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(令和7年11月26日)長野県石油商業組合北信支部に対する排除措置命令、同支部の支部員に対する課徴金納付命令等について

(令和7年11月26日)長野県石油商業組合北信支部に対する排除措置命令、同支部の支部員に対する課徴金納付命令等について

令和7年1126日

公正取引委員会

 


公正取引委員会は、本日、後記第1のとおり、独占禁止法の規定に基づき、長野県石油商業組合北信支部(以下「北信支部」という。)に対し排除措置命令を、北信支部の支部員(以下「支部員」という。)のうち17社(以下「17社」という。)に対し課徴金納付命令を行った。

本件は、北信支部が、長野県北信地区(注1)における特定揮発油(注2)の販売分野に関して、独占禁止法第8条(同条第1号(事業者団体による一定の取引分野における競争の実質的制限))の規定に違反する行為を行い、17社が、当該違反行為の実行としての事業活動を行っていたものである。

また、後記第2のとおり、北信地区において特定揮発油の販売を行っている、支部員ではない事業者3名(以下「非支部員3名」という。)に対し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反するおそれがある行為が認められたことから、警告を行った。

さらに、後記第3のとおり、長野県石油商業組合(以下「長野県石商」という。)に対し、申入れを行った。


(注1) 「北信地区」とは、長野市、長野県須坂市、同県中野市、同県飯山市、同県千曲市、同県埴科郡坂城町、同県上高井郡小布施町、同郡高山村、同県下高郡山ノ内町、同郡木島平村、同郡野沢温泉村、同県上水内郡信濃町、同郡小川村、同郡飯綱町及び同県下水内郡栄村の区域をいう。

(注2) 「特定揮発油」とは、北信地区に所在する給油所において給油される揮発油(注3)(高速道路上で運営される給油所において給油されるもの並びに掛け売(注4)及び発券店値付け(注5)の形態で給油されるものを除く。)をいう。

(注3) 「揮発油」とは、レギュラーガソリン及びハイオクガソリンをいう。

(注4) 「掛け売り」とは、揮発油について、給油所を運営する事業者が、事前に需要者との間で取り決めた販売価格で、一定の期日に対価の支払を受けることを約して販売し、給油する取引形態をいう。

(注5) 「発券店値付け」とは、揮発油について、「発券店値付けカード」等と称するカードを発券した事業者が、 当該カードを提示する需要者に対して、当該事業者が定めた販売価格で販売し、当該カードを取り扱う他の事業者が給油を代行し、又は、当該カードを発券した事業者が自ら給油する取引形態をいう。 

第1 排除措置命令及び課徴金納付命令

1 違反事業者の概要(課徴金納付命令の対象事業者及び課徴金額等は、別表1のとおり)            

 名  称  長野県石油商業組合北信支部
 所  在  地  長野市高田655番地6
 代  表  者 支部長 吉田 和生
 課徴金額  1億1658万円(課徴金納付命令対象事業者17社の総額)  


2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

       北信支部は、かねてから、北信支部内において、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額及び改定時期(以

   下「改定額等」という。)の調整を行っていたところ、遅くとも令和6年12月16日頃以降、支部員間での価格競争を回避し、支部

   員利益を確保するため、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定し、支部員に対し、当該決定に基

   づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させる旨の基本方針の下に

        ⑴  支部長が、燃料油補助金(注6)の減額状況や石油元売会社による揮発油の仕切価格の変動状況等を踏まえ、支部員が販売する

              特発油について、その販売価格の改定額等を決定する

        ⑵  前記⑴の決定内容について、支部長が副支部長に連絡し、副支部長は自身が担当する地区の地区長に連絡し、地区長は自身が

              担する地区の支部員に連絡するなどして、支部員に周知する

    ことにより、支部員に対し、前記⑴の決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させていた。

    これにより、北信支部は、特定揮発油の販売分野における競争を実質的に制限していた。


  (注6) 「燃料油補助金」とは、揮発油、軽油、灯油、重油及び航空機燃料の卸価格の上昇及び小売価格の急騰を抑えるため、国の燃料油価格激変緩和対策事業と

     して、令和4年1月27日に、石油元売会社に対する支給が開始された補助金をいう。

 3 排除措置命令の概要

⑴ 北信支部は、次の事項を、役員会において決議しなければならない。

   ア  前記2の基本方針が消滅していることを確認すること 

   イ  今後、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定せず、当該改定額等は支部員がそれぞれ自主

               的に決めること

⑵  北信支部は、前記⑴に基づいて採った措置を、支部員に通知するとともに、特定揮発油の需要者に周知しなければならない。

          これの通知及び周知の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

⑶  北信支部は、今後、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額等を決定してはならない。

⑷  北信支部は、前記⑴及び⑵に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

 4 課徴金納付命令の概要

     課徴金納付命令の対象事業者17社は、令和8年6月29日までに、それぞれ別表1の「課徴金額」欄記載の額

    (総額1億1658万円)を支払わなければならな い。

第2 警告

1 警告の相手方

別表2のとおり(非支部員3名)

2 警告の概要

⑴ 遅くとも令和6年12月19日頃以降令和7年2月4日頃までの間、非支部員3名は、継続的に、支部員から特定揮発油の販売

     価格の改定額等の情報を入手し、その情報を踏まえて、それぞれが販売する特定揮発油の販売価格の改定額等を決定していた疑い

 がある。

⑵ 非支部員3名らによる前記⑴の行為は、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し同法第3条の規定に違反す

 るおそれがあることから、公正取引委員会は、非支部員3名に対し、今後、前記⑴と同様の行為を行わないよう警告した。

第3 長野県石商に対する申入れ

 本件審査の過程において、北信支部の支部長が、長野県石商の職員に対し、特定揮発油等の販売価格の改定額等を、その決定の

都度報告し、当該職員は、当該改定額等を長野県石商の役員に共有していた事実が認められた。

 この行為は、長野県石商が、北信支部において支部員が販売する特定揮発油について、北信支部がその販売価格の改定額等を決

定し、支部員に対し、当該決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させる行為が行われていたことを認識していたにも

かかわらず、当該行為を取りやめさせることなく、事実上、容認していたものであると認められる。

 よって、公正取引委員会は、長野県石商に対し、今後、長野県石商が独占禁止法違反行為を容認することがないよう、また、長

野県石商及び長野県石商の各支部で前記第1の2の独占禁止法違反行為と同様の行為が行われることがないよう、①前記第1の3

の排除措置命令の内容について、長野県石商の役員、職員及び組合員に周知すること、②独占禁止法の遵守についての行動指針を

作成し長野県石商の役員、職員及び組合員に周知徹底すること、及び③長野県石商の役員、職員及び組合員を対象とする独占禁止

法の遵守についての定期的な研修を実施することを申し入れた。

関連ファイル

(印刷用)(令和7年11月26日)長野県石油商業組合北信支部に対する排除措置命令、同支部の支部員に対する課徴金納付命令等について pdfダウンロード(101 KB)

(令和7年11月26日)本件の概要 pdfダウンロード(453 KB)

(令和7年11月26日)別表1 pdfダウンロード(82 KB)

(令和7年11月26日)別表2 pdfダウンロード(52 KB)

(令和7年11月26日)参考1~4 pdfダウンロード(188 KB)

(令和7年11月26日)(別添)排除措置命令書 pdfダウンロード(690 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第二審査
電話 03-3581-3384(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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