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(令和5年3月24日)独立行政法人国立病院機構が発注する九州エリアに所在する病院が調達する医薬品の入札参加業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

(令和5年3月24日)独立行政法人国立病院機構が発注する九州エリアに所在する病院が調達する医薬品の入札参加業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

令和5年3月24日

公正取引委員会


公正取引委員会は、独立行政法人国立病院機構(以下「NHO」という。)が発注する本件医薬品(注1)の入札参加業者らに対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

 本件は、NHOが発注する本件医薬品の入札参加業者ら6社が、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。

 なお、本件の課徴金納付命令のうち3件は、令和元年独占禁止法改正(令和2年12月25日施行)により導入された調査協力減算制度が初めて適用された(注3)ものである。

(注1)「本件医薬品」とは、NHOが年度ごとに一般競争入札の方法により発注していた、31病院(注2)が調達する医薬品であって、平成28年5月20日から令和元年6月3日までの間の入札公告及び当該入札公告に基づく入札説明書により指定された医薬品をいう。

(注2)「31病院」とは、九州エリア(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県及び鹿児島県の7県をいう。)に所在するNHO又は独立行政法人労働者健康安全機構が運営する31病院をいう(別添排除措置命令書別表参照)。

(注3)「調査協力減算制度」とは、課徴金減免申請の申請順位に応じた減免率に、課徴金減免申請を行った事業者(調査開始日より前に最初に課徴金減免申請をした者を除く。以下同じ。)の事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率を付加する制度のことであり、令和2年12月25日以降に課徴金減免申請を行った事業者に対して適用される。


1 違反事業者、排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者、課徴金額等

(注4)違反事業者名については、以下「株式会社」の記載を省略する。

(注5)表中「排除措置命令」欄の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象事業者であることを示している。

(注6)表中「排除措置命令」欄及び「課徴金額」欄の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象事業者でないことを示している。

(注7)表中「事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率」欄の「-」は、その事業者が調査協力減算制度の適用事業者でないことを示している。


2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

アステム、翔薬、九州東邦、富田薬品、アルフレッサ及びアトルの6社(以下「6社」という。)は、遅くとも平成28年6月24日以降、特定医薬品(注8)について、自社の利益を確保するため

⑴ア 特定医薬品を医薬品の製造販売業者等で区分した医薬品群(以下「特定医薬品群」という。)ごとに、受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する

イ 受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する

旨の合意の下に

⑵ 会合を開催するなどして

ア 入札に参加していたアステム、翔薬、九州東邦、富田薬品及びアトルの5社(注9)は、それぞれの各年度の受注予定比率を設定し、同比率に合うよう特定医薬品群ごとに受注予定者を決定する

イ 受注予定者が提示する入札価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるよう、受注予定者が連絡した価格を上回る入札価格を提示するなどして協力する

ことにより、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。

これにより、6社は、公共の利益に反して、本件医薬品の取引分野における競争を実質的に制限していた。

(注8)「特定医薬品」とは、本件医薬品のうち、沢井製薬株式会社、東和薬品株式会社及び小林化工株式会社が供給する医薬品を対象とした医薬品群の医薬品並びに医薬品群の供給元にこれらの3社等が含まれる一部の医薬品群等の医薬品を除く医薬品をいう。

(注9)アルフレッサは、31病院に本件医薬品を納品するため、富田薬品と提携し、本件入札について、同社に委任していた。


3 排除措置命令の概要

 ⑴ アステム、翔薬、九州東邦、富田薬品及びアルフレッサの5社(以下「名宛人5社」という。)は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。

ア 前記2の行為を取りやめていることを確認すること。

イ 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、NHOが一般競争入札の方法により発注する医薬品について、受注予定者を決定せず、自主的に受注活動を行うこと

⑵ 名宛人5社は、それぞれ、前項に基づいて採った措置を、自社を除く4社、NHO及び31病院に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

⑶ 名宛人5社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、NHOが一般競争入札の方法により発注する医薬品について、受注予定者を決定してはならない。

⑷ 名宛人5社のうち富田薬品は、次のア及びイの事項を行うために必要な措置を講じなければならない。

ア NHOが一般競争入札の方法により発注する医薬品の受注に関する独占禁止法の遵守についての法務担当者による定期的な監査

イ 独占禁止法違反行為に係る調査への協力を行った者に対する適切な取扱いを定める規程の作成

⑸ 富田薬品は、前記⑴、⑵及び⑷に基づいて採った措置を、アステム、翔薬、九州東邦及びアルフレッサは、前記⑴及び⑵に基づいて採った措置を、それぞれ、速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。


4 課徴金納付命令の概要

  名宛人5社は、令和5年10月25日までに、それぞれ前記1の「課徴金額」欄に記載の額(総額6億2728万円)を支払わなければならない。

関連ファイル

(印刷用)(令和5年3月24日)独立行政法人国立病院機構が発注する九州エリアに所在する病院が調達する医薬品の入札参加業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令についてpdfダウンロード(147 KB)

(令和5年3月24日)参考1(本件の概要)pdfダウンロード(402 KB)

(令和5年3月24日)参考2(最近の入札談合事件)pdfダウンロード(62 KB)

(令和5年3月24日)参考3-4(参照条文及び課徴金制度の概要)pdfダウンロード(108 KB)

(令和5年3月24日)調査協力減算制度の概要pdfダウンロード(907 KB)

(令和5年3月24日)別添(排除措置命令書)pdfダウンロード(252 KB)


問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第五審査
電話 03-3581-1779(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp

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