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(令和7年9月5日)株式会社ニシムタから申請があった確約計画の認定について

(令和7年9月5日)株式会社ニシムタから申請があった確約計画の認定について

令和7年9月5日 

公正取引委員会

 

 公正取引委員会は、株式会社ニシムタ(以下「ニシムタ」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、ニシムタの後記3の行為が独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用))の規定に違反する疑いが認められた。
 公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、ニシムタによって当該行為を排除するための措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和7年7月31日、同法第48条の2の規定に基づき、ニシムタに対し確約手続に係る通知を行った。
 今般、ニシムタから、公正取引委員会に対し、同法第48条の3第1項の規定に基づき、後記3の行為を排除するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は当該行為を排除するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の3第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)
 なお、本認定は、公正取引委員会が、ニシムタの後記3の行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2)公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の5第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

1 申請者の概要

法人番号 2340001003271
名称 株式会社ニシムタ
所在地 鹿児島市与次郎一丁目10番1号
代表者 代表取締役 西牟田 敏明

2 ニシムタと納入業者との取引等

⑴ ニシムタは、南九州(熊本県、宮崎県及び鹿児島県)において、ホームセンター等(注3)を27店舗(注4)展開し、家庭雑貨用品、居住関連用品、食品等を販売する大規模小売業者であり、鹿児島県内の小売市場において令和6年度の売上高が鹿児島県に本社を置く事業者として第2位である。

⑵ 納入業者(注5)の中には、ニシムタに対する取引依存度が大きい者、他の事業者との取引開始や取引拡大によっては、ニシムタとの取引と同等の売上高を確保することは困難であると述べる者などがいた。

(注3)ホームセンターのほか、食品を小売販売する業態を組み合わせたいわゆる「スーパーセンター」も展開している。

(注4)ニシムタが運営するものに限り、フランチャイズ契約に基づき運営されている店舗は除く。

(注5)「納入業者」とは、ニシムタの店舗で販売する商品について、ニシムタと直接取引をしている事業者のうち、継続的な取引関係にあるものをいう。

3 違反被疑行為の概要

 ニシムタは、遅くとも令和4年3月頃以降、納入業者に対して、次の行為を行っている。

⑴ 「商品管理費」の名目で、あらかじめ負担額の算出根拠、使途等を明らかにせず、又は、当該金銭の提供が、その提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲を超えた負担となるにもかかわらず、当該納入業者からの毎月の仕入金額にあらかじめ定めた一定の料率を乗じて算出した額の金銭を提供させている。

⑵ 新規開店に際し、これを実施する店舗(ニシムタが運営するもの。以下同じ。)に関して、「開店広告協賛」の名目で、あらかじめ負担額の算出根拠、使途等を明らかにせず、又は、当該金銭の提供が、その提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲を超えた負担となるにもかかわらず、当該納入業者から当該店舗向けに開店前に仕入れる商品の仕入金額にあらかじめ定めた一定の料率を乗じて算出した額の金銭を提供させている。

⑶ 納入業者から仕入れる商品について当該納入業者に行わせていた商品への値札シールの貼付け作業を廃止することを理由に、「物流支援費」(注6)の名目で、あらかじめ負担額の算出根拠、使途等を明らかにせず、又は、当該金銭の提供が、その提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲を超えた負担となるにもかかわらず、当該納入業者からの毎月の仕入金額にあらかじめ定めた一定の料率を乗じて算出した額の金銭を提供させている。

⑷ 新規開店又は改装開店(注7)に際し、これらを実施する店舗において、納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の搬入、陳列等の作業を行わせるため、派遣のために通常必要な費用(以下「派遣費用」という。)を自社が負担することなく(注8)、当該納入業者の従業員等を派遣させている。

(注6)ニシムタは、納入業者に行わせていた商品への値札シールの貼付け作業を廃止することで、自社が同作業を行うことになるため、その作業経費として、「物流支援費」の名目で、一定の料率を乗じて算出した金銭を納入業者に提供させている。

