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(令和7年8月6日)株式会社ダンロップタイヤから申請があった確約計画の認定について

(令和7年8月6日)株式会社ダンロップタイヤから申請があった確約計画の認定について

令和7年8月6

公正取引委員会

 

 公正取引委員会は、株式会社ダンロップタイヤ(以下「ダンロップタイヤ」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、ダンロップタイヤの後記3の行為が独占禁止法第19条(同法第2条第9項第4号(再販売価格の拘束))の規定に違反する疑いが認められた。

 公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、ダンロップタイヤによって当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和7年7月23日、同法第48条の6の規定に基づき、ダンロップタイヤに対し確約手続に係る通知を行った。

 今般、ダンロップタイヤから、公正取引委員会に対し、同法第48条の7第1項の規定に基づき、後記3の行為が排除されたことを確保するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は当該行為が排除されたことを確保するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の7第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)

 なお、本認定は、公正取引委員会が、ダンロップタイヤの後記3の行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2)公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の9第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。


1 申請者の概要

法人番号4010601023832
名称 株式会社ダンロップタイヤ
所在地 東京都江東区豊洲三丁目3番3号
代表者 代表取締役 河瀬 二朗

2 ダンロップタイヤによる自動車用タイヤの販売等

⑴ ダンロップタイヤは、タイヤメーカーである住友ゴム工業株式会社(以下「住友ゴム工業」という。)の子会社であり、住友ゴム工業が製造する「ダンロップ」ブランドの国内市販用の自動車用タイヤの販売等を行っている。

⑵ ダンロップタイヤは、直接又は卸売業者を経由して、カー用品量販店、自動車ディーラー、タイヤ専門店等の小売業者に自動車用タイヤを販売している。

⑶ ダンロップタイヤは、令和6年10月1日以降、住友ゴム工業が製造する「SYNCHRO WEATHER」(以下「シンクロウェザー」という。)と称する自動車用オールシーズンタイヤ(注3)を販売している。

⑷ シンクロウェザーは、従来のオールシーズンタイヤとは異なる特殊な性能を有しているなどとして、大規模な広告宣伝が行われており、これにより、一般消費者のオールシーズンタイヤの認知度が高まったと述べる小売業者もいる。

(注3) 「オールシーズンタイヤ」とは、1年間を通じて使用可能な全天候型のタイヤをいう。

3 違反被疑行為の概要

 ダンロップタイヤは、令和6年10月頃から令和7年4月頃までの間(注4)、シンクロウェザーについて、小売価格を維持するという方針の下、希望小売価格を定めた上で、以下の行為を行っていた。

 自ら又は取引先卸売業者を通じて、小売業者に対し、希望小売価格で販売するよう要請する、実質的な割引(注5)を行わないよう要請する又はECモール(注6)へ出品しないよう要請することにより、小売業者にシンクロウェザーを希望小売価格で販売するようにさせる行為

 希望小売価格より低い価格で販売している、実質的な割引を行っている又はECモールに出品している小売業者を、他の小売業者からの苦情などにより把握した場合、当該小売業者に対し、希望小売価格で販売するよう要請する、実質的な割引を取りやめるよう要請する又はECモールへの出品を取り下げるよう要請することにより、小売業者にシンクロウェザーを希望小売価格で販売するようにさせる行為

(注4) ダンロップタイヤは、令和7年4月、シンクロウェザーを販売する小売業者に対し、希望小売価格はあくまで参考価格であり、ダンロップタイヤが小売価格を指示するものではないことなどを通知する文書を発出した。

(注5) 「実質的な割引」とは、商品の購入時にポイントを付与する、商品の配送に係る費用を無料にする、商品の取替えに係る工賃を無料にするなど、小売価格の引下げ以外の方法により、一般消費者に対して経済上の利益を提供することをいう。

(注6) 「ECモール」とは、インターネット上で多数の事業者と一般消費者を仲介し、商品を販売する場を提供する目的で第三者が運営するプラットフォームであるオンライン販売サイトをいう。

4 確約計画の概要

⑴ 次の事項を取締役会で決議すること。

ア 前記3の行為を取りやめていることを確認すること。

イ 後記⑶の措置を採ること。

⑵ 前記⑴に基づいて採った措置を、シンクロウェザーを販売する小売業者に対して通知するとともに、一般消費者に周知し、かつ、自動車用タイヤの販売事業に係る役員及び従業員に対して周知徹底すること。

⑶ 自社が販売する自動車用タイヤに関して、前記3と同様の行為を行わないこと。

⑷ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

ア 卸売業者及び小売業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに自動車用タイヤの販売事業に係る役員及び従業員に対する周知徹底

イ 卸売業者及び小売業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての、自動車用タイヤの販売事業に係る役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査

ウ 代表取締役による独占禁止法違反を許容しない旨の明確な社内向けメッセージの発信

⑸ 前記⑴ないし⑷の措置の履行についての監視を、第三者(公正取引委員会が承認した者に限る。)に委託すること。

⑹ 前記⑴、⑵及び⑷の措置の履行状況について、公正取引委員会に対し、前記⑸で委託した第三者に報告させること。

⑺ 前記⑶の措置及び前記⑷イに基づいて講じた措置の履行状況について、今後5年間、毎年1回、公正取引委員会に対し、前記⑸で委託した第三者に報告させること。

5 確約計画の認定

 公正取引委員会は、次のとおり、前記4の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。

 措置内容の十分性

前記4の確約計画に記載の措置の内容は、違反被疑行為の取りやめの確認及び将来不作為についての取締役会決議(前記4⑴)、シンクロウェザーを販売する小売業者への通知、一般消費者への周知並びに自動車用タイヤの販売事業に係る役員及び従業員に対する周知徹底(前記4⑵)、自社が販売する全ての自動車用タイヤを対象とした将来不作為(前記4⑶)、代表取締役による社内向けメッセージの発信(前記4⑷ウ)を含んでおり、前記3の行為が排除されたことを確保するために十分な措置であると判断した。

 措置実施の確実性

ダンロップタイヤは、前記4の確約計画において、独占禁止法のコンプライアンス体制の整備を措置に含めていること、措置の履行についての監視を第三者(公正取引委員会が承認した者)に委託し、措置の履行状況に関する公正取引委員会に対する報告を当該第三者に行わせるとしていること及び措置の内容ごとに実施期限を設けていることから、前記4の確約計画は確実に実施されると判断した。

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