どの業種との関係で価格転嫁が円滑に行われていないかを示したものである。

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 具体的には、第1回書面調査において、上図中段(赤枠)の業種の事業者が、受注者の立場で発注者に価格転嫁できていないと回答した業種を、上図上段(青枠)に回答の多い順に記載し、一方で、上図中段(赤枠)の業種の事業者が、発注者の立場で受注者からの価格転嫁を受け入れていないと回答した業種を、上図下段(黄枠)に回答の多い順に記載した図である。
 情報サービス業、道路貨物運送業、総合工事業、ビルメンテナンス業・警備業のいずれについても、受注者の立場で自らと同じ業種の発注者に価格転嫁できていないと回答し、発注者の立場で自らと同じ業種の受注者からの価格転嫁を受け入れていないと回答している(上図下線参照)ことから、これらの業種のサプライチェーンにおいては多重下請構造が存在し、かつ、価格転嫁が円滑に進んでいないことがうかがわれる。

3 事業者名公表13名に対するフォローアップ調査の結果

 ⑴ 事業者名公表13名の取組状況
 事業者名公表13名は、進捗の程度に差があるものの、いずれも、フォローアップ調査の期間中における価格転嫁円滑化の取組により、全体としては価格転嫁円滑化を相当程度進めていた。
 事業者名公表13名は、いずれも、令和4年緊急調査や事業者名公表を契機として、まず、令和5年1月頃以降、順次、受注者に対して、文書、メール、面談、説明会等の方法により、「コスト上昇による価格転嫁の要望があれば価格交渉に応じるので申し出るように」などといった呼び掛けを行っていた。
 また、事業者名公表13名はいずれも、受注者と価格交渉を行った場合は交渉の内容を記録して保管することとしており、受注者から価格転嫁の要請があったものの取引価格を据え置く場合は、据置きの理由を記録の残る方法で受注者に回答することをルール化していた。このほか、一部の事業者においては、作成した記録を受注者と共有して合意内容を後から確認できるようにしていた。
 さらに、事業者名公表13名の中には、令和5年1月頃以降速やかに、社内体制を整備するなど価格転嫁円滑化の取組を実行した事業者も複数みられた。
 事業者名公表13名それぞれの具体的な取組内容は別紙5のとおりである。
 
⑵ 事業者名公表13名の受注者の声(取組の現場への浸透状況等)
 事業者名公表13名の受注者からは、
・ 令和5年に入ってから、価格交渉の呼び掛けがあったので価格転嫁を要請し、満額認められた
・ 令和4年までは、困ったことがあれば何でも言ってくださいと言いつつ、実際に価格転嫁を申し出てもきちんと交渉に応じてもらえなかったが、令和5年に入ってからは発注者の方から具体的な価格転嫁に係る呼び掛けが来るようになり、価格転嫁することができた
・ 令和4年の事業者名公表以降、交渉のテーブルについてもらえる機会が増えた
などの声が寄せられた。
 その一方で、
・ 令和4年も令和5年に入ってからも、価格交渉の呼び掛けはなく、当社から価格転嫁を申し出てもいないので、取引価格は据え置かれたままである
・ 価格交渉の呼び掛けがあったので価格転嫁を申し出たものの、具体的な交渉をせずに取引価格の据置きを一方的に告げられたり、次の交渉を数か月先に先延ばしにされたりした
・ 価格交渉を実施したが、発注者の顧客が、発注者との取引価格を引き下げたとの理由で、当社のコストが上昇しているにもかかわらず取引価格を引き下げられた
・ 複数の取引について価格転嫁を求め、一部については転嫁が認められたものの、転嫁の可否について未回答のものがある
・ 価格交渉の現場の担当者に、価格転嫁について打診してみたものの取り付く島がなく相手にしてもらえない
などの声も寄せられた。
 また、発注者と継続して取引しているにもかかわらず価格交渉の呼び掛けがないと述べた受注者について、事業者名公表13名の中には、その受注者のことを「スポット取引」の取引先と認識し、価格転嫁円滑化の取組の対象としていない者があり、発注者と受注者の「スポット取引」についての認識のずれが生じているケースがみられた。
 
