令和6年12月23日
公正取引委員会
公正取引委員会は、事業者等の活動に係る事前相談制度に基づき、一般社団法人日本種苗協会から相談(以下「本件相談」という。)の申出を受けたところ、本日、下記のとおり回答を行った。
1 本件相談に係る行為の概要
本件は、一般社団法人日本種苗協会(法人番号1010005018515)(以下「日本種苗協会」という。)が、会員事業者のうち野菜種子部会に所属する事業者(以下「野菜種子部会員」という。)に対し、特定の野菜品目類(以下「本件野菜品目類」(注1)という。)ごとの種子に係る生産地域(注2)ごとの作柄(注3)について、選択式による任意回答のアンケート(以下単に「アンケート」という。)を実施し、その結果を集計したものに客観的な統計処理等を行った情報(以下「本件情報」という。)を野菜種子部会員に共有しようとするものである。
(注2)基本的に大陸ごととなるが、ユーラシア大陸については、東アジア、南アジア・中近東及び欧州、国内については、関東甲信越以北及び東海以南にそれぞれ回答対象を細分化する。
(注3)作柄とは、農作物の収穫高や生育の状況をいう。種子の作柄は、収穫される種子の量が平年と比較してどの程度増減するかを確認することにより把握されている。
⑴ アンケートの内容
アンケートは、本件野菜品目類ごとの種子に係る生産地域ごとの作柄について、選択式により任意で回答を求めるものである。
⑵ 野菜種子部会員に共有される情報の内容
日本種苗協会の事務局は、アンケートを回収後、本件情報を、各野菜種子部会員に対し、共有する。
⑶ アンケートに係る情報の管理
アンケートに係る回答の管理及び回答結果の集計等、アンケートに係る情報の管理は、野菜種子部会員を含まない日本種苗協会の事務局のみで行う。
2 本件相談に対する独占禁止法上の考え方
本件相談に係る行為は、事業者団体である日本種苗協会が、その構成事業者たる野菜種子部会員から、野菜種子の生産に係る情報を収集し、その結果を野菜種子部会員に共有するものであるから、独占禁止法第8条第1号の観点から検討した。
本件相談に係る行為は、
⑴ 本件情報が、本件野菜品目類ごとの種子に係る生産地域ごとの作柄の傾向を示す情報にとどまることから、各構成事業者たる野菜種子部会員の現在又は将来の事業活動における重要な競争手段に具体的に関係する内容の情報ではないこと
⑵ アンケートに係る情報の管理は野菜種子部会員を含まない日本種苗協会の事務局のみで行われ、野菜種子部会員に対し共有される本件情報は客観的な統計処理等が行われたものであることから、本件情報が野菜種子部会員間で共有されることにより野菜種子部会員相互の行動が予測可能になる又は野菜種子部会員間で競争制限に係る共通の意思が形成されることにならないこと
から、独占禁止法上問題となるものではない。
3 結論
以上の点を前提とすれば、日本種苗協会の行為は、独占禁止法上問題となるものではない。
なお、本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合、その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には、文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には、このような撤回をした後でなければ、本件相談の対象とされた行為について、法的措置を採ることはない。
関連ファイル
(印刷用)(令和6年12月23日)事業者団体の構成事業者に対するアンケートに係る相談への回答について (133 KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部相談指導室
電話 03-3581-5481(直通)
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