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(令和8年6月10日)令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組

(令和8年6月10日)令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組

令和8年6月10日
公正取引委員会

第1 取適法の運用状況

1 取適法違反行為に対する勧告等

(1) 勧告件数

 令和7年度の勧告件数は39件。
 勧告の対象となった違反行為類型の内訳については、不当な経済上の利益の提供要請が31件、製造委託等代金(注)の減額が6件、返品が6件、不当な給付内容の変更等が1件、買いたたきが1件となっている  

 (注)製造委託等及び役務委託等の代金をいう。以下同じ。

【勧告件数の推移】

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(2)指導件数 

 令和7年度の指導件数は8,261件。

【指導件数の推移】

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2 中小受託事業者が被った不利益の原状回復の状況

 令和7年度においては、中小受託事業者が被った不利益について、委託事業者177名から、中小受託事業者5,165名に対し、製造委託等代金の減額分の返還等、総額25億5698万円相当の原状回復が行われた。

【原状回復額の推移】

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【原状回復を行った委託事業者数・原状回復を受けた中小受託事業者数の推移】

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3 取適法違反行為を自発的に申し出た委託事業者に係る事案

 公正取引委員会は、委託事業者の自発的な改善措置が中小受託事業者の受けた不利益の早期回復に資することに鑑み、当委員会が調査に着手する前に、違反行為を自発的に申し出、かつ、中小受託事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等、自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については、委託事業者の法令遵守を促す観点から、中小受託事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし、この旨を公表している(平成20年12月17日公表)。
 令和7年度においては、委託事業者からの違反行為の自発的な申出は53件であった。また、同年度に処理した自発的な申出は49件であった。
 令和7年度においては、委託事業者からの違反行為の自発的な申出により、中小受託事業者1,234名に対し、製造委託等代金の減額分の返還等、総額12億1019万円相当の原状回復が行われた(前記2の金額に含まれている。)。

【自発的な申出の件数等】

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第2 中小事業者等の取引適正化に向けた取組

 公正取引委員会は、令和3年12月27日、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」が取りまとめられたことを踏まえ、適正な価格転嫁の実現に向けて、従来にない取組を進めてきた。令和7年度における具体的な取組内容及び今後の取組は以下のとおり。

<特設ウェブサイト>
取引適正化に向けた公正取引委員会の取組
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/index.html

 

1 独占禁止法上の告示の策定等

(1)  独占禁止法上の告示の策定等

 公正取引委員会は、適切な価格転嫁を我が国の新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させていくための取引環境を整備する観点から、優越的地位の濫用規制の在り方について、下請法を中心に検討することを目的として、令和6年7月以降、関係有識者からなる「企業取引研究会」を中小企業庁と共同で開催し議論を重ねてきた。本研究会での議論を踏まえ、令和7年3月に「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」が国会に提出され、同年5月に成立し、令和8年1月に取適法が施行された。
 その後、取適法の対象となる取引に限らず、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁の環境整備や支払条件の適正化、物流に関する商慣習の問題に対する更なる対応など「企業取引研究会報告書」において示された課題に対応し、取引環境を整備する観点から、優越的地位の濫用規制の在り方を中心に検討することを目的として「企業取引研究会」を令和7年7月より再度開催した。令和7年度において、企業取引研究会は4回開催された。
 企業取引研究会の議論を踏まえ、前記の各課題を解決するため、公正取引委員会は「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」改正案、「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法」案、「『製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法』運用基準」案及び「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」改定案を作成し、パブリックコメントに付した。これらは令和8年6月に最終版を公表予定であり、「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合等の特定の不公正な取引方法」及び「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法」については令和9年4月1日に施行予定である。


(2) 知財取引指針の策定等

 公正取引委員会は、知的財産・ノウハウの取引適正化に関する専門的な議論を行うため、令和7年8月から、企業取引研究会の下で、知的財産取引適正化ワーキンググループを中小企業庁、特許庁と共同で開催しており、令和7年度において4回開催した。また、同ワーキンググループは、指針の策定の方向性等に関する議論の内容について、「知的財産取引適正化ワーキンググループ報告書」として取りまとめ、令和8年3月11日に公表した。
 公正取引委員会は、知的財産取引適正化ワーキンググループでの議論及び当委員会が実施した知的財産権・ノウハウ・データを対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査の結果を踏まえて、中小企業庁、特許庁との連名で「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針(知財取引指針)」案を作成し、「契約書ひな形」案とともに、パブリックコメントに付した。これらを踏まえた同指針及び契約書ひな形は令和8年6月に公表予定である。