⑶ 小括
 上記⑴及び⑵を踏まえると、事業者名公表13名は、フォローアップ調査の期間中における価格転嫁に関する取組により、全体としては価格転嫁円滑化を相当程度進めているものと認められる。一方で、その取組の現場への浸透が不十分な事業者も認められるところ、そのような事業者にあっては、経営トップから価格協議を担当する各部門の担当者までの事業者全体としての価格転嫁円滑化に関する方針の徹底(ガバナンスの改善)が求められる。
 また、「スポット取引」の取引先を発注者が広く解釈することにより、価格転嫁に関する交渉を行うべき受注者が交渉の対象から漏れてしまうことのないよう留意するとともに、実質的には「スポット取引」とはいえない取引であるにもかかわらず、「スポット取引」であることを理由に、価格転嫁の必要性について明示的に協議することなく取引価格を据え置くことは、独占禁止法上の優越的地位の濫用又は下請法上の買いたたきとして問題となるおそれがあることに留意する必要がある。

第4 今後の取組

 公正取引委員会は、今般の特別調査の結果を踏まえ、次の取組を行っていくこととする。

1 独占禁止法Q&A及び「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の普及・啓発

 今般の特別調査の結果等を踏まえ、独占禁止法Q&Aの考え方、特に、受注者からの価格転嫁の要請の有無にかかわらず、価格転嫁の必要性について価格交渉の場において明示的に協議する必要があることについて、更なる周知を行っていく。また、特に原材料価格やエネルギーコストと比べ、労務費の転嫁は進んでいないという結果を踏まえ、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」 (注5)(令和5年11月29日内閣官房・公正取引委員会。以下「労務費転嫁交渉指針」という。)について重点的に周知を行う。
(注5)https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/nov/231129_roumuhitenka.html

2 注意喚起文書の送付を受けた発注者及び事業者名公表13名への対応

 注意喚起対象4,030名に対するフォローアップ調査の結果、一定程度価格転嫁円滑化の取組が進んでいると考えられるものの、再度注意喚起文書の送付を受けた発注者1,255名については、独占禁止法Q&Aに対する理解不足が一因であると考えられることから、この1,255名に対し、個別に独占禁止法Q&Aの考え方、労務費転嫁交渉指針の内容等を説明し、改めて注意を喚起することとする。
 また、この1,255名を含め、今般の特別調査において注意喚起文書の送付を受けた合計8,175名に対しては、令和6年に実施する価格転嫁円滑化に関する調査(下記4参照)においてフォローアップ調査を実施する。
 このほか、事業者名公表13名については、各事業者における価格転嫁円滑化の取組に資するよう、フォローアップ調査の結果、労務費転嫁交渉指針の内容等を個別に説明する。

3 事業者名の公表に係る方針に基づく個別調査の実施

 令和5年11月8日に公表した「価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針について」 (注6)に基づき、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された場合は、独占禁止法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表する方針で、個別調査を実施している。
 なお、当該事業者名の公表は、独占禁止法に違反すること又はそのおそれを認定するものではない。
(注6)https://www.jftc.jp/partnership_package/231108hoshin.pdf

4 労務費転嫁交渉指針の公表を踏まえた価格転嫁円滑化に関する調査の継続実施

 今般の特別調査において、他のコストと比べて労務費の転嫁が進んでいない、製造業、流通業と比べてコストに占める労務費の割合が高いサービス業の転嫁割合が低いなどの結果がみられたことから、労務費転嫁交渉指針も踏まえ、労務費の上昇分の価格転嫁の状況等について重点的に調査を実施するなど、事業者間における価格転嫁円滑化に関する調査を継続して実施する。

5 優越的地位の濫用行為等に対する厳正な法執行

 上記第3の2⑷の、多重下請構造が存在し、かつ、価格転嫁が円滑に行われていないことがうかがわれる業種を含め、今後とも、積極的に端緒情報の収集を行うとともに、違反被疑事件の審査等を行い、独占禁止法や下請法上問題となる事案については、対象となる事業者に対し、事業者名の公表を伴う命令、警告、勧告など、これまで以上に厳正な法執行を行う。

6 優越的地位の濫用の未然防止のための体制強化

 令和6年度予算案において盛り込まれている、官房審議官(取引適正化担当)の創設及び優越Gメンの増員により体制の充実を図り、上記の取組等を強力に進めていく。

関連ファイル

(印刷用)(令和5年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について(本文)pdfダウンロード(393 KB)
(印刷用)(令和5年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について(別紙)pdfダウンロード(205 KB)

(印刷用)(令和5年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について(概要)pdfダウンロード(710 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部 企業取引課
優越的地位濫用未然防止対策調査室
電話 03-3581-1882(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp

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