(注7)ニシムタは、既存店舗における商品棚のレイアウト変更をはじめとする内装の改装等を行う改装開店を定期的に行っている。

(注8)ニシムタは、従業員等を派遣した納入業者に対して、派遣費用の請求を行うよう求めているものの、当該求めに応じず、派遣費用を請求しない意思表示をした納入業者の派遣費用については、負担をしていない。

4 独占禁止法上の考え方

⑴ 前記3⑴から⑶までの行為は、納入業者との間で契約書等により合意した上で行われたものである。
 取引上の地位が納入業者に優越している事業者が、当該納入業者に対して、協賛金等の名目による金銭の負担を要請する場合であって、当該協賛金等の算出根拠、使途等について、当該納入業者との間で明確になっておらず、当該納入業者が負担の必要性を合理的に判断することができない場合には、あらかじめ当該納入業者との間で契約書等により合意していたとしても、優越的地位の濫用として問題となるものと考えられる。

⑵ 前記3⑷の行為は、納入業者に派遣費用を請求するよう求めていたものの、派遣費用を請求しない意思表示をした納入業者について、その派遣費用を負担することなく従業員を派遣させていたものである。
 取引上の地位が納入業者に優越している事業者が、当該納入業者に対して、従業員等を派遣させて本来自らが行うべき役務を行わせる場合、当該納入業者が派遣費用を請求しない意思表示をしたとしても、派遣費用を負担しない場合には、優越的地位の濫用として問題となるものと考えられる。

5 確約計画の概要

⑴ 前記3の行為を取りやめること。

⑵ 次の事項を取締役会で決議すること。

ア 前記3の行為を取りやめること

イ 前記3の行為と同様の行為を行わないこと

⑶ 前記⑵に基づいて採った措置及び前記⑴の措置を採る旨を、納入業者に通知し、かつ、自社の役員及び従業員に周知徹底すること。

⑷ 前記3⑴、⑶及び⑷の行為に関する納入業者における金銭的価値を回復すること。

⑸ 前記3の行為と同様の行為を行わないこと。

⑹ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

ア 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底

イ 納入業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者又は外部専門家による定期的な監査

⑺ 前記⑴から⑹までの措置の履行についての監視を、第三者(公正取引委員会が承認した者に限る。)に委託すること。

⑻ 前記⑴から⑷まで及び⑹の措置の履行状況について、公正取引委員会に対し、前記⑺で委託した第三者に報告させること。

⑼ 前記⑸の措置及び⑹イに基づいて講じた措置の履行状況について、今後5年間、毎年1回、公正取引委員会に対し、前記⑺で委託した第三者に報告させること。

6 確約計画の認定

 公正取引委員会は、次のとおり、前記5の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。
 なお、当該確約計画が実施されることにより、前記5⑷により回復される金銭的価値は、現時点において、納入業者のうち50社に対し、総額約7億3000万円と見込まれる。

⑴ 措置内容の十分性

ア 前記5の確約計画に記載の措置の内容は、過去の排除措置命令で独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用))の規定に違反すると認定された事案における排除措置の内容を全て含んでいる。

イ また、前記5⑷の金銭的価値の回復措置は、納入業者にとっては違反被疑行為により被った不利益に係る被害救済の効果があるものであるとともに、違反被疑行為の再発防止につながるものである。

ウ 以上を踏まえれば、本件においては、前記5の確約計画に記載の措置の内容は、措置内容の十分性を満たすと判断した。

⑵ 措置実施の確実性
 ニシムタは、前記5の確約計画において、措置の履行についての監視を第三者(公正取引委員会が承認した者)に委託し、措置の履行状況に関する公正取引委員会に対する報告を当該第三者に行わせるとしていること、また、措置の内容ごとに実施期限を設けていることから、前記5の確約計画は確実に実施されると判断した。

関連ファイル

(令和7年9月5日)株式会社ニシムタから申請があった確約計画の認定についてpdfダウンロード(129 KB)

(令和7年9月5日)本件の概要pdfダウンロード(280 KB)

(令和7年9月5日)参考(過去の事例、参照条文)pdfダウンロード(101 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局九州事務所第二審査課
 電話 092-431-6034(直通)
公正取引委員会事務総局審査局第五審査
 電話 03-3581-1779(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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