2 独占禁止法の執行強化

(1) 令和7年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の実施

 公正取引委員会は、令和5年11月29日に内閣官房と公正取引委員会の連名で策定・公表した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(以下「労務費転嫁指針」という。)に基づく発注者・受注者の行動をフォローアップすることにより、労務費の転嫁円滑化の進捗状況を把握するとともに、公正取引委員会のウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&Aに該当する行為が疑われる事案等を把握するため、12万名を超える事業者に対して「令和7年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」を実施し、令和7年12月15日に結果を取りまとめ、公表した(注1)。

 具体的には、令和7年6月に受注者・発注者の双方の立場での回答を求める書面調査(11万名)を実施した。加えて、令和6年度特別調査において注意喚起文書を送付した事業者に対して、フォローアップ書面調査を実施した。また、これらの書面調査を踏まえて立入調査を462件実施したほか、独占禁止法Q&Aに該当する行為が認められた事業者4,334名及び労務費転嫁指針において求めている発注者としての行動指針に沿った行動を採らなかった事業者9,747名に対し、注意喚起文書を送付した。

 さらに、令和7年5月から、令和6年度特別調査において事業者名公表の対象となった3名について、フォローアップ調査を実施し、全体としては価格転嫁円滑化を相当程度進めており、相当数の受注者との間では協議を経ずに取引価格を据え置いている状況は解消していると認められた一方で、価格転嫁が進んでいないとの指摘も寄せられており、経営トップから価格協議の担当部門までの事業者全体としての価格転嫁円滑化の取組方針の徹底等が求められる結果となった。

 また、令和5年11月8日に公表した「価格転嫁円滑化に関する調査の結果を踏まえた事業者名の公表に係る方針について」に基づき、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された場合は、独占禁止法第43条の規定に基づきその事業者名を公表する方針の下、書面調査の結果を踏まえて個別調査を実施したところ、事業者名を公表すべき事業者は認められなかった(注2)。 


(注1)令和6年度にも同様に「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」(以下「令和6年度特別調査」という。)を実施・公表している。 

(注2)今後も、個別調査を実施する方針自体には変更はない。

(2) 荷主と物流事業者との取引に関する調査の実施

 公正取引委員会は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定し、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っており、令和6年度においても、荷主と物流事業者との取引に関する調査を実施し、その結果を取りまとめて、令和7年6月24日に公表した。

 同調査においては、荷主3万名、物流事業者4万名を対象とした調査をそれぞれ実施し、さらに、コスト上昇分の協議を経ない取引価格の据置き等が疑われる事案について、荷主100名に対する立入調査を実施した。また、当委員会は、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主646名に対し、注意喚起文書を送付した。

 令和7年度においても同様に、令和7年10月に荷主3万名を対象に、令和8年2月に物流事業者4万名を対象に、それぞれ調査を実施しており、今後、同年6月を目途に調査結果を取りまとめ、公表する。


3 独占禁止法及び取適法の考え方等の周知徹底

(1) 取適法の周知広報及び事業者の声

 公正取引委員会は、取適法の周知のため、全国47都道府県における事業者向け主催説明会の開催(63回)、関係省庁と連携した業種別説明会の開催(13回)、中小事業者団体等と連携したプッシュ型の広報・広聴企画の開催(「出張!トリテキ会議」。詳細は後記(2)参照)、昔話の桃太郎をモチーフにした分かりやすい動画やテキストを含む各種媒体での解説などの取組を実施した。また、全国のよろず支援拠点等における個別相談会等も実施した。この点、事業者からは、取適法の施行の効果として「資金繰りが改善した」、「価格交渉が進んだ」等の声が寄せられている(詳細は別紙5参照)。

(2)  不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動等の拡充・強化

 公正取引委員会は、相談窓口において、取適法及び優越的地位の濫用に係る 相談を受け付けている。令和7年度においては、取適法に関する相談が34,810件、優越的地位の濫用に関する相談が4,043件の合計38,853件の相談に対応した。また、令和3年9月8日、「不当なしわ寄せに関する取適法相談窓口」を設置し、フリーダイヤル経由で電話相談に対応している。

