令和7年9月24日
公正取引委員会
公正取引委員会は、極東開発工業株式会社 に対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は、特定特装車製品 (注1)(注2) の製造販売業者が、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注1)「特装車」とは、架装物 (注3) を取り付けることを目的とした車枠等から構成される車両に架装物を取り付けてなる自動車をいう。
(注2)「特定特装車製品」とは、ダンプ車、タンクローリ、トラックミキサ車、粉粒体運搬車、塵芥車(じんかいしゃ)及び脱着コンテナ車に取り付けられる架装物並びにテールゲートリフタ並びにそれらの架装物の付属物であって、最終需要者、販売業者又はバンの製造販売業者を取引先とするものをいう。
(注3)「架装物」とは、走行以外の特定の目的のために自動車に取り付けられ、自動車に搭載されたエンジン等で駆動する機械又は装置をいう。
1 違反事業者、排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者、課徴金額等

(注4)違反事業者名については、以下「株式会社」の記載を省略する。
(注5)表中「排除措置命令」欄の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象事業者であることを示している。
(注6)表中「排除措置命令」欄及び「課徴金額」欄の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象事業者でないことを示している。
(注7)表中「事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率」欄の「-」は、その事業者が調査協力減算制度の適用事業者でないことを示している。
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
⑴ 極東開発工業及び新明和工業(以下「2社」という。)は、かねてから、月1回の頻度で開催する2社の部長級の者の会合において、特定特装車製品の販売価格等に関して情報交換を行っていたところ、鋼材等の特定特装車製品の原材料の価格が高騰していたことから、遅くとも令和4年2月4日までに、同年4月1日以降に販売する特定特装車製品の販売価格を引き上げることを合意した。
⑵ 2社は、令和4年4月以降も、鋼材等の価格が引き続き高騰していたことから、遅くとも令和5年2月7日までに、同年4月1日以降に販売する特定特装車製品のうち特に販売価格の引上げが必要であった塵芥車(じんかいしゃ)に取り付けられる架装物及びテールゲートリフタの販売価格を更に引き上げることを合意した。
⑶ 前記⑴及び⑵のとおり、2社は、共同して、特定特装車製品の販売価格を引き上げる旨を合意することにより、公共の利益に反して、我が国における特定特装車製品の販売分野における競争を実質的に制限していた。
3 排除措置命令の概要
⑴ 極東開発工業は、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2⑴及び⑵の各合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後、他の事業者と共同して、特定特装車製品の販売価格を決定せず、自主的に決めること。
ウ 今後、他の事業者と、特定特装車製品の販売価格に関する情報交換を行わないこと。
⑵ 極東開発工業は、前記⑴に基づいて採った措置を、自社の取引先である特定特装車製品の最終需要者、特装車の販売業者及びバンの製造販売業者に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の 方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
⑶ 極東開発工業は、今後、他の事業者と共同して、特定特装車製品の販売価格を決定してはならない。
⑷ 極東開発工業は、今後、他の事業者と、特定特装車製品の販売価格に関する情報交換を行ってはならない。
⑸ 極東開発工業は、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、前記⑶及び⑷で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
ア 特定特装車製品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底
イ 特定特装車製品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての、当該販売活動に従事する自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査
4 課徴金納付命令の概要
極東開発工業は、令和8年4月27日までに、前記1の「課徴金額」欄記載の額(26億189万円)を支払わなければならない。
関連ファイル
(印刷用)(令和7年9月24日)特装車製品の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について(94 KB)
(令和7年9月24日)参考1(最近の価格カルテル事件)(44 KB)
(令和7年9月24日)参考2-3(参照条文及び課徴金制度の概要)(87 KB)
問い合わせ先
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