 当委員会及び中小企業庁は、中小事業者等が匿名で情報提供できる「違反行為情報提供フォーム」を設置し、買いたたきなどの違反行為が疑われる委託事業者に関する情報を受け付けている。

 また、当委員会は、事業者が匿名で情報提供できる「労務費の転嫁に関する情報提供フォーム」を設置し、労務費という理由で価格転嫁の協議のテーブルにつかない事業者等に関する情報を広く受け付けている。

不当なしわ寄せに関する取適法相談窓口

電話番号 0120((不当な受託取引))-()()()(ゼロ)-()110(110番)

      ※固定電話のほか、携帯電話からも御利用いただけます。
      ※公正取引委員会の本局又は地方事務所等の相談窓口につながります。

【受付時間】10:00~17:00
(土日祝日・年末年始を除く。)
「違反行為情報提供フォーム」
(買いたたきなどの違反行為が疑われる委託事業者に関する情報提供フォーム)
https://www.jftc.go.jp/soudan/jyohoteikyo/kaitataki.html
  
「労務費の転嫁に関する情報提供フォーム」
https://www.jftc.go.jp/soudan/jyohoteikyo/romuhitenka.html
 

 また、当委員会は、「取引改善のススメ」をテーマとして、中小事業者における労務費転嫁指針の活用等を推進すべく、「出張!トリテキ会議」(取引適正化推進会議)と称する中小事業者団体向けの広報・広聴企画を全国各地で開催している。令和7年度においては、107回の会議を開催した。

 さらに、当委員会は、商工会議所及び商工会の協力の下、独占禁止法相談ネットワークを運営しており、独占禁止法、取適法等に関する中小事業者からの相談に適切に対応することができるように、全国の商工会議所及び商工会が有する中小事業者に対する相談窓口(約2,200か所)を活用し、相談を受け付けている。令和7年度においては、相談窓口を利用する中小事業者の独占禁止法、取適法等に対する理解を助けるため、中小事業者向けリーフレット(「1分で分かる!独禁法」等)を全国の商工会議所及び商工会へ配布した。

(3) サプライチェーン全体での支払の適正化に関する事業者団体等への要請について

 令和8年1月1日以降に発注される取適法対象取引については、手形払が一律に禁止され、また、支払期日を超える満期を設定した一括決済方式又は電子記録債権を使用した支払も原則として取適法が禁止する支払遅延に該当することとなったところ、公正取引委員会及び中小企業庁は、取適法対象外の取引を含むサプライチェーン全体での支払手段の適正化及び支払手段の改善に取り組む事業者の資金繰りへの配慮について、それぞれ関係する事業者団体や省庁等に要請した。

(4) 取引適正化協力委員への意見聴取

 公正取引委員会は、取適法等の効果的な運用に資するため、各地域の取引等 の実情に詳しい中小事業者等に取引適正化協力委員を委嘱している。令和7年度においては、取適法施行に向けた準備状況、買いたたき規制、物流事業者との取引や知的財産取引に関する実態等について意見聴取を行った(寄せられた主な意見は別紙5参照)。

(5) 労務費転嫁指針の改正と周知徹底

 労務費転嫁指針について、策定後に公正取引委員会で実施した調査結果等を踏まえて「労務費の適切な転嫁に向けた取組事例」等を追加した。また、下請法等改正法の施行を踏まえて、発注者として採るべき行動/求められる行動のうち「発注者側からの定期的な協議」に関する留意点として、受注者から協議の要請があった場合に、当該協議に応じず一方的に取引価格を据え置くことは、取適法上の協議に応じない一方的な代金決定として問題となるおそれがあること等を追記し、令和7年12月26日に公表、令和8年1月1日付けで改正した。

 公正取引委員会は、改正した労務費転嫁指針について全国47都道府県で開催された「地方版政労使会議」における説明や資料配布を通じ労務費転嫁指針の周知を実施した。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 経済取引局 取引部
 取引適正化検査管理官 電話03-3581-3374(直通)(第1関係)
 企業取引課 電話03-3581-3373(直通)(第2関係)

 ホームページ https://www.jftc.go.jp/

(取適法に係る申告 https://www.jftc.go.jp/soudan/shinkoku/toriteki_higijijitsu.html
(取適法に係る相談 https://www.jftc.go.jp/soudan/soudan/toriteki.